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○●現代世界ノンフィクション全集9 森の猟人ピグミー/極北の放浪者/カラハリの失われた世界●2015年09月14日 09:05

コリン・ターンブルの『森の猟人』など、森、極北、乾燥地という異なる環境で狩猟を中心に暮らす人々を追い、本国で反響の大きかった3編を、一部分削除して収録。


筑摩書房編集部 (編集)
-: 465ページ
出版社: 筑摩書房 (1966)

■内容の紹介(本書の「解題」より抜粋)
●森の猟人ピグミー
・彼らはごく最近まで類人猿の一種ぐらいにしか考えられていなかった。
・ターンブルの場合は、計三年以上に及ぶ旅行中、ほとんど彼らと共に過ごし、それ以上の滞在が研究の客観性をそこなわないかと危ぶみはじめたくらい親交を重ねた。これほど深い洞察と愛情にみち、かつ詳細なピグミーの記録は他に例をみないのではなかろうか。
・原著(Simon&Schuster, New York, 1961)は十五章からなる部厚な本だが、うち十二章に相当する部分が、一九六三年、『ピグミー 森の猟人』の題で、講談社から刊行された。本書には、イトゥリの森でのピグミーの生活と習俗をあつかった七章分を収め、全体にわたって訳文に手を入れた。(藤川玄人)

●極北の放浪者
・著者のゴントラン・ド・モンテーニュ・ド・ポンサンがエスキモーと一年ちかくを過ごした時の手記である。
・ポンサンのこの本ぐらい、エスキモーの性格、ものの考え方、生活ぶり、彼らを取りかこむ厳しい自然の姿を見事にえがいたものは他にもとめられない。
・原書ははじめ、大戦中のアメリカで発表され、大きな反響をよんだものである。その後、彼の母国フランスで出版され、今日まで、「エスキモー物」の古典として、不動の地位を占めている。
・本書は一九五七年、新潮社より「人と自然叢書」の一冊として刊行された。原書は四部より成るが、ここには第四部「岐路」を除き、三部までを収めた。(近藤等)

●カラハリの失われた世界
・著者ロレンス・ヴァン=デル=ポストは、南アフリカ、オレンジ自由州に、オランダ系開拓民の子として生れた、生粋のアフリカっ子である。
・本書を一貫して流れている基調は、著者の、ブッシュマン族に対する深い愛情である。これが他の単なるアフリカ探検記とは類を異にする本書の大きな特色と言えるであろう。
・原書は十章から成る大部のものであるが、紙幅の都合上、本書では特に生彩に富む六章分を訳出し、二章から五章までの四章は適当に縮訳した。(佐藤喬)

■目次
●コリン・ターンブル 藤川玄人訳
森の猟人ピグミー 5
一 イトゥリの大森林 7
二 部落 24
三 ふたたび森へ 48
四 モリモ 63
五 狩り 76
六 ピグミーの法律 90
七 成人式 103

●ゴントラン・ド・ポンサン 近藤等訳
極北の放浪者 125
第一部 キング・ウィリアムランド
一 極北への独り旅 127
二 アザラシ狩りのエスキモー 144
三 カナダ・エスキモーとくらして 177

第二部 出張所
四 エスキモーの人生観 195

第三部 ペリー湾
五 奥地への独り旅 227
六 極北の神父 265

●ロレンス・ヴァン=デル=ポスト 佐藤喬訳
カラハリの失われた世界 295
一 出発準備 297
二 砂漠の中へ 320
三 「失望」の沼 355
四 「すべり山」の亡霊たち 380
五 泉の猟人 403
六 雨の歌 425

解題 451
記録の条件 川喜田二郎 455

■一言
これらの作品を読むことで「健康で文化的な最低限度の生活」などという価値観の欺瞞が見えてきます。