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○●ギリヤーク民話―北海道・網走●2015年07月12日 08:57

戦後、南樺太から網走に移住したギリヤーク民族に伝わる民話


(リンクは、同じく網走に移住したギリヤーク民族の一人、中村チヨさんによる昔話集です)

赤木三平 (編)
発行所: 山音文学会
昭和46年8月1日発行
75ページ

■目次
網走にいるギリヤーク族について 米村喜男衛 2
神と悪魔と漁師 4
鳥のよばい 16
熊に馴染んだ男 20
ニクブンが山丹から聞いた話 23
熊と若い人妻 24
二人妻 27
蛇とたわむれる妻 28
少年と血を飲む老爺 29
恐ろしい赤児 34
老人に化けた狐 43
死者の蘇生 45
太陽が始め三つあった話 47
日蝕 48
月蝕 49
風の穴 49
人間のはじまり 51
妻をだました黒狐 52
ケヌブン家の話 54
魔女 55
人さらい 62
女と黒い熊 65
熊祭りのおきて 69
樺太に狐がいるわけ 70
熊祭のいわれ 71
「ギリヤーク民話」について 赤木三兵 74

■「「ギリヤーク民話」について」より
  網走市に於ては、北海道の貝塚の中で最も古い重要文化財である モヨロ貝塚がある。このモヨロ貝塚には約二千年前の北方民族とみ られるモヨロ人が住んでいたといわれ、この貝塚周辺からはモヨロ 人の骨や遺物が沢山出土している。
  網走市では毎年この貴重な史蹟を中心に古代人の遠い昔の生活を しのぶために「モヨロ祭」を催してきたが、最近ではオロッコ、ギ リヤークの人たちによる「オロチョンの火祭」も併せて催している。   この北方民族は終戦直後、樺太(今のサハリン)から和人と共に 引き揚げてきた人たちである。
私は北海道アイヌの研究と共に、これらの人たちの生活と生活感 情に非常に興味を持っているが、特にその一端を表す昔話(民話) に限りない興味をもっている。
  今回、この民族研究の権威である元北海道学芸大学教授の服部健先 生の許しを経て、民話の一部をまとめて出版することができた。 幸い網走市郷土博物館長米村喜男衛先生からもこの民族渡来のいき さつ、独得の宗教形態について書いて頂いたことを感謝している。
  服部先生のご意見には「オロチョンの火祭」という語源や行事の由 来についてはいろいろの問題点があるといわれていますが、この刊行 物ではこの点にふれず、民話をとおして北方民族研究の一助になれば 幸いであると思って本にした次第である。

■内容の紹介
B6版75ページの小さい本です。
日本領であった南樺太から戦後、オロッコ族とともに北海道の網走 地方に移住したギリヤーク族に伝わる民話が集められています。

冒頭に「ギリヤーク族について」と題する節があり、ギリヤーク族 の概要を知ることができます。これによると、ギリヤーク族は私た ちと同じアジア系であり、表紙の写真(ムツゴロウ氏に似た人物) からも親近感を感じます。

ギリヤーク族は高床式の夏の家と竪穴式の冬の家を使う漁猟民族、 オロッコ族はトナカイを飼育し、パラトカ(テント張りの丸小屋) に住んで夏も冬も移動する遊牧民族であることや、両者とも酋長は 存在せず、部族の中に一人いるシャーマンの行者の祈祷によって行 動を決定することなどが、この冒頭の節からわかります

1時間ほどで読了しました。熊が多く登場することと、動物が人に 姿を変える話が多いことが印象に残りました。また、狩猟民である ためでしょうか、血なまぐさい話も多くあります。

「ケヌブン」にはコロポックルのように小さい人が登場し、「神と 悪魔と漁師」には深い海に入っても腰のあたりまでしか水没しない 大きな男と十日しか経たないと思ったのに家に帰ったら三年も経っ ていたという内容が含まれるなど、興味深い物語もあります。

「人間のはじまり」によると、人間の食物は木の実であると神から 教えられていたが、悪い神に騙されて草を食べために、人生が短く なったそうです。また、米村喜男衛氏も、青森県生まれで網走に移 住までした在野の研究者であるそうです。

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