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◎■みんな輝ける子に■2015年11月27日 22:01

子育てで大切なことは、自己肯定感を育てること


明橋 大二 (著), 太田 知子 (イラスト)
単行本(ソフトカバー): 224ページ
出版社: 1万年堂出版 (2015/10/20)

■商品の説明
内容紹介
「誤った子育ての常識が、子どもや親を二重三重に苦しめている」と、精神科医でスクールカウンセラーの著者は、長年、子どもと接してきた経験から、提唱し続けてきました。
しかし、子どもたちをめぐる状況はいっこうによくならず、不登校や心身症、いじめや児童虐待はますます増加し、少年事件が続発しています。
どうすれば、すべての子が輝いて育つのか。
子どもの心のSOSに気づくには、どうすればいいのか。
親や先生、地域の人たちは、子どもに、どう接すればいいのか。
13年前に発売された36万部のベストセラー『輝ける子』をベースに、子どもをめぐるさまざまな問題を提示し、10歳までの子育てで大切なポイントを、オールカラーで分かりやすくまとめました。

内容(「BOOK」データベースより)
「がんばれ」より「がんばってるね」と認めるほうがイイ。子どもに関するQ&A30問を掲載。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
明橋/大二
昭和34年、大阪府生まれ。京都大学医学部卒業。心療内科医。真生会富山病院心療内科部長。児童相談所嘱託医、スクールカウンセラー、NPO法人子どもの権利支援センターばれっと理事長、富山県虐待防止アドバイザー、富山県いじめ問題対策連絡会議委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
1 周りの言葉やちょっとした注意にも、
    いじめられていると思う子がいる 22
2 家に親がいないということだけで、
    子どもにどんどん
    モヤモヤがたまっていく 25
3 暴力的な子は、
    初めから乱暴だったのではない。
    自分が同じ被害に遭ってきて、
    じっと我慢してきたのに、
    もう耐えられなくて、爆発したのだ 30
4 叱っていい子と
    いけない子がいる 34
5 素直じゃないけど、
    この子なりに苦労してきたんだな、
    この子もつらかったんだな 39
6 ストレスがある限度を超すと、
    行動になって出てきたり、
    心身症になったりする
    ――子どもの心のSOS 44
7 今の子どもは、恵まれすぎているから、
    いじめ、非行などが増えているのか 49
8 キレる子どもや、引きこもりの原因は、
    しつけがなされていないからではない 52
9 十歳までは、しっかり甘えさせる。
    そうすることで、
    心の安定した、いい子に育つ 56
10 テレビゲームが、
    不登校や引きこもりの原因ではない。
    むしろ、心のよりどころになったり、
    癒しになったりする 58
11 気になる行動の背景には、
    「自分は大切な存在だと思えない」
    「自分は生きている意味がない」
    という気持ちが隠されている 61
12 「私はやっぱり、誰からも
    必要とされていないんだよ」
    拒食症の女の子の手記 64
13 子どもから、
    「どうせ」という言葉が出てきたら、
    気をつけなければなりません 67
14 「弱く、みじめな自分」「なんの取りえもないやつ」
    凶悪な事件を起こした少年は、
    自己肯定感が極端に低かった 71
15 「ほめて育てる」と、自信がつく子と、
    逆効果になる子があります 74
16 「手のかからない、いい子」は、
    ほめられ続けないと不安なので、
    休むことができず、大変苦しいのです 76
17 虐待を受けている子どもは、
    「親のことを悪く思いたくない、
    親は本当は愛情のある人なんだ、
    殴られたり否定されたりするのは、
    自分が悪い子だからだ、
    自分に価値がないからだ」と思っている 80
18 子ども時代の甘えは、
    心の安定をつくるのに、
    きわめて重要で、なくてはならないものです 85
19 すべて親の言うとおりに育てられた子は、
    自信のない子が多く、
    思春期になると、
    どうしたらいいか分からなくなる 90
20 いじめを苦にして自殺するより、
    不登校という道を選ぶほうが、
    よほどましだと、私は思います 93
21 先生から否定されると、子どもは、
    「やっぱり自分は、このクラスにはいらない、
    じゃまな人間なんだと思ってしまう 97
22 学校で、皆ができていることができないと、
    人間として失格であるかのような
    メッセージが子どもに伝わっている
    場合があります 100
23 大人社会の閉塞感
    (不況、リストラ、中高年の自殺)が
    確実に子ども社会にも影を落としている 103
24 「ひといちばい敏感な特性は、決して、
    あなたの弱さじゃないんだよ。
    素晴らしい特性なんだよ」 105
25 HSC(人一倍敏感な子)かどうかを
    知るための、23のチェックリスト 110
26 子どもの話を真剣に聞くだけで、
    「あなたは大切な存在なんだよ」
    と伝えることができる 114
27 「がんばれ」より、
    「がんばってるね」と認めるほうがいい 120
28 ほめて育てる、には注意が必要!
    「そんなにいい子にしていなくてもいいよ」
    「悪い子でもいいよ」
    と言ったほうがいい子もいる 123
29 「ありがとう」という言葉を、
    どんどん使おう 125
30 子どもに何らかのサインが出ている場合、
    親も過敏になり、不安になっています。
    絶対に親を責めてはいけません 127
31 子どもにも、
    大人にも、共通した、
    相手の心を開く話し方、接し方 132
32 ガラクタはガラクタなりに、
    たとえいびつであっても、
    輝くことができるんだ
    ――浜崎あゆみの歌から 140

Q&A 相談に来られる皆さんから、
        こういう質問をよく受けます。
        子どもに関するQ&A

Q01 「甘やかす」と「甘えさせる」は、
    どう違うのでしょうか 146
Q02 子どもを自立させるために、大切なことは? 148
Q03 きょうだいげんかがひどいです。
    親として、間に入っていいものかどうか迷います 152
Q04 三人きょうだいへの接し方は、どうすればよいでしょうか 154
Q05 上の子が、下の子をたたいたり、引っかいたりします 157
Q06 子育ての中で、父親の役割とは何でしょうか 160
Q07 家で悪い子、学校で良い子に、どう接したらいいの? 161
Q08 がんばっているところがない子を、どうほめたらいいの? 162
Q09 男の子の育て方のコツはありますか? 164
Q10 息子がアスペルガー症候群と診断されました 167
Q11 乱暴な子に、どう対応したらいいでしょうか 170
Q12 子どもを叱れない親が増えてきたように思います 175
Q13 「やればできるんだから」と
    子どもを励ましても、ちっともやろうとしません 177
Q14 子どもの悩みを分かったところで、
    どう接したらいいか分かりません 179
Q15 登園時に母親から離れようとしません 181
Q16 指しゃぶりが治りません 184
Q17 子どもが、スーパーで万引きをしました 186
Q18 子どもに問題が起きるのは、親の愛情不足だからでしょうか 188
Q19 共働きで、じゅうぶん、
    子どもに接する時間をとることができません 190
Q20 私の家は、母子家庭です。
    子どもの成長に問題が起きないか心配です 191
Q21 親のいない子には、どのように接すればいいでしょうか 193
Q22 子どもが、携帯電話を欲しがります 194
Q23 子どもが物を大事にしないのは、どうしてでしょうか 195
Q24 子どもが、「何のために生きているのか分からない」
    と言い出しました 198
Q25 不登校の娘がいます。
    フリースクールについて教えてください 200
Q26 アダルト・チルドレンとは、どういう意味でしょうか 203
Q27 子どもの身体に障がいがあります
    劣等感を持つのではないかと思い、将来が心配です 204
Q28 子どもが幼稚園で一度も声を発しません。
    場面緘黙では?と言われました 207
Q29 子どもがチック症と言われました
    どういう病気でしょうか 210
Q30 おじいちゃん、おばあちゃんは、
    子どもにどう接したらいいでしょうか 212

著者・明橋大二先生にインタビュー
    不登校の子どもと親、双方の支援が大切です 214

■「はじめに」
誤った世間の常識が、
子どもや親を、
二重三重に傷つけていきます
       明橋 大二

「いらない。
そう言われてから
私は価値をなくした。
何もできなくて。
中絶。
いらない子だった。
愛なんてない。
そんな二人に子供。
つらい運命。
価値なんて、
産まれた時からない。
価値。
そんなことを考えていると、
反抗も
ワガママも
全てが
自分には許されないことで、
ここにいる資格さえない。(後略)」
              (ヨヅキ 『14歳 いらない子』ポプラ社)

  近年、不登校や引きこもり、いじめ、児童虐待や、少年犯罪など、子どもをめぐる問題が、よく取り上げられるようになりました。
  何かニュースが起きると、マスコミではセンセーショナルに騒がれますが、その正確ないきさつとなると、一般に伝えられることはほとんどありません。
  その結果、「今の子どもはわがままだからだ」「しつけがなされていないから」「甘やかされているから」「今の子どもは何を考えているか分からない」というお決まりの結論が繰り返されています。
  子どもの心に関わる人なら、それが本当の原因でないのは、分かりすぎるくらい分かっていることなのですが、一般の人には、決して正しく伝わっていないように思います。
  そして誤った世間の常識が、子どもやその親を、さらに二重三重に傷つけていくことになります。

  今の子どもをめぐる問題の本当の根っこは、自己肯定感の極端な低さです。
  冒頭に挙げた詩にあるように、自分の存在価値があると思えない、自分が大切な人間だと思えない。相談の現場で見聞きする、子どもの心の叫びを、少しでも伝えることができれば、と思います。

  「子は親の鏡」といわれます。子どもの生きづらさは、大人自身の生きづらさでもあります。
  子どもの不登校や心身症を経験した、親がよく最後に語る言葉があります。
「子どもがサインを出してくれたおかげで、私たちも楽になりました。子どもがつらい、というのは、本当は、私たち大人がつらい、ということだったんですね」

  不登校や心身症がますます増加し、少年事件が続発する現代、それを子どもたちのせいにしているうちは、この社会は決して救われません。
  子どもたちの心を理解し、子どもが喜びをもって生きられるようになることが、実は、私たち大人を救い出すことになるのだ、ということに気づいて初めて、私たちも少し成熟した、といえるのではないでしょうか。

■書評
るびりん書林 別館