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○■日本の長寿村・短命村―緑黄野菜・海藻・大豆の食習慣が決める■2015年11月01日 09:11

日本全国を歩き続けてまとめられた1972年初版の名著。新装版。


近藤正二(著)
荻原弘道(付帯報告と解説)
発行所: サンロード出版
1991年4月1日新版発行
179ページ

■商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
長寿者の多い村と少ない村との衛生学的比較調査研究の為に、日本全国くまなく、990カ町村以上を歩き続け、現地探訪の記録をもとに話されたものを編訳。生命の尊さと、食物の重大さをあらためて考え直す。

■目次
序 丸山博 14
本書の発刊を喜んで ゲイロード・ハウザー 16
新版にあたって 萩原弘道 18

日本の長寿村・短命村 近藤正二
1 平均寿命ではわからない 26
・誰もしていなかった長生きの研究 26
・必ずしも英雄的な長寿はいらない 29
・三十六年、九九〇カ町村を歩いて 30
・重労働で可哀想な村は短命か 31
・一升めしを伝統とする村は短命村 35
・畑をもたず魚ばかり食べる漁村 36
・大豆製品を毎日かかさないこと 40
・果物は野菜のかわりをしない 44
・少量でも毎日食べる習慣をつけよう 46

2 志摩の海女が長生きなわけ 48
・働き者の島の海女 49
・男を働かせない海女の神さま 50
・食べたいお菓子をなぜ食べぬ 53
・嫌いな人参を食べる理由 55

3 塩焼きを生業とした平家部落 57
・魚をとらない約束で住みつく 58
・落ちぶれても礼儀正しく 59
・野菜畑をもたない漁民部落 61

4 岡山県公文村の謎をとく 65
・女がつくってくれたものを、残せません 65
・婚礼の日から野良に出ようとした婿さん 68
・女に教養をつけさせた開拓武士団 69
・中学校より古かった高等女学校 71

5 男(女)を大切にする土地 73
・男が野菜を食べると笑われる 73
・娘の好ききらいにきびしい 75
・北海道のニシン御殿 76
・女を働かせない――野菜不足の村 78

6 米作りの部落をのぞいて長寿 80
・全体が九%という沖永良部島の和泊町 80

7 八重山の長寿村・竹富島 85
・八重山群島の食生活をみる 85
・大豆をすすめた前我名釜多 87
・野草「長生き草」を摘んで常食 90

8 米どころで長寿村の理由 93
・先生の説はひっくり返った 93
・配達証明つきの小包 97
・藍産地だった米どころの長命村 98
・南部海岸からくる海藻、干魚の行商 101
・長生きしない藍の豪商たち 101

9 労働する女たちから 104
・一寸二分の米を食べる輪島の海女 104
・手をとり合って泣いた江差沖の女 106
・豆腐だけで長生きする有芸村 110

10 大豆、にんじん、かぼちゃ 113
・海幸と交換する西山大豆 113
・鳴沢村で飲む六杯のみそ汁 114
・かぼちゃを食べない西米良村の例 116
・人参を食べる村食べない村 118

11 崖の上に畑を作る漁村 121
・山陰地方のある平家部落 121
・北海道・歌棄も同じ条件 124

12 これからの日本人は長生きか 126
・若死にするハワイの日系二世、三世 126

13 私の生い立ちと考え方 130
・虚弱児童だった少年時代の願い 130
・ゆっくり邦楽を楽しみながら 133
・私の健康十則とは 134
・船に強い理由をきかれて 136

14 結語 140

付帯調査と解説 萩原弘道
15 沖永良部島・屋子母と与論島 147
・近藤先生へのご報告 147
・屋子母部落中山清元氏の一家 148
・野菜がわりの野草のたぐい 151
・この長寿部落の泣きどころは高血圧 156
・塩分のとりすぎと漬けもの 158
・観光の島、与論島の姿 159
・糸満漁夫に売られた人たち 161

[解説]長寿村は幻想ではない 164
・乱暴だった松崎学説 164
・算定方式について 165
・知名町・屋子母の調査 168
・松崎方式は全国〇・九二 172
・やはり大宜味村は日本一の長寿郷 173
・カギはカルシウムにもある 177

■「新版にあたって」冒頭部分
  初版以来、この本は十数版を重ねたロングセラーでありました。 近藤先生はそれまで、研究の内容を一切印刷物にすることがなく、当時はブリジストンの石橋正二郎氏が先生の話を聞いて、数頁の小冊子をつくり人々に配布していた程度でした。
  私は近藤先生のライフワークを記録にとるため、講演会を主催したり、仙台の名誉教授室にかよって、一章ずつ口述してもらう作業をつづけるとともに、先生の地図上に記入された長寿者率を白地図に写し、その地方の長寿村、短命村の色分け地図をつくり上げました。
  こうして「日本の長寿村・短命村」はでき上がりましたが、先生独特の口ぐせもそのままにしましたので、先生を存じあげている方々は、先生が話されているとおりだと、たいへん喜んでいただきました。
  そして、先生のお人柄がにじみでていることもあって、ロングセラーをつづけたと思っています。

■一言
食事の影響の大きさを指摘したロングセラー。当時の暮らしぶりもよくわかる。

■書評
るびりん書林 別館

○■山暮らし始末記■2015年11月05日 11:38


堀越 哲朗 (著)
単行本: 333ページ
出版社: 太田出版 (1999/06)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
消費社会の喧燥を脱し、『走らされる前に、歩くんだ』と覚悟して始まった夫婦二人の山暮らし。厳しい環境の中で腰をいため、指に豆をつくりながらも、循環する自然の営みの一員となって山の気で心の根を洗い、湧き水で体を潤す。しかし、人は確実に年をとる。張り詰めた日常にいつまで耐えられるのか。現代人がどこまで自由に歩けるかを真摯に追求した、労働と思索の清冽な記録文学。

内容(「MARC」データベースより)
都会を離れて信州の山村へ。薪を作り、囲炉裏の火を見つめた12年の歩みを綴り、現代人がどこまで自由に生きられるかを真摯に追求した、労働と思索の記録文学。

著者略歴
堀越哲郎
1954年東京生まれ。幼年時代を長野市で過ごす。早大文学部卒。82~84年にかけて約1年間インドを放浪。帰国後、旅行雑誌の記者を経て、信州の過疎の山村に移住。その後12年間にわたって山の中で暮らす。現在は伊那谷郊外に在住。

序章 もうひとつの生き方を探して 7
――― インド・東京・そして信州の山村へ

第一部 清水平 39
一 現代の疎開 40
二 森の呼吸・ランプの暮らし 52
三 囲炉裏の火を見つめて 63
四 清水平の経済と四季 83
五 清水平を出る 117
六 南インド再訪 133

第二部 巣寒多 155
一 伊那谷の廃村へ 156
二 卯沢の流れ・薪の山 173
三 電気と闇のある暮らし 185
四 「土」と「土地」・畑と獣たち 193
五 山のベジタリアン談義 206
六 チャボを飼う 215
七 巣寒多の経済と暮らし 223
八 自然界の生と死 235
九 廃村の現実・山を降りる 247

第三部 山暮らしの周辺 237
一 冬の風呂で思った詩人のこと 268
二 モンペのダンディズム 274
三 早すぎるのさ何もかも 281
四 太鼓の響きが伝えるもの 290
五 漢方医・伊藤真愚先生のこと 297
六 スズメバチと村長選 302
七 キノコ止め山 309
八 里で暮らすということ 315
九 変わりゆく山道・廃村の山を歩く 323

あとがき 332

■あとがき
  山暮らしや田舎暮らしに関する本や雑誌は巷に溢れているけれど、どうも何かきれいごとばかり並べ立ててあって、ほんとうのところはどうなんだろう?と思っている人が案外少なくないんじゃないだろうか。 だいたいそんなにうまい話ばかりなら、地元の人たちだって山を降りたりしないし、深刻な過疎問題も生じないはずである。その点これは、山暮らしについての一種の「失敗談」である。 それも、始まりから終わりまで十二年の歳月を費やしたうえでの「敗退物語」だから、読者の参考に資するところもあるのではないかと思う。
  最初に描いたのが囲炉裏についての文章である。 いよいよ山を降りると決めたとき、記念に何かひとつだけでも書き残しておこうと思い、「囲炉裏への挽歌」と題した四百字十枚ほどのエッセイを書き、地方の文学賞に応募したら入選した(第四回小諸・藤村文学賞優秀作)。 それを読んでくれた月刊『望星』(東海教育研究所)の岡村編集長から「何かもっと書いてみないか?」と声がかかり、「山がたりエッセイ―廃村暮らしの始末記」というタイトルで、 同誌九八年八月号から九九年八月号まで七回にわたって不定期連載した文章が、この本の基になっている。 いわば、囲炉裏の火のゆらめきが常に記憶の中心にあって、それを取り巻く山暮らしの種々相を同心円をいくつも描くように書き継いでいってみたら、こんなかたちのものができあがったというわけである。
  山暮らしと直接関係のないインドの旅についての記述にもかなりのページが割かれているが、この二十年近くの間、生活の節目ごとに何度かインドに渡っており、 いつしか自分のなかでインド・東京・信州の山村という三つの観測地点で世界のものごとを{脱字}癖がついてしまった。 それに二十代の頃のインドの長旅の経験がなければ、そもそも山暮らしを始めることもなかったと思うので、その足跡を確認する意味でも、これは自分にとっては必要な記述であった。 読者はそこに、この二十年という時代の影を読み取ることもできるだろう。
  山暮らしの日常は、百のことばよりも一の実践が意味をもつ世界である。 深く地に根差した暮らしを続ける者ほど、あまり余計なことばは吐かずに、黙々と日々の労働に精を出している人間が多い。 それに、「ことばへの不信」がどこか気持ちの底にあって山で暮らしている者も少なくないから、山で暮らしながらなおかつ生活をはみ出したところでものを書く行為には、それなりに覚悟とエネルギーがいる。 そういう意味ではぼく自身、里に降りることがなければ、こういうかたちで本をまとめることもなかったかもしれない。
  それにしても、我々が山にこもって暮らしていたこの十数年のうちに、世の中はずいぶん変わった。 ともかく日本に居住する外国人の数が増えたし、社会全体のデジタル化のスピードの早さにも物凄いものがあった。 ワープロやパソコン・インターネットの普及ひとつとってみても、ぼくが都会生活から足を洗った八〇年代半ば頃、それまで勤めていた都心の雑誌社では、ほとんどの記者がまだ原稿用紙に2Bや4Bの鉛筆で 黒々とした文字を書きなぐっていたことを思うと、隔世の感がある。
  しかしその一方で、都会を離れて田舎暮らしを始める人たちが年々増えていることも事実で、自分のまわりを見回してみても、こうした脱都会・自然志向の潮流が今後ますます拡がっていくことは疑いを容れないと思う。 そんな時代の振れ幅のなかで、こんなふうに山の中で暮らし、こういうふうに世界を眺めていた人間がいる――この本はその記録でもある。
  本にするにあたっては、太田出版の高瀬幸途氏に文章全体にわたって細かい助言や批評をいただいた。 また岡村隆氏には『望星』掲載時より何かとお世話になった。記して、両氏に感謝する次第である。
(なお、一部地名・人名を仮名にしたことをお断りしておく)。
        一九九九年六月 伊那谷にて 堀越哲胡{誤字}

■一言
集団移転を強制された後の廃村(別荘居住者あり)に住んだ記録。山中の格安物件を手に入れて住んでみようかと考えている方に参考になりそう。

■書評
るびりん書林 別館

◎■子どもの文化人類学■2015年11月08日 08:46

人口三百数十人のヘアーインディアンを中心に、イスラム教徒、イスラエル、アメリカの子育てから、私たちの育児・親子関係を振りかえらせる。


原 ひろ子 (著)
単行本: 206ページ
出版社: 晶文社 (1979/02)

■商品の説明
内容(カバー見返しより)
極北の雪原に生きる狩猟民ヘアー・インディアン。ジャカルタの裏町に住むイスラム教徒ジャカルタ・アスリの人びと。・・・・・・
みづからの野外調査にもとづき、異なった文化の中で育つ子どもたちの姿を描き出し、私たちの育児・親子関係をふりかえらせる。

著者より(カバー見返しより)
「文化人類学という学問を職業にえらび、さまざまな文化の中で子どもがどう育っていくのかを勉強していますと、人間の子どもというものは、どんな社会に生まれようとひじょうに幅広い可能性を内包しながら成長する力をもっていることが実感として迫ってまいります。大人は子どもが自ら育ってゆく力を信じて力を貸してあげられるだけなのではないかと思われます」

■著者について(奥付けより)
原ひろ子(はら・ひろこ)
一九三四年ソウルに生まれる。五七年東京大学教養学部卒業。六一年から六三(手書きで四に修正あり)までアメリカに留学。その間にカナダで、また六七年から六九年までジャカルタで、実地研究に従事。文化人類学専攻。法政大学助教授。
著書『極北のインディアン』(玉川大学出版部)『人間はわかりあえるか』(PHP)『生のかたち』(共著、思索社)『しつけ』(共著、弘文堂)

■帯より
子どもはどのように
育ってゆくのだろう?
一児の母親として
文化人類学者として
日にち直面する疑問が
異なった文化の中で育つ
子どもたちを観察させ
一冊の本を書きあげさせた。
極北のインディアンや
ジャカルタの回教徒を例に
豊富な野外観察の体験と
濃やかな着眼を生かして
子育て・親子関係を
いきいきととらえかえす。

■目次
1 切ることと創ること 9
2 親の仕事を知らない子どもたち 17
3 からだとつきあう その一 24
4 からだとつきあう その二 32
5 一人で生きること 39
6 けんかをどうとめるか 45
7 親子のつながり 52
8 あそび仲間のこと 59
9 「あそび」としての子育て 66
10 「親にならない」という決断 73
11 自然の中で作るおもちゃ 80
12 きびしい自然の中の子育て 88
13 "自然みしり"をする 96
14 「子どもぎらい」の文化 103
15 母系制社会の子ども 109
16 男女の分業について 115
17 キブツの男女・親子関係 121
18 バングラデシュの女の子たち 127
19 "がめつさ"について 134
20 男の子の「家出」について 140
21 しつけの男女差 146
22 離婚と子ども その一 153
23 離婚と子ども その二 160
24 ディズニーランドの文化 166
25 文化のなかの教育 その一 172
26 文化のなかの教育 その二 182
27 文化のなかの教育 その三 192
あとがき 203

■「あとがき」の冒頭部分
「子どもをのびのびと育てるにはどうしたらよいか」といった発想からでしょうか、『のびのび』という月刊誌が一九七四年三月以来、朝日新聞社から発行されていました。
  この本の大部分は、「子どもの文化人類学」という題で一九七五年一月から一九七六年一二月までの二四か月にわたって、『のびのび』に連載されたものです。 それに、日本幼稚園協会から出ている『幼児の教育』(発行元フレーベル館)の一九七三年三、五、六月号に掲載された「文化の中の教育」という文章を加えて一冊の本として頂きました。
『のびのび』という雑誌は、一九七八年三月号で休刊となりました。 こういう題の雑誌が編み出され、しかも五年しか続かなかったという事実は、今日の日本社会で子どもを育てることが、いかに大変なことと思われているかを反映しているように思います。
  文化人類学という学問を職業にえらび、さまざまな文化の中で子どもがどう育っていくかを勉強していますと、人間の子どもというのは、どんな社会に生まれようとひじょうに幅広い可能性を内包しながら成長していく力をもっていることが実感として迫ってまいります。 大人は子どもが自ら育ってゆく力を信じて力を貸してあげられるだけなのではないかと思われます。

■書評
るびりん書林 別館

○■ひとの居場所をつくる: ランドスケープ・デザイナー 田瀬理夫さんの話をつうじて■2015年11月11日 21:42


西村 佳哲 (著)
単行本: 269ページ
出版社: 筑摩書房 (2013/9/9)

■商品の説明
出版社からのコメント
『いま、地方で生きるということ』から2年。仕事をすること、生活をすること、生きること、を考察し探求しつづけた、西村佳哲さんの新境地です。
「これからの日本でどう生きてゆこう?」この大きな問いを、政治や経済だけでなく、土地であるとか生き物であるとか、そうした角度から扱ってゆけるといい。(帯より)

著者について
西村佳哲(にしむら・よしあき)
1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築分野を経て、「つくる」「書く」「教える」仕事にたずさわる。代表的な仕事に、黎明期のインターネット・プロジェクト「センソリウム」(1996-99)、働き方研究家としての著作『自分の仕事をつくる』(2003、晶文社/2009、ちくま文庫)、奈良県立図書情報館での全国フォーラム「自分の仕事を考える3日間」(2009-11)など。デザイン・プロジェクトの企画立案とチームづくり、ディレクション、およびファシリテーター役を担うことが多い。
他の著書に、『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『かかわり方のまなび方』(筑摩書房)、『自分の仕事を考える3日間I』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』『わたしのはたらき』(弘文堂)、『いま、地方で生きるということ』(ミシマ社)、『なんのための仕事?』(河出書房新社)など。
http://www.livingworld.net/

■目次(大項目)
まえがき 6
遠野 17
・クイーンズメドゥ・カントリーハウスを歩く 20

・ただの別荘ではなく 38
・縁を切らずに 41
・土地は借りればいい 45
・山林の拓き方 47
・基本は土地利用 50
・ここにあるものでつくる 53
・農業生産法人になる 56
・土地は、いま生きている人たちが使うもの 59
・所有を越えて使う 62
・馬のポテンシャル 65
・農業が景観をつくる 71
・自分たちがクライアントになろう 78
・馬とつくる生業 85
・馬が先か、人が先か 86
・前例をつくってしまうほうが早い 88

・岩手県沿岸部の宝 95
・宝の中で生きる 98
・ビジョンに根拠は要らない 101
・フリーハンドで考えるステージ 104
・事業でなく、"環境"に投資する 108

東京 115
・すごく、きれいな東京 118
・意識のある仕事を 125
・手間はかかるほどいい 130

・時間を蓄積する空間 134
・同じものが少なすぎる 139
・その場所らしさを再生する 142
・かかわり方を知らない 145
・公共空間のあり方 150

・これからの東京 154
・東京は出先くらいのつもりで 159
・他愛のないことの積み重ねが価値を持っていく 163

写真 津田直 169

田瀬理夫さんのあり方、働き方 185
・変わっていくこと自体が意味 186
・知らなくても、伝えれば出来る 189
・トップレベルの技術者と働く 192
・わからない本を読む 194
・会わないとわからない 198
・ワークショップ・スタイルで 200
・最初にやり方を提案する 202
・前例を用意しておく 204
・みんなの仕事を台無しにしない 206

注釈と付記 213

地上をゆく船 あとがきにかえて 237
・ないものはつくる 238
・一般教養としての建築・ランドスケープ 243
・政治や経済だけが、人間の環境ではない 247
・"人と社会と自然"の関係資本 254
・地上をゆく船 259

参考文献等 268
謝辞 269


■「まえがき」の結びの部分
  あるランドスケープ・デザイナーの経験と言葉を介して、読み手がそれぞれの暮らしや場づくり、めいめいの「船」やその可能性について考えられる空間を本の形でつくってみたい。

  第1章では、田瀬さんが取り組んできた遠野の試みをめぐって。
  第2章では彼が生まれ育った東京のことを通じて、日本じゅうに同じく存在する都市的な課題の共有を。
  第3章では彼の働き方に触れ、付記事項を経たのち、自分の考えも書いてみようと思う。

  では、遠野から。
  さまざまな緑地設計に携わってきた田瀬さんは、一連のクライアントワークとは別に十数年前から、岩手県の山里に仲間たちと「クイーンズメドゥ・カントリーハウス」という滞在拠点をつくり、馬を軸にした営みの実践的な実験を重ねている。


■書評
本が好き!

○○佐渡新発見――伝統と文化○2015年11月15日 12:40

東京やなぎ句会のメンバーが伝える佐渡の魅力や問題点。


東京やなぎ句会(編著)
発行所: 三一書房
1993年5月31日発行
247ページ

■「あとがき」の終わりの部分
  各地の文化団体や日航などの交通機関にもたいへんお世話になっているが、最近、三年続けて佐渡に渡ることになったのは佐渡汽船のご好意によるものだった。一年目は両津、二年目は真野、三年目は相川で「講演と落語の会」が開催される。訪問の回数を重ねる度に、佐渡の魅力は、金鉱と違って一生かかっても掘り尽くせないことに気がついた。三回とも一緒に行動しているはずのわれわれ同人でも、めいめいの体験や好みで、佐渡に対する思い入れや味わいが大きく異なってくる。佐渡は日本海に浮かぶ小さな島ではなく、日本の歴史のすべてを内臓する「日本の縮図」なのである。
  そんな我々の見聞を語ろうとすると、まだ佐渡へ行ったことのない人が身近に多いことに気がついた。そこで、これから佐渡に旅する人、まだ佐渡に行ったことのない人、佐渡をもっと深く知ろうとする人のために、われわれ同人がめいめいに感じた佐渡の魅力や問題点を提供しようというのが本書刊行の目的である。
  くれぐれも申し上げておきたいことは、東京やなぎ句会編集といいながら本書は<俳句の本>ではなく、光石宗匠の文章以外は、俳句とあまり関係がないということである。

■目次
佐渡の鼓童 永六輔 9 対談 佐渡・味と芸と人と 小沢昭一・柳家小三治 23 相川音頭始末記 77 佐渡と俳句 入船亭扇船 105 佐渡びいき 江國滋 123 関の寒戸さま ― ムジナ信仰と巫女 永井啓夫 133 法華経開目 ― 佐渡の日蓮 三田純市 143 真野・滝谷神社訪問 永井啓夫 161 『君の名は』の頃 加藤武 171 詩人のふるさと 矢野誠一 183 佐渡・いろいろな人たち 磯辺欣三 189 ・大井良明(小木町金田新田) ・佐々木照代(金井町泉) ・霍間幸雄(新穂村瓜生屋) ・磯辺照雄(羽茂町小泊) ・伊藤赤水(相川町羽田町) ・赤塚五行(小木町幸町) ・池田脩二(佐和田町八幡) ・浜田守太郎(佐和田町窪田) ・三国隆敏(相川町上京町) ・佐々木義栄(真野町新町) ・西橋健(畑野町猿八) ・浜口一夫(相川町高千) ・加藤長三郎(佐和田町窪田) ・笠井隆太郎(羽茂町村山) ・本間本秋(相川北片辺) ・新保基平(両津市梅津) ・伊藤邦男(金井町千種) ・井坂照(相川町橘) ・佐々木玲子(小木町金田新田) ・島きよし(佐和田町中原) ・打木 一(畑野町浜河内) ・山本修巳(真野町新町) ・矢田政治(両津市長江) ・本間琢治(佐和田町沢根) ・菊池秀明(佐和田町下長木) 付録 231 ・佐渡観光ガイド 231 ・佐渡のまつり 239 あとがき(神吉拓郎) 245

○■尋常小学地理書■2015年11月18日 10:22

大正14年発行の小学六年生用地理書。巻一および巻二。
当時の「今」が蘇る。


巻一
大正十四年一月二十五日 翻刻印刷
大正十四年三月五日 翻刻発行
著作発行 文部省
発売所 株式会社国定教科書共同販売所
本文153ページ 付録3ページ

巻二
大正十四年十二月五日 印刷
大正十四年十二月十日 発行
大正十四年十二月十一日 翻刻印刷
大正十四年十二月二十五日 翻刻発行
著作発行 文部省
発売所 株式会社国定教科書共同販売所
本文182ページ 付録1ページ

■目次(目録)
巻一
第一 日本 1
第二 関東地方 8
一 区域 9
二 地勢 9
三 産業 15
四 交通 19
五 都邑 24
六 伊豆七島・小笠原諸島 28
第三 奥羽地方 30
一 区域 30
二 地勢 30
三 産業 38
四 交通 44
五 都村 50
第四 中部地方 52
一 区域 52
二 地勢・気候 52
三 産業 65
四 交通 75
五 都邑 78
第五 近畿地方 82
一 区域 82
二 地勢 82
三 交通 90
四 産業 94
五 都邑 101
第六 中国地方 108
一 区域 108
二 地勢 108
三 産業 111
四 交通 附 瀬戸内海の交通 115
五 都邑 119
第七 四国地方 121
一 区域 121
二 地勢 121
三 産業 123
四 交通 127
五 都邑 128

第八 九州地方 129
一 区域 129
二 地勢 130
三 産業 138
四 交通 146
五 都邑 149
六 薩南諸島・琉球列島 151
付録 1


巻二
第一 北海道地方 1
一 区域 1
二 地勢 1
三 産業 4
四 交通 11
五 都邑 12
六 千島列島 14
第二 樺太地方 15
一 区域 15
二 地勢 16
三 住民・産業 17
四 都邑・交通 20
第三 台湾地方 21
一 区域 21
二 地勢 22
三 産業 25
四 交通 31
五 住民 32
六 都邑 附 澎湖諸島 33
第四 朝鮮地方 35
一 区域 35
二 地勢 36
三 産業 41
四 交通 46
五 住民・都邑 49
第五 関東州 52
第六 日本の総説 56
第七 アジヤ州 79
一 総論 79
二 支那 86
三 シベリヤ 104
四 印度 108
五 東アジヤ 110
第八 ヨーロッパ州 114
第九 アフリカ州 134
第十 北アメリカ州 140
第十一 南アメリカ州 153
第十二 大洋州 161
第十三 世界と日本 168
地球の表面 174
付録 1

■書評
本が好き!

○■ホームレス農園: 命をつなぐ「農」を作る! 若き女性起業家の挑戦■2015年11月19日 17:42

神奈川県藤沢市で農に関係する3つの事業を運営する女性起業家

小島 希世子 (著)
単行本: 214ページ
出版社: 河出書房新社 (2014/10/24)
言語: 日本語

■商品の説明
内容紹介
働く場所を求める人々と農業を結びつけ、人と農の両方の再生を目指して走り続ける女性企業家の“きれいごとなし”の奮闘記!

内容(「BOOK」データベースより)
“ホームレスをファーマーに!”を合い言葉に、貧困問題の解決と農業の再生を目指す!体当たりで「食」と「職」の未来を変えるチャレンジの軌跡。

著者について
1978年熊本生まれ。慶應義塾大学卒。株式会社えと菜園代表取締役、NPO法人農スクール代表理事。生活保護受給者などの就農支援プログラムで「横浜ビジネスグランプリ2011ソーシャル部門最優秀賞」受賞。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
小島/希世子
『株式会社えと菜園』代表取締役。1978年熊本県生まれ。慶應義塾大学卒業。野菜の産地直送の会社に勤務した後、熊本県の無肥料・農薬不使用栽培・オーガニック栽培に取り組む農家の奥さんたちと農家直送のネットショップ(現オンラインショップ「えと菜園」)を立ち上げ、2009年に『株式会社えと菜園』として法人化。農家直送の通販を行うほか、2011年には消費者の方に農業を身近に感じてもらうための『体験農園コトモファーム』を開催。求職者と農業界を結びつけるプランで、「横浜ビジネスグランプリ2011ソーシャル部門」最優秀賞を、「内閣府地域社会雇用創造事業第1回社会起業プラン・コンテスト」でも最優秀賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
はじめに 2
第1章 藤沢市にはホームレスが輝く農園がある
私の仕事は農。呼吸するように畑に出て野菜を作る 16
目指す農のテーマは「食べる・作る・学ぶ」 18
畑にくることで自分を変えつつある元ホームレスの男性 24
「食」と「職」を叶える「農」 30

第2章 私が「農」を始めたワケ
どうしてうちだけ農家じゃないの? 44
飢えで死ぬ子どもたちの映像が私の決意を強くした 48
剣道と柔道といじめ撲滅運動 51
農学部の受験に失敗、農から離れていく…… 53
これからは農業と関係のないアルバイトはしない! 57
こだわって作るほど儲からない、農家の現実 62
資金0円で始めた農家直送のオンラインショップ 64
1件の注文がネットショップの流れを変えた! 68

第3章 農業界とホームレスをつなげる
初めてホームレスをアルバイトに雇う 74
「ホームレスからファーマーへ」大作戦 79
ホームレスはなぜホームレスになってしまうのか 84
脱ホームレスに必要なものとは? 88
「就農」がホームレスを変える可能性 93
元ネットカフェ難民だった吉田さん(仮名)の実話 95
農作業で気づきを得る人たち 102
ホームレスの「越冬」問題に直面する 103
「無謀な妄想」から「社会に役立ちそうなプラン」へ 104
ビジネスコンテストでの優勝が追い風に 110

第4章 生活保護のほうが"マシ"? 農業研修に新たな壁
生活保護受給者を初めて受け入れる 118
ホームレスと生活保護受給者、何が違う? 120
増え続ける生活保護受給者とその対策 123
自分自身を大切にしないことへの怒り 130
私はあなたのお母さんになれない 133
真面目すぎて生きることが難しくなってしまう二ートたち 136
自分の居場所を確保するための争い 139
大事なのは、言葉ではなく行動を見ること 142
人を選択しないという選択。幸せの図式を実現したい! 144
みんなで前進するためのルールとゴール 147
自分の長所に気づける「ワークノート」 153
グループワークを通して自分や他人の役割を知る 159
難しいことを考えるより、まず畑に出て作業する 162

第5章 就農第1号が誕生! そして見えてきた次の課題
元ホームレス初のファーマーが熊本へ旅立つ日 166
ケンちゃんの挫折から見えてきた問題点 169
生活困窮者への就農支援プログラム、新規参加から卒業まで 171
卒業者たちの進路。農との出会いで可能性が広がるか 172
ニートの星"かずくん(仮名)"に続け! 175
女性が活躍する舞台としての農業 180
作り手としてのこだわりに軸を置いてビジネスを考える 184
「ホームレス農園」の飛躍のために解決すべきふたつの課題 189

第6章 「ホームレス農園」は今、さらなるステージへ
就農支援プログラムから「NPO法人農スクール」へ 192
まずは私の中にある"コツ"をマニュアル化する 195
「自分のやりたいこと」と「しなくてはいけないこと」 199
就農先農家との連携が不可欠 201
『農スクール』の卒業生を『農スクール』の講師に 202
オンラインショップと体験農園と『農スクール』の自立と共存 204
私の役目はパズルのピースとピースを組み合わせること 206

おわりに 211

■書評
本が好き!

○●ティッピ野生のことば ●2015年11月22日 10:16

自分は先住民の仲間であると思い、アフリカの動物と話す少女


ティッピ ドゥグレ (著)
水品 修 (翻訳)
アラン ドゥグレ (写真)
発行所: 小学館
2001年10月20日発行
109ページ

■商品の説明
出版社からのコメント
アフリカで野生動物と共に育った「動物と話す少女」ティッピ。11歳に成長したティッピが、なぜ野生動物と話ができるのか、彼女自身のことばで教えます。野生動物との友情あふれる写真満載のフォト・エッセイです。

内容(「BOOK」データベースより)
動物と話せるってこんなにス・テ・キ!動物と話す少女、ナミビアで生まれた最初のフランス人ティッピが教える“ナチュラル・ライフ”。

内容(「MARC」データベースより)
アフリカの野生動物に囲まれて生まれ育ったフランス人少女ティッピ。動物たちと気持ちを通じ合い友達になれる秘密を語ったティッピの印象的な言葉と、彼女が動物たちと戯れる奔放で愛らしい写真で綴るフォトブック。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ドゥグレ,ティッピ
1990年、アフリカ東部のナミビアに生まれる。ナミビアで生まれた最初のフランス人。野生動物をテーマとする映像作家の両親のもと、アフリカの草原で育つ。現在は、パリに在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■冒頭部分
  私の名前はティッピ、アフリカの女の子。十年前、アフリカのナミビアという国で生まれた私は、広大なアフリカ平原のなかで動物たちに囲まれて育った。私にとって、動物たちはほんとうに兄弟みたいなもの、生まれて最初に友達になったのは、アフリカの野生動物たち。だから、私は動物たちのことがよくわかる。
  でも今は、アフリカを離れてパリに住んでいる。小学校にも通っている。パリにいても、私の心はいつもアフリカの動物たちと一緒。いつ動物たちと再会しても、私は動物たちとしゃべることができる。

○○色のない島へ―脳神経科医のミクロネシア探訪記 ―○2015年11月24日 09:49


オリヴァー サックス (著), Oliver Sacks (原著), 大庭 紀雄 (翻訳), 春日井 晶子 (翻訳)
単行本: 318ページ
出版社: 早川書房 (1999/05)

■内容(「BOOK」データベースより)
色覚のない人々の驚くべき視覚生活とは?先天性全色盲、原因不明の神経病―特異な風土病とともに生きる人々の姿を感動の筆致で描く医学エッセイ。
内容(「MARC」データベースより)
先天性全色盲の患者が集団で暮らすピンゲラップ島、原因不明の神経病が多発しているグアム島…。「島」という環境ゆえに特異な風土病が残るミクロネシア。奇妙な病気とともに生きる島の人々の日常生活を心暖まる筆致で描く。

著者について
オリヴァー・サックス
1933年、ロンドンで医師の両親のあいだに生まれる。オックスフォード大学で生理学や生物学などを学び、1958年に医学学士号を授与される。その後アメリカに渡り、カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校やロサンジェルス校で神経科の専門医としてトレーニングを積む。1965年にニューヨークへ移り、ブロンクスのベス・エイブラハム病院のスタッフとなる。1973年に発表した『レナードの朝』は、ここで出会った患者たちとの体験をもとにしたものである。その後も脳神経外科として診療に携わるかたわら、作家活動を展開し、全米で大ベストセラーとなった『火星の人類学者』(早川書房刊)をはじめ、『妻を帽子とまちがえた男』『手話の世界へ』など数々の作品で世界中に感動を与え続けている。2015年没。
大庭紀雄(おおば・のりお)
鹿児島大学医学部教授(眼科学講座)。1962年東京大学医学部卒業。以後、眼科の臨床と研究に携わり、1969年から2年間にわたって米国ミシガン大学医学部視覚研究所で視覚研究に従事。帰国後、東京大学医学部講師を経て、1978年より現職。色覚異常や神経病に関する英文・和文の論文を多数発表している。編著に『遺伝性眼底疾患』『眼科検診に役立つ遺伝学』などがある。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
前書き 11
第一部 色のない島へ
・島めぐり便 19
・ピンゲラップ島 47
・ポーンペイ島 80
第二部 ソテツの島へ
・グアム島 121
・ロタ島 207

註 231
監訳者あとがき 313

■一言:文庫版あり。評価は高いですが、余計な描写が多く、お勧めではありません。

◎■みんな輝ける子に■2015年11月27日 22:01

子育てで大切なことは、自己肯定感を育てること


明橋 大二 (著), 太田 知子 (イラスト)
単行本(ソフトカバー): 224ページ
出版社: 1万年堂出版 (2015/10/20)

■商品の説明
内容紹介
「誤った子育ての常識が、子どもや親を二重三重に苦しめている」と、精神科医でスクールカウンセラーの著者は、長年、子どもと接してきた経験から、提唱し続けてきました。
しかし、子どもたちをめぐる状況はいっこうによくならず、不登校や心身症、いじめや児童虐待はますます増加し、少年事件が続発しています。
どうすれば、すべての子が輝いて育つのか。
子どもの心のSOSに気づくには、どうすればいいのか。
親や先生、地域の人たちは、子どもに、どう接すればいいのか。
13年前に発売された36万部のベストセラー『輝ける子』をベースに、子どもをめぐるさまざまな問題を提示し、10歳までの子育てで大切なポイントを、オールカラーで分かりやすくまとめました。

内容(「BOOK」データベースより)
「がんばれ」より「がんばってるね」と認めるほうがイイ。子どもに関するQ&A30問を掲載。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
明橋/大二
昭和34年、大阪府生まれ。京都大学医学部卒業。心療内科医。真生会富山病院心療内科部長。児童相談所嘱託医、スクールカウンセラー、NPO法人子どもの権利支援センターばれっと理事長、富山県虐待防止アドバイザー、富山県いじめ問題対策連絡会議委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
1 周りの言葉やちょっとした注意にも、
    いじめられていると思う子がいる 22
2 家に親がいないということだけで、
    子どもにどんどん
    モヤモヤがたまっていく 25
3 暴力的な子は、
    初めから乱暴だったのではない。
    自分が同じ被害に遭ってきて、
    じっと我慢してきたのに、
    もう耐えられなくて、爆発したのだ 30
4 叱っていい子と
    いけない子がいる 34
5 素直じゃないけど、
    この子なりに苦労してきたんだな、
    この子もつらかったんだな 39
6 ストレスがある限度を超すと、
    行動になって出てきたり、
    心身症になったりする
    ――子どもの心のSOS 44
7 今の子どもは、恵まれすぎているから、
    いじめ、非行などが増えているのか 49
8 キレる子どもや、引きこもりの原因は、
    しつけがなされていないからではない 52
9 十歳までは、しっかり甘えさせる。
    そうすることで、
    心の安定した、いい子に育つ 56
10 テレビゲームが、
    不登校や引きこもりの原因ではない。
    むしろ、心のよりどころになったり、
    癒しになったりする 58
11 気になる行動の背景には、
    「自分は大切な存在だと思えない」
    「自分は生きている意味がない」
    という気持ちが隠されている 61
12 「私はやっぱり、誰からも
    必要とされていないんだよ」
    拒食症の女の子の手記 64
13 子どもから、
    「どうせ」という言葉が出てきたら、
    気をつけなければなりません 67
14 「弱く、みじめな自分」「なんの取りえもないやつ」
    凶悪な事件を起こした少年は、
    自己肯定感が極端に低かった 71
15 「ほめて育てる」と、自信がつく子と、
    逆効果になる子があります 74
16 「手のかからない、いい子」は、
    ほめられ続けないと不安なので、
    休むことができず、大変苦しいのです 76
17 虐待を受けている子どもは、
    「親のことを悪く思いたくない、
    親は本当は愛情のある人なんだ、
    殴られたり否定されたりするのは、
    自分が悪い子だからだ、
    自分に価値がないからだ」と思っている 80
18 子ども時代の甘えは、
    心の安定をつくるのに、
    きわめて重要で、なくてはならないものです 85
19 すべて親の言うとおりに育てられた子は、
    自信のない子が多く、
    思春期になると、
    どうしたらいいか分からなくなる 90
20 いじめを苦にして自殺するより、
    不登校という道を選ぶほうが、
    よほどましだと、私は思います 93
21 先生から否定されると、子どもは、
    「やっぱり自分は、このクラスにはいらない、
    じゃまな人間なんだと思ってしまう 97
22 学校で、皆ができていることができないと、
    人間として失格であるかのような
    メッセージが子どもに伝わっている
    場合があります 100
23 大人社会の閉塞感
    (不況、リストラ、中高年の自殺)が
    確実に子ども社会にも影を落としている 103
24 「ひといちばい敏感な特性は、決して、
    あなたの弱さじゃないんだよ。
    素晴らしい特性なんだよ」 105
25 HSC(人一倍敏感な子)かどうかを
    知るための、23のチェックリスト 110
26 子どもの話を真剣に聞くだけで、
    「あなたは大切な存在なんだよ」
    と伝えることができる 114
27 「がんばれ」より、
    「がんばってるね」と認めるほうがいい 120
28 ほめて育てる、には注意が必要!
    「そんなにいい子にしていなくてもいいよ」
    「悪い子でもいいよ」
    と言ったほうがいい子もいる 123
29 「ありがとう」という言葉を、
    どんどん使おう 125
30 子どもに何らかのサインが出ている場合、
    親も過敏になり、不安になっています。
    絶対に親を責めてはいけません 127
31 子どもにも、
    大人にも、共通した、
    相手の心を開く話し方、接し方 132
32 ガラクタはガラクタなりに、
    たとえいびつであっても、
    輝くことができるんだ
    ――浜崎あゆみの歌から 140

Q&A 相談に来られる皆さんから、
        こういう質問をよく受けます。
        子どもに関するQ&A

Q01 「甘やかす」と「甘えさせる」は、
    どう違うのでしょうか 146
Q02 子どもを自立させるために、大切なことは? 148
Q03 きょうだいげんかがひどいです。
    親として、間に入っていいものかどうか迷います 152
Q04 三人きょうだいへの接し方は、どうすればよいでしょうか 154
Q05 上の子が、下の子をたたいたり、引っかいたりします 157
Q06 子育ての中で、父親の役割とは何でしょうか 160
Q07 家で悪い子、学校で良い子に、どう接したらいいの? 161
Q08 がんばっているところがない子を、どうほめたらいいの? 162
Q09 男の子の育て方のコツはありますか? 164
Q10 息子がアスペルガー症候群と診断されました 167
Q11 乱暴な子に、どう対応したらいいでしょうか 170
Q12 子どもを叱れない親が増えてきたように思います 175
Q13 「やればできるんだから」と
    子どもを励ましても、ちっともやろうとしません 177
Q14 子どもの悩みを分かったところで、
    どう接したらいいか分かりません 179
Q15 登園時に母親から離れようとしません 181
Q16 指しゃぶりが治りません 184
Q17 子どもが、スーパーで万引きをしました 186
Q18 子どもに問題が起きるのは、親の愛情不足だからでしょうか 188
Q19 共働きで、じゅうぶん、
    子どもに接する時間をとることができません 190
Q20 私の家は、母子家庭です。
    子どもの成長に問題が起きないか心配です 191
Q21 親のいない子には、どのように接すればいいでしょうか 193
Q22 子どもが、携帯電話を欲しがります 194
Q23 子どもが物を大事にしないのは、どうしてでしょうか 195
Q24 子どもが、「何のために生きているのか分からない」
    と言い出しました 198
Q25 不登校の娘がいます。
    フリースクールについて教えてください 200
Q26 アダルト・チルドレンとは、どういう意味でしょうか 203
Q27 子どもの身体に障がいがあります
    劣等感を持つのではないかと思い、将来が心配です 204
Q28 子どもが幼稚園で一度も声を発しません。
    場面緘黙では?と言われました 207
Q29 子どもがチック症と言われました
    どういう病気でしょうか 210
Q30 おじいちゃん、おばあちゃんは、
    子どもにどう接したらいいでしょうか 212

著者・明橋大二先生にインタビュー
    不登校の子どもと親、双方の支援が大切です 214

■「はじめに」
誤った世間の常識が、
子どもや親を、
二重三重に傷つけていきます
       明橋 大二

「いらない。
そう言われてから
私は価値をなくした。
何もできなくて。
中絶。
いらない子だった。
愛なんてない。
そんな二人に子供。
つらい運命。
価値なんて、
産まれた時からない。
価値。
そんなことを考えていると、
反抗も
ワガママも
全てが
自分には許されないことで、
ここにいる資格さえない。(後略)」
              (ヨヅキ 『14歳 いらない子』ポプラ社)

  近年、不登校や引きこもり、いじめ、児童虐待や、少年犯罪など、子どもをめぐる問題が、よく取り上げられるようになりました。
  何かニュースが起きると、マスコミではセンセーショナルに騒がれますが、その正確ないきさつとなると、一般に伝えられることはほとんどありません。
  その結果、「今の子どもはわがままだからだ」「しつけがなされていないから」「甘やかされているから」「今の子どもは何を考えているか分からない」というお決まりの結論が繰り返されています。
  子どもの心に関わる人なら、それが本当の原因でないのは、分かりすぎるくらい分かっていることなのですが、一般の人には、決して正しく伝わっていないように思います。
  そして誤った世間の常識が、子どもやその親を、さらに二重三重に傷つけていくことになります。

  今の子どもをめぐる問題の本当の根っこは、自己肯定感の極端な低さです。
  冒頭に挙げた詩にあるように、自分の存在価値があると思えない、自分が大切な人間だと思えない。相談の現場で見聞きする、子どもの心の叫びを、少しでも伝えることができれば、と思います。

  「子は親の鏡」といわれます。子どもの生きづらさは、大人自身の生きづらさでもあります。
  子どもの不登校や心身症を経験した、親がよく最後に語る言葉があります。
「子どもがサインを出してくれたおかげで、私たちも楽になりました。子どもがつらい、というのは、本当は、私たち大人がつらい、ということだったんですね」

  不登校や心身症がますます増加し、少年事件が続発する現代、それを子どもたちのせいにしているうちは、この社会は決して救われません。
  子どもたちの心を理解し、子どもが喜びをもって生きられるようになることが、実は、私たち大人を救い出すことになるのだ、ということに気づいて初めて、私たちも少し成熟した、といえるのではないでしょうか。

■書評
るびりん書林 別館