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○■イノシシと人間―共に生きる■2015年07月30日 17:29

イノシシと人間の<共に生きる>をテーマに語る日本の研究者たち


高橋 春成 (編集)
単行本: 406ページ
出版社: 古今書院 (2001/12)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
第1部では、目を世界に向けて、イノシシと人間、家畜化されたブタと人間、野生化したブタと人間のかかわりをとりあげる。舞台は世界であるが、もちろんこのなかでも日本の事例をとりあげ、その特徴をみていく。第2部と第3部の舞台は日本である。第2部では、特に農作物被害の防除をめぐるイノシシとの攻防と、これからの取り組みが期待されるイノシシの管理についてみる。そして第3部では、地域づくりといった視点から、イノシシと人間、イノシシと地域社会がどのようにかかわっていけばよいのかについて考える。
内容(「MARC」データベースより)
あまり実態は知られていないが、実際には最も人間と関わりが深いイノシシ。日本を代表する野生動物イノシシについて、環境保全、害獣、食肉利用、狩猟、地域振興等、人間との関わりを描き、共存の道を模索する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高橋/春成
1952年滋賀県生まれ。奈良大学文学部地理学教室教授。博士(文学)。生物地理学、地域環境学。人間と動物のかかわりの地域文化、地域生態、地域づくりが専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
まえがき
第1部 イノシシとブタ 1
第1章 イノシシとブタ ― 人とのかかわりを通して 黒澤弥悦 2
第2章 野生のブタ? 飼育されたイノシシ? ― 考古学からみるイノシシとブタ 松井章・石黒直隆・本郷一美・南川雅男 45
第3章 台湾原住民族ツォウとイノシシ ― イノシシ狩猟の社会的位置づけ 野林厚志 79
第4章 文化の伝播とブタの野生化、そして環境問題 高橋春成 101

第2部 イノシシとの攻防と管理 121
第5章 猪垣にみるイノシシとの攻防 ― 近世日本における諸相 矢ケ崎孝雄 122
第6章 イノシシの行動と能力を知る ― 現代の攻防最前線 江口祐輔 171
第7章 知られざるイノシシの生態と社会 仲谷淳 200
第8章 海を泳ぐイノシシ ― イカを釣りに行って、イノシシを捕って帰る 高橋春成 221
第9章 鳥獣保護制度とイノシシの管理 常田邦彦 244
第10章 イノシシの商品化と個体群管理 神埼伸夫 258

第3部 地域づくりとイノシシ 289
第11章 イノシシのまち ― 丹波篠山 赤星心 290
第12章 イノブタとまちづくり ― 和歌山県すさみ町 川原健史・三浦貴弘 314
第13章 食肉資源としてのイノシシ ― 飼育者の立場から 石井利明 327
第14章 人類の同伴者 ― イノシシとブタ 田中淳夫 340
第15章 地域づくりのなかでイノシシを考える 高橋春成 355

地名索引 399
事項索引 403

■「まえがき」から
  "イノシシ"と聞いて読者のみなさんは何を想像されるだろう?
猪突猛進する勇ましいイノシシの姿や、かわいいイノシシの子ども(ウリ坊)の姿を思い浮べる人もいるだろう。 また、農作物を食い荒らす悪者だと言う人、いやイノシシの肉はうまいんだ、と言う人もいるにちがいない。
  このようにいろいろなイノシイ像が語られようが、ではその実態は?、というと多くの人びとは答えに窮するだろう。 現代人の私たちは、キツネやタヌキなどと同様にイノシシになじみを感じているのがだが、実はその実態をあまり知らない。
  しかしイノシシほど、古くから、良くも悪くも、人間と共に生きてきた動物はいないであろう。 イノシシの肉は獣のなかで最も美味であり、古くから各地で食用に狩猟されてきたし、その肉を得るために家畜化され、イノシシからブタが生み出されてきた。 そして、その一方でイノシシは、農作物に多大の被害を与える動物として、天下にその名を轟かしている。
  このようにしてみると、私たちは、イノシシなんてダサイし、あまりかかわり合いたくないなどと言うことはできないのであって、イノシシと人間が共に生きてきた道を振り返り、 また、これから共に生きる道を模索しなければならない。

  このような思いから、本書は企画された。 本書は3部から構成されているが、そこを貫くのは、イノシシと人間の長くて密接なかかわりの交渉誌を描き、これからの共存の道を模索したい、という強い思いである。
  第1部では、目を世界に向けて、イノシシと人間、家畜化されたブタと人間、野生化したブタと人間のかかわりをとりあげる。 舞台は世界であるが、もちろんこのなかでも日本の事例をとりあげ、その特徴をみていく。 第2部と第3部の舞台は日本である。 第2部では、特に農作物被害の防除をめぐるイノシシとの攻防と、これからの取り組みが期待されるイノシシの管理についてみる。 そして第3部では、地域づくりといった視点から、イノシシと人間、イノシシと地域社会がどのようにかかわっていけばよいのかについて考える。
  本書は15の章から成っている。 多くの学問分野と研究機関から、それぞれの分野・機関を代表するイノシシ研究者のみなさんに参画いただいた。 また、実際にイノシシを飼育し、食肉店を営んでいる方やジャーナリストの方、これからイノシシ研究をめざそうとする大学院生の諸君にも参画いただいた。 これらのみなさんのイノシシに対する熱い情熱が、それぞれの章からあふれ、本書は極めて学際的で、かつ総合的なイノシシと人間のかかわりを考えるための書となった。 本書を通じて、読者のみなさんがイノシシに関心をもち、イノシシとのつきあいを考え、それを実践していただくことができれば幸いである。
  なお、本書の出版にあたっては古今書院の関秀明氏にたいへんお世話になった。 記して感謝の意を表したい。
        二〇〇一年一一月 高橋春成

■書評:
るびりん書林 別館