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?●石油と原子力に未来はあるか―資源物理の考えかた (1978年)●2015年09月10日 10:09

2011年5月に改訂版『原子力に未来はなかった』の出た、エネルギーを利用するということ全般について疑問を抱かせてくれる本


槌田 敦 (著)
-: 231ページ
出版社: 亜紀書房 (1978/02)

■商品の説明
内容
現代の科学技術は石油の科学技術であり、資源の劣化と廃物の蓄積によって近く破綻することは確実である。原発核融合も結局は石油文明であって枯渇する石油の代替エネルギーたりえない。気鋭の物理学者が「生存の条件」の準備が緊急に必要であることを明快に解明する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
槌田/敦
1933年東京生まれ。東京都立大学理学部化学科卒業。東京大学大学院物理課程D2修了後、同大助手を経て理化学研究所研究員。定年退職後、94年から名城大学経済学部教授。06年定年退職。05年4月から09年3月まで高千穂大学非常勤講師(本データはこの新版が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
まえがき
第I部 脱石油文明の方向 1
核融合は未来の火ではない 3
脱石油文明の方向 21
「現代の博物誌・月火水木金土日」を読んで 59

第II部 核と人類は共存できない 69
原子力平和利用は故意の犯罪 71
核融合の夢と現実 91
原子力は石油の代替か
アンチプロジェクト 129
  ―原子力開発における歯止めについて

第III部 資源物理の考えかた 137
資源とは何か 139
1)物理価値
2)エントロピー
3)実用価値
4)低エントロピー資源
5)技術
6)消費の限界
定常開放系の世界 207

あとがき 227

■「まえがき」の終わりの部分
  このように代替エネルギー開発はどれをとっても、詭弁や、欺瞞や嘘に満ちあふれている。 そのようなことになる理由は、エネルギー問題の根源が消費の構造にあり、代替エネルギーの開発では解決しないのに、無理にこじつけようとするからである。 また、仮に開発に成功したところで焼け石に水ということもある。 そのうえ、資源の多消費は廃物廃熱の捨て場所を失っている。 1960年代以後(とくに1977年)の異常気象と、資源多消費による廃物廃熱との相関は誰も否定できないだろう。
  従って、資源から廃物廃熱への消費の構造を基本から考えなおすことが、今問われている。 これがこの本の主題であって、人間社会にとって資源とは何かをじっくり考えてみたい。
  さて、順序が逆になったが、この本は最近2カ年間、いろいろな雑誌に書いたり、講演したりしたものの中から集めたものである。 重複する部分が多く、とても気になるが、これを整理すると、それぞれの論文の意図を損うので、削除・加筆は最小限にとどめた。 読み苦しい点を許していただければ幸いである。
      1978年1月