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○■縄文人の入墨─古代の習俗を探る■2016年04月03日 09:32

社会生活において必要とされる伝統的入墨の風俗を広く探る


著者:高山 純
出版社: 講談社
昭和44年9月24日発行
306ページ

■著者について
昭和十三年(一九三八)、神奈川県生まれ。昭和三十八年、慶応大学文学部史学科(東洋史専攻)大学院修了。同四十二年から四十三年にかけて、東京教育大学国分直一教授に師事し、「南島の古代文化」にちて学んだ。同四十三年九月から四十四年四月まで、ホノルルのビショップ博物館に招かれ、オアフ島マカハの住居地発掘に従事した。日本考古学協会・日本民族学会・日本人類学会会員。専門は太平洋の考古学・民族学。(本書より発行当時の情報)

■カバーそでの紹介文
  三世紀末の日本にも、こんにち、未開民族のあいだにみられる入墨習俗があったらしいことは、中国の記録によってほぼ疑いがない。考古学者の研究によると、この習俗はわが国の新石器時代である縄文時代にも認められるという。もしそうであるとするなら、この入墨習俗はいったいどのような特徴をもったものなのか、また、日本の中において生まれたものなのか、あるいは、外部から伝播してきたものなのか、もし後者であるとするならば、どこの地域から伝播してきたものなのか?
  私は、今日、民族学者が未開民族の調査に出掛けるように、縄文時代に民族学者が日本に上陸し、当時の住民である「縄文人」についていろいろな民族学的調査をするというところまで、日本の考古学をもっていきたいと、いつも考えている。つまり、考古学を従来の遺跡・遺物のみを対象とした学問から、人間を相手にした学問にしたいと思っているわけである。本書はこの私の理想に近づこうとした最初の試みである。

■目次
まえがき
はじめに 8
第一章 縄文人の顔面入墨 13
  諸先学の研究 14
  縄文人のこのんだ入墨文様 24

第二章 入墨をあらわす古代の日本語 33
  「入墨」をあらわす言葉 34
  南方地域の入墨をあらわす言葉 40
  北方地域の入墨をあらわす言葉 50
  入墨をあらわす言葉からながめると、どのようなことがいえるか 51

第三章 受術者、施術者および助手 55
  受術者 56
  施術者 72
  助手 76

第四章 入墨のなされる部位 79
  部位と気候との関係 80
  東アジア、オセアニアにみられる入墨の部位 82
  部位の比較から系統問題が解明できるか 105

第五章 重要な文様とその意義 107
  十字形文様 108
  ヤスコの起源を探る 116
  装身具をモチーフとする入墨文様 122
  魔除けのための入墨 126
  百足文様 135
  倭人の入墨文様とその意義 143
  古代中国南部の入墨文様とその意義 150

第六章 入墨と成年式との関係 155
  豊穣と入墨 156
  首狩りと入墨 166
  男子の成年式としての入墨 178
  成女式としての入墨 183

第七章 通過儀礼としての入墨 203
  縄文人の男子の入墨される資格 204
  成女式の入墨 204

第八章 入墨の工具と顔料 217
  入墨の仕方 218
  顔料 222

第九章 特別の習慣ないし儀式 225
  施術の季節および日取り 226
  施術の場所 227
  祖先あるいは神への祈祷や供物 228
  受術者を励ますための唄 231

第十章 禁忌について 235
  日本の「不浄」を連想させるものへの禁忌 236
  過度の出血を防ぐための禁忌 237
  食物にともなう禁忌 239
  施術時および施術後の禁忌の及ぶ範囲 242
  季節による禁忌 244

第十一章 来世への入場権としての入墨 245
  たいていの入墨習俗にみられる信仰 246
  二つのタイプ 248

第十二章 今後の問題 265
  ハンブリーの仮説の紹介 266
  入墨の伝播・起源に関する私見 272
  今後の課題 281

第十三章 縄文人の入墨習俗の特徴 289
参考文献 298
あとがき 305

装丁 稲垣 行一郎
図版 加藤 新

■書評
別館

○■事故と事件が多発するブラック保育園のリアル■2016年04月06日 08:54

危機管理のプロがリスクの見抜き方・軽減方法を語る


脇 貴志 (著)
新書: 189ページ
出版社: 幻冬舎 (2016/2/12)

■商品の説明
内容紹介
「保育園=安全な場所」と思い込むのは危険!
あなたの子どもが被害に遭う前に読んでください。

待機児童を減らすための「詰め込み保育」、
低賃金や高い離職率を背景にした「保育士の著しい質の低さ」、
いつ重大事故 が起きてもおかしくない「危うい保育環 境」、
親の目が届かないところでの保育士による「虐待やネグレクト」――。
大切なお子さんを預けるにはあまりに危険すぎる「ブラック保育園」は、近年ますます増えてきています。
本書では、30000件の事故現場を見てきた著者が、
安全管理を行っていない「ブラック保育園」の実態、ブラック保育士・園長の見分け方、保育施設を選ぶ際のチェックポイントなどを解説します。

内容(「BOOK」データベースより)
3万件の事故現場を見てきた著書が警告!わが子が被害に遭う前に読みたい、ブラック保育園・保育士を見破る方法。

著者について
■ 脇 貴志(わき たかし) 株式会社アイギス代表取締役社長。
2003年から社会福祉法人・学校法人に対して事故やトラブルの対応アドバイザーサービスを展開。
現在は、全国の保育園に事故やトラブルに対しての24時間専用ダイヤル「危機対応サービス」を提供。
また、重大事故が発生した場合、現地対応スタッフを24時間以内に現場まで派遣する現地急行サービスを行っている。
保育園に特化した現場、現実を重視した具体的内容の事故防止セミナーで年150回以上講師を務め、事故発生時の対応アドバイザー業務を提供している。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
脇/貴志
株式会社アイギス代表取締役社長。2003年から社会福祉法人・学校法人に対して事故やトラブルの対応アドバイザーサービスを展開。現在は、全国の保育園に事故やトラブルに対しての24時間専用ダイヤル「危機対応サービス」を提供。また、重大事故が発生した場合、現地対応スタッフを24時間以内に現場まで派遣する現地急行サービスを行っている。保育園に特化した現場、現実を重視した具体的内容の事故防止セミナーで年150回以上講師を務め、事故発生時の対応アドバイザー業務を提供している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
はじめに 3
[第1章] あなたの子どももいつ被害に遭うかわからない――保育園の悲惨な現場事情
・保育園は、中身がわからない危険なブラックボックスだ! 14
・死亡事故は、どの保育園でも起こり得る 19
・保育園=リスクが過度に集中する場所 22
・死亡事故の98%が、3つの原因に集中している 29
・物言わぬ乳幼児が犠牲になる虐待事件 43

[第2章] 低すぎる給与、残業代の未払い、高い離職率――増え続ける「ブラック保育園」の実態
・安全管理をしないブラック保育園が、園児の命を奪う 54
・低賃金と激務で使い捨てられる保育士たち 58
・さらに高度な専門性が必要になった現代の保育 60
・待遇面で大きな差がつく認可・認可外の園 64
・独裁国家の危うさを秘めた保育園運営 70
・保育業界を取り巻く「ぬるさ」が悲劇を招く 75

[第3章] サービス悪化は園側の責任だけではない―― モンスターペアレントや地域住民がもたらす現場の混乱
・行き過ぎた要求をするモンスターペアレント 80
・保育園への過度な期待がクレームを招く 84
・モンスターペアレントの97%は「養殖もの」だ 88
・保育士に恋心をぶつける保護者 95
・騒音、苦情……モンスター住民との対立 97
・保育士の親もモンスターペアレント化している 101

[第4章] 子どもを預ける前に知っておきたい!
「新保育制度&リスク管理」の基礎知識
・「子ども・子育て支援新制度」のポイント 108
・保育園における事故報告の義務化 116
・「子ども・子育て支援新制度」の問題点 119
・正しく理解されていない「リスク管理」の概念 121
・あえてリスクを選択できる園こそ魅力的 126
・「ヒヤリ・ハット」の分析は正しくなければ当てにならない 128

[第5章] 「ブラック保育士・園長」を見破るチェックポイント
・ただ見学するだけでは、ブラック保育園は見抜けない 134
・危ない園長・保育士を見抜く7つのポイント 140
・最高の保育士とは、「ごく普通」の保育士でもある 151

[第6章] 事故を起こしやすい「施設設備・周辺環境」の共通点
・建物や設備の新しさだけで選んではいけない! 156
・室内には危険がいっぱい 160
・部厚いマニュアルがある園でも安心できない 164

[第7章] 保育事故・トラブルを回避するために――
保護者としての心構え
・子どもの命を預ける覚悟はありますか? 170
・保育事故ゼロに向けて、私たちが今日からできること 172
・クレームにも、ポジティブな思いを添える 175
・それでもブラック保育園に遭遇した時は 179
・一歩ずつ、保育をめぐる状況を変えていこう 181

おわりに 187

■「まえがき」より(中間の部分)
  私は、保育園の事故・トラブル専用ダイヤル(24時間対応)を2009年に設置して以来、全国の保育園からの相談を受け付け、園側が適切に対応できるようアドバイスしてきました。これまで3万件以上もの事故・トラブルを解決に導く中で、どうすれば事故を未然に防げるのか、保育現場はどのように対応するべきかを徹底的に現場を通して学び続けて、今日に至ります。
  これまでの経験で私が痛感したのは、保育園側も、そして保護者も「保育県は非常にリスクの高い場所である」という認識が、あまりにも薄いということです。
  まずは、今置かれている保育園の状況および保育制度、正しい保育園のあり方といった知識をしっかりと身に付けて、どのようなことに気を付けるべきかをよく理解することが大切です。

■書評
別館

○■カルト村で生まれました。■2016年04月10日 08:13

成人するとともに村を離れた本人がマンガで伝えるカルト村の暮らし


著者:高田 かや
出版社: 文藝春秋
2016年2月15日発行
143ページ

■内容紹介
「平成の話とは思えない!」「こんな村があるなんて!」と、WEB連載時から大反響!!
衝撃的な初投稿作品が単行本に!

「所有のない社会」を目指す「カルト村」で生まれ、19歳のときに自分の意志で村を出た著者が、両親と離され、労働、空腹、体罰が当たり前の暮らしを送っていた少女時代を回想して描いた「実録コミックエッセイ」。

〈カルト村ってどんなとこ?〉
●大人と子供の生活空間が別々 ●朝5時半起床で労働 ●布団は2人で1組●食事は昼と夜のみ ●卵ミルクを飲ませられる ●お小遣いはもらえない●すべてのモノが共有で、服もお下がり ●男子は丸刈り、女子はショートカット●ビンタ、正座、食事抜きなど体罰は当たり前 ●手紙は検閲される●テレビは「日本昔ばなし」のみ ●漫画は禁止、ペットも飼えない●自然はいっぱい。探険など外遊びは楽しい♪

内容(「BOOK」データベースより)
WEB連載時から大反響!!「所有のない社会」を目指すカルト村で生まれ、両親と離され、労働、空腹、体罰が当たり前の暮らしを送っていた少女時代を描く「実録コミックエッセイ」

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高田/かや
生まれてから19歳まで、カルト村で共同生活を送る。村を出てから一般社会で知り合った男性と結婚。村での実体験を回想して描いた作品を「クレアコミックエッセイルーム」に投稿したことがきっかけでデビュー。『カルト村で生まれました。』が初の単行本となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■もくじ
プロローグ 4
村の問題児 13
[おまけ四コマ]「トイレ掃除」 40

村の子の生活 41
[おまけ四コマ]「食い意地」 84

村の子の四季 85
[おまけ四コマ]「におい」 116

村の子旅に出る 117

エピローグ 133
あとがき 138
[おまけマンガ]「このコミックエッセイができるまで」 140

■「あとがき」冒頭部分
「自分の意志や思想ではなく、生まれた場所がたまたまカルトの村だった子供から見た、カルト体験コミックエッセイです。描き始めたばかりですが、感想やご指摘いただけると嬉しいです」
  そんな言葉を添えて、初めて投稿した十三枚の作品が、ウェブに掲載され、「クレアコミックエッセイルーム」で連載となり、その一年後には単行本になるなんて……まったく世の中はわからないものです。

■書評
別館

◎■虫はごちそう■2016年04月15日 17:32

虫は高級品として扱われる「ごちそう」。ラオスで、カラハリで、虫を食べる人々の暮らしは温かい。


野中 健一 (著)
単行本: 183ページ
出版社: 小峰書店 (2009/11)

■商品の説明
出版社からのコメント
  イナゴ、コオロギ、イモムシ、スズメバチ......。たくさんの虫が世界で、そして日本で食べられている。
  肉よりも値段が高く、コクのある味が外国人観光客にも人気のコオロギ(ラオス)。蒸し焼きにすると、ほくほくした食感がおいしいイモムシ(アフリカ・カラハリ砂漠)。愛好家のおじさんたちが魚や肉や砂糖水を与え、いとおしんで育てる「はちの子」(日本)......。
  食べ物を口にすることは、自然を身体に取り込むこと。虫の生態や周囲の環境を知り、技を駆使してつかまえ、こだわって料理し、おいしさを分かち合う。自然と人とのつながり、そして人と人とのつながりの深さが、食べ物を「ごちそう」という豊かなものにする。
  20カ国以上をまわり、現地の人々と暮らしをともにしてきた野中健一・立教大学教授が、子どもたちに向けた初めての書き下ろし。「世界には、さまざまな虫を食べる人がいるんだ、という驚きや感動が、世界の人々の暮らしや価値観、環境へと関心を広げていく」。一匹の虫から、食べることの本質や、世界各地の人々がそれぞれ大切にしてきた文化へと、思いは広がります。
  イラストを描かれたのは、『一清&千沙姫シリーズ』『とりかえ風花伝』(いずれも白泉社)などで知られる少女漫画家・柳原望先生。楽しさと資料性に富んだ図解、なんと実物大の虫の線画、そしてパラパラ漫画まで、読んでも眺めてもお楽しみいただけます。
  この一冊をきっかけに、子どもたちの世界や他者に向けるまなざしがより開かれることを願ってやみません。(小峰書店編集部)

内容(「BOOK」データベースより)
イナゴ、コオロギ、イモムシ、スズメバチ…。たくさんの虫が世界で、そして日本で食べられている。虫を知り、採る技をみがき、こだわって料理し、おいしさにほほ笑む。さあ、虫と、それを食べる人々の暮らしをみにいこう。

著者について 著者 野中健一(のなか・けんいち) 1964年,愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科史学地理学専攻中退。博士(理学)。現在,立教大学文学部教授。専攻は地理学,生態人類学,民族生物学。
祖父がハチ採りの名人だったことや,大学時代に林業の仕事で山に入った際にはちの子を口にしたことが,昆虫食の研究につながった。これまでに20を超える国々を訪れ,昆虫食を通して,自然と人間との関わりについて考察を進めている。学術書に『民族昆虫学-昆虫食の自然誌』(東京大学出版会),『ヴィエンチャン平野の暮らし-天水田村の多様な環境利用』(編著,めこん),『環境地理学の視座-<自然と人間>関係学をめざして』(共著,昭和堂),『野生のナヴィゲーション-民族誌から空間認知の科学へ』(編著,古今書院)など。一般向けの本に,2008年に人文地理学会賞を受賞した『虫食む人々の暮らし』(NHKブックス),『昆虫食先進国ニッポン』(亜紀書房)がある。

イラスト 柳原 望(やなはら・のぞみ)
漫画家,イラストレーター。愛知県生まれ。少女漫画誌を中心に活躍する。代表作に『一清&千沙姫シリーズ』『とりかえ風花伝』(いずれも白泉社)など。家庭用ロボットを描いたSF『まるいち的風景』(同)は,『TIME』誌アジア版のロボット特集にも掲載された。いっぽう,野中氏のフィールドワークに同行,取材し,『虫食む人々の暮らし』や『昆虫食先進国ニッポン』のイラストを担当。自然と人間との複合的な関わりを楽しく,分かりやすく表現している。現在,若手の地理学者を主人公に,食と家族の絆を描くコメディ『高杉さん家のおべんとう』(メディアファクトリー)を執筆。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
野中/健一
1964年、愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科史学地理学専攻中退。博士(理学)。現在、立教大学文学部教授。専攻は地理学、生態人類学、民族生物学。祖父がハチ採りの名人だったことや、大学時代に林業の仕事で山に入った際にはちの子を口にしたことが、昆虫食の研究につながった。これまでに20を超える国々を訪れ、昆虫食を通して、自然と人間との関わりについて考察を進めている。『虫食む人々の暮らし』で2008年に人文地理学会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■もくじ
初めに 6
・虫のチョコレート!? 6
・虫も食べ物 8
・昆虫食を探ってみよう 11

第一章 お弁当にバッタ!?――イナゴと日本人―― 14
・イナゴ採りの思い出 14
・学校はイナゴ基地 15
・母のイナゴ採り 18
・イナゴを料理する 21
・はじめて食べてみると 26
・ほかのバッタはどうだろう 28

第二章 コオロギは町のごちそう
――ラオスの暮らしと自然への信頼― 30
・秋の市場 30
・イナゴ採りに励む 35
・ラオスの村に住む 38
・田んぼと暮らし 44
(雨の夏の日/実りの秋に)
・コオロギ採りの日々 56
(コオロギ少年/川の中の道/出作り小屋)
・冬はカメムシ 72
(男の子の活躍/フンコロガシ/お母さんはツムギアリ採り)
・チュオを作ってみよう 86
(ラオスの食事/虫のグルメ/虫チェオ)
・町の市場――虫は高級食―― 91
(虫の売り方いろいろ/市場で売ること) 93

第三章 砂漠に生きる ――イモムシのおやつ―― 100
・カラハリ砂漠と狩猟採集民 100
・イモムシが出てくる 107
(はじめてのイモムシ採り/子どものおやつ/サソリを作るのか?)
・シロアリが飛んだ 117
(夕立ちがくる/虹の後から)
・タマムシの季節 125
(おいしく料理する)
・アフリカのイモムシ食 130
(自然の中の想像力)

第四章 大人は はちの子 ――スズメバチに挑む―― 136
・スズメバチは危ない? 136
(獰猛なハンター/森では気をつけよう)
・スズメバチを採る 139
(掘り出す)
・はちの子を料理してみよう 144
(はちの子ご飯)
・クロスズメバチを育てる 149
(みんなで育てる文化/7キロの巣/2000本の五平餅)

第五章 「ごちそう」は「親しむ」ことから 166
・「おしいさ」の意味は? 169

あとがき 177

□コラム「野中先生の虫よりな話」
①ラオスのたこ焼きはアリのコで 85
②カブトムシの「絆」―タイ北部のカブトムシ相撲 97
③カラハリ砂漠の虫遊び 134
④幻のカミキリムシを求めて 158
⑤虫料理を作ってみよう 164
⑥学校で試食 173

○昆虫食に親しむためのガイド 183
イラスト・口絵 柳原 望み
装幀 こやまたかこ
企画編集協力 戸谷龍明

■「あとがき」より(中間部分)
  科学というと、新しいことを発見したり、公式を作ったりすることだと思う人もいるだろう。もちろん、それは大切だ。人の暮らしにも公式といえるものがあるかもしれない。 けれども、その公式からどれほど外れられるのか、公式にあてはまらないことも現実にあるんだって知ることは、まだまだ人間はできることがあるんじゃないかと気づくきっかけになるだろう。 ぼくの研究の立ち位置はそんなところになる。

■書評
別館

○■日本ユダヤ王朝の謎──天皇家の真相■2016年04月17日 10:13

古代フェニキア人はマレー半島を経て九州に大物主国家を樹立?

著者:鹿島 ※ (昂の下がタヰ:ノボル)
出版社: 新國民社
昭和59年1月5日発行
245ページ

■商品の説明
伊勢神宮にユダヤの紋章があり、天皇家とユダヤ民族のかかわりが根強く論じられてきた。失われたユダヤ人十支族はシルクロードを辿り、中国大陸を経て日本に来たと従来考えられていた。著者はマレー半島に伝わるワニだまし神話と初めて公開された「桓檀古記」と「倭人興亡史」によって、ソロモンとサバの女王ビルキースのタルシシ船団が、マレー半島をへて九州に大物主王朝をたてたことを立証する。

■目次
まえがき 10
第一章 倭人と神道のツールはどこか 15
・ワニだまし神話のルーツ(1)──朝鮮と中国 16
・ワニだまし神話のルーツ(2)──マレー半島 20
・ワニだまし神話のルーツ(1)──セイロンとイスラエル 24
・日本と朝鮮のユダヤ神話──過ぎ越しの祭りと蘇民将来 27
・契丹のユダヤ神話 35
・ヒッタイト王国の興亡 40
・ソロモンと鉄の道 43
・太平洋と鉄の道──倭人の登場 50

第二章 聖徳太子は即位していた──入鹿殺しの真相 57
・入鹿殺し 58
・※曇の乱(※は田偏に比、ヒ) 63
・入鹿殺しは※曇の乱のことだ(※は田偏に比、ヒ) 66
・中臣氏の系図 70
・蘇我氏の系図 76
・新羅は駕洛から分れた 86
・聖徳太子の実像 92
・聖徳太子と「和」の精神 100
・物部氏の系図──物部守屋・用明天皇・百済王聖明は同一人物だ 104
・聖徳太子と阿毎多利思比孤 107

第三章 継体ユダヤ王朝と応神百済駕洛王朝
──大物主命と大伴氏・倭の五王 111
・継体王朝は別系である 112
・大伴氏の系図 114
・履中から武烈までの真相 118
・仁徳は女帝だった 121
・倭の五王とは誰か 124
・極東ブルボン王家──駕洛王・倭大王・百済王の一族 130
・応神は百済王久爾辛だ 132
・倭王の系譜(皇統譜解明表) 134

第四章 崇神天皇は扶余王依羅だった 147
・崇神から応神までの真相 148
・卑弥呼のために神功を創造した 150
・神功のために日本武尊が登場した 152
・景行・百済王辰斯・七支刀の倭王旨は同一人物だ 156
・崇神は扶余王依羅だ 161
・扶余王家とはなにか 164

第五章 扶余王神武と駕洛王孝安の戦い 173
・『東日流外三郡誌』について 174
・孝安王朝と賤民カースト 182
・神武から懿徳まで 185
・綏靖は扶余王簡位居だ 191
・『東日流外三郡誌』と倭国史の真相 196
・ユダヤ人と大物主族 200

第六章 『倭人興亡史』とはなにか──満州倭人帝国 203
・フェニキア人の史書 204
・渤海人にあなたは分家だといわれた聖武天皇 210
・渤海の主張は正しかった 213
・渤海王国とはなにか 215
・倭人の故郷は満州か? 218
・北倭と南倭 220
・北倭・扶余・馬韓・契丹・白丁の関係 225
・遼の建国と修史 228
・これはユダヤ系フェニキア人の史書だ 230

〔資料〕
『常陸国風土記』より 155
『日本の歴史』より 158
『三国史記』より 159
「高句麗好太王碑銘」 160
「たぎしみみ命の変」 195
年表 233
あとがき 243

■書評
別館

○■日本のペトログラフ――古代岩刻文字入門■2016年04月23日 20:01

岩に刻まれた古代文字は世界共通語?



著者:吉田 信啓 出版社: ロッコウ ブックス 平成3年10月1日発行
275ページ

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
先史時代の謎を解く有力資料として、いま、世界の学会がこぞって探索・究明している〈原初文字〉が日本列島にもあった。ハーバード大学、スタンフォード大学をはじめと欧米の著名研究機関と国際協力、ここに初めて明らかにされる古代岩刻文字の秘密。

著者について
吉田信啓(よしだ・のぶひろ)
昭和十一年、福岡県行橋市生まれ。昭和三十五年、広島大学文学部言語学専攻卒。同大学英語学英文研究生をへて高校教諭となり、広島県庄原格致高校、福岡県立小倉高校、修猷館高校、若松高校などを歴任。また、西日本新聞の社外スタッフとして、文化・学芸欄を中心に二十三年間にわたり考古学、美術、民芸、陶芸などのコラムを担当。文部省科学研究では、「九州の民窯の総合調査」、「西日本の格子天井絵馬の総合調査」、「環太平洋ペトログラフの文化社会学的研究」などを実施。東南アジヤ、欧米など海外の研究調査も十数回におよび、欧米の学術機関・研究所との共同研究・学会活動を展開、「行動する国際研究者として評価が高い。
英語関係の著書として『入門基礎英文法』、『英訳・九州の民話』など多数がある。

■目次
第一章 ペトログラフとは何か
〔一〕岩に刻まれた「文字」以前の文字・ペトログラフ 10
〔二〕ペトログラフ(ペトログラフ学)とは何か 28
〔三〕世界的に研究されているペトログラフ 32

第二章 日本のペトログラフ
〔一〕山口県のペトログラフ――下関市、豊浦郡、阿武郡、山口市 85
〔二〕福岡県のペトログラフ
――北九州市、豊前市、太宰府市、宇美町、田川郡 137
〔三〕大分県のペトログラフ――宇佐郡安心院町、院内町 153
〔四〕熊本県のペトログラフ――阿蘇郡南小国町、西原村 161
〔五〕佐賀県のペトログラフ――神埼郡三田川町、江北町 176
〔六〕宮崎県のペトログラフ――日向市、美々津町 185
〔七〕鹿児島県のペトログラフ――坊津町 191
〔八〕長崎県のペトログラフ――五島列島の福江島 195
〔九〕島根県のペトログラフ――邇摩郡、出雲 199
〔十〕鳥取県のペトログラフ――東伯郡東伯町、浦安 203
〔十一〕沖縄県のペトログラフ 208

第三章 日本のペトログラフ学が書き換える歴史
〔一〕紀元前二〇〇〇年代に、アラビヤ~米大陸~日本の文化連鎖が あった 210
〔二〕先史時代の古代世界は一つの言語(文字)、哲学(宗教)で結ばれていた 220
〔三〕環状列石(ストーンサークル)や磐座との関連 223
〔四〕あなたも出来るペトログラフ探索と国際研究 232
〔五〕日本列島に展開するペトログラフの意味と背景 247
〔六〕ペトログラフ学――今後の課題と展開 259

日本のペトログラフ分布図 271
あとがき 273
ペトログラフ一覧表(カバー裏)

■カバーそでより
古代人が岩石に刻んだ文字や文様――ペトログラフの研究は、いま、世界に広がっている。日本でも発見例八十ヵ所・四五〇個を超え、六五〇〇万年前には文字を使う人びとがこの列島にもいたことが、厳然たる事実として受け入れられようとしている。
本書は、ペトログラフ学の第一人者が、文部省科学研究などにより、これまで日本の各地で発見した豊富な調査例と、長年の研究成果を分かりやすく紹介、さらに「見つけ方」の注意・手引きをも付けた初の入門書。

■書評
別館

○●こんにちは、ビーバー (たくさんのふしぎ傑作集) ●2016年04月25日 21:57

「定住」する動物、ビーバー

佐藤 英治 (著, 写真)
単行本: 40ページ 出版社: 福音館書店 (2007/1/20)

■内容紹介
アラスカの野生動物の撮影のために、湖畔にキャンプをしていた写真家が、ビーバーの一家に出会いました。大自然に生きるビーバーは、いきいきとしていてとても魅力的でした。さっそく撮影を始めますが、決まって逃げられてしまいます。追い回すことをやめたとき、はじめてビーバーたちは安心して写真家の前に姿を現しました。もみの木が茂り、その根元ではルピナスが咲く、アラスカの美しい自然の中に生きるビーバーたちの暮らしを、臨場感あふれる写真で紹介します。 動物園でみるビーバーは、与えられた枝で巣穴をせっせと修復するだけですが、アラスカの野生のビーバーは違います。山を登り、木を倒し、枝をかじって巣穴にはこんできます。天敵のカワウソには太い尻尾を水面に打ち付けて勇ましく闘うこともあります。ビーバーの力強い、巣作りの様子をごらんください。 ビーバーの作る巣穴は、自然のダムになり、他の動物たちの住みやすい環境をつくることにもつながっている、など新しい発見があるはずです。

著者について
<写真家>1963年、名古屋市に生まれる。名城大学卒業。大学在学中より、ケニア、タンザニアを訪れ、野生動物の写真を撮る。その後、北アメリカに渡り、キャンプをしながら、アラスカやロッキー山脈に生息する動物たちを撮影。現在は主に、アラスカでビーバーを撮り続けている。


■出だし

ビーバーのことがこんなに()きになるなんて思ってもいませんでした。

子どものころも、ビーバーが木をかじりたおしてダムを作る動物(どうぶつ)だ、というくらいのことは知っていましたが、動物園(どうぶつえん)で見るビーバーは、いつも(もの)かげにかくれてじっとしている、おもしろくない動物(どうぶつ)だったからです。

ところが、おとなになってアラスカの大自然(だいしぜん)の中で出会ったビーバーは、動物園(どうぶつえん)のビーバーとはちがう動物(どうぶつ)じゃないかと思うほどに、いきいきとしていました。(わたし)はビーバーに夢中(むちゅう)になってしましました。


■各ページの見出し
・ビーバーのすみか
()とダム
()修理(しゅうり)するビーバー
・ビーバーと水
・しっぽ
・ビーバーの毛皮(けがわ)
撮影(さつえい)のはじまり
(さか)
・たおれた木
・木をかじるビーバー
・ビーバーの(てき)
・カワウソとのたたかい
・秋
・冬のおとずれ
・冬


○■森田療法(講談社現代新書)■2016年04月30日 13:56

不安や葛藤を「あるがまま」に受け入れ、すこやかな自己実現を目指す



岩井 寛 (著)
新書: 204ページ
出版社: 講談社 (1986/8/19)


■商品の説明
内容紹介

「あるがまま」を受け入れる――。
がんに冒された筆者が死の直前まで語り綴ることで生まれた 不朽のロングセラー。

90年前に日本で創始された心理療法の論理と実践法を
わかりやすく解説。

たとえば、苦手な上司と面接しなければならないとき、
自分の構想をよりよく披瀝しようと考える一方で、
あの上司は苦手だからなんとかその場を繕って
逃げていしまいたいという考えも浮かぶ。

誰にでもある「逃避欲求」を「あるがまま」にして、
「自己実現欲求」を止揚していこうとするところに、
西欧の精神療法とは異なった森田療法の特殊性がある。
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学校での人間関係、会社での問題の対処の仕方、
家族・社会とのかかわり、不安と劣等感、ノイローゼ、対人恐
怖……。
本書は、現実的な生活のなかで起こってくる
さまざまな心理的事象に対処するために
、 森田正馬が編みだした独自の理論と実践例をわかりやすく紹介し、
心の健康を保つためのヒントを提供、非常に役立つ内容となっている。
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【おもな内容】
はじめに――「森田療法」とは何か
1 森田療法の基礎理論
2 神経質(症)のメカニズム
3 神経質(症)の諸症状
4 神経質(症)の治し方
5 日常に生かす森田療法
おわりに――生と死を見つめて

内容(「BOOK」データベースより)
他人の視線に怯える対人恐怖症。強迫観念や不安発作、不眠など、心身の不快や適応困難に悩む人は多い。こころに潜む不安や葛藤を“異物”として排除するのではなく、「あるがまま」に受け入れ、「目的本位」の行動をとることによって、すこやかな自己実現をめざす森田療法は、神経症からの解放のみならず、日常人のメンタル・ヘルスの実践法として、有益なヒントを提供する。

著者について
岩井 寛(いわい ひろし)
一九三一年、東京生まれ。上智大学卒業後、早稲田大学文学部大学院で美学を学び、さらに東京慈恵会医科大学を卒業。専攻は、精神病理学。医学博士。一九八六年五月、ガンのため逝去。『立場の狂いと世代の病』(春秋社)など著書多数。


■目次
「最後の自由」――追悼・岩井寛先生――松岡正剛 3

はじめに――「森田療法」とは何か 9

1 森田療法の基礎理論 17
・1―「生の欲望」と人間 18
・2―人間心理の発達過程 22
・3―「生の欲望」の二面性 37

2 神経質(症)のメカニズム 51
・1―神経質(症)者の性格 52
・2―「ヒポコンドリー性基調」とは何か 64
・3―「精神交互作用」について 72
・4―「とらわれ」の心理 77
・5―「はからい」の心理 85

3 神経質(症)の諸症状 91
・1―神経質(症)とは何か 92
・2―神経質(症)の類型 96
・(1)強迫観念(強迫神経症) 97
・(2)不安神経症(発作性神経症) 105
・(3)普通神経症 114

4 神経質(症)の治し方 121
・1―入院療法と外来療法 122
・2―「精神交互作用」を打破する 130
・3―「とらわれ」と「はからい」からの脱却 138
・4―「あるがまま」と「目的本位」 145
・5―自己実現と自己陶冶 163

5 日常に生かす森田療法 169
・1―成就した「あうがまま」体験 170
・2―私にとっての森田療法 179
・3―「あるがまま」の本質 185

おわりに――生と死を見つめて 191


■松岡正剛氏による「「最後の自由」―追悼・岩井寛先生」より冒頭部分

まず、最終章「おわりに」から読まれたい。本書の特殊な成立の事情が述べられている。これは全身をガンに冒されて逝った岩井寛先生の最後の著書、生の最後の報告書なのだ。著書とはいっても、目が見えず、最後は手もほとんど動かなかったから、口で書いた著書、いや文字どおりの一語一語の吐露である。そして本書のゲラ(校正刷り)が出る前に、一九八六年五月二十二日の午前三時八分、先生はかつてヒマラヤで見た憧憬の蒼天(そうてん)に帰っていった。

本書の特色は森田療法の今日的意義を縦横に論じているところにある。読んでいただければわかるように、ここには「あるがまま」とは何か、という問いが随所にちりばめられている。自己の不安と実現欲求をみつめることが、多くの神経症からの解放をもたらすであろうという示唆の書になっている。先生は本書の内容を前提にして、さらに広範なホリスティック・セラピー・システムの構想をまとめつつあった。

もともと森田療法は、心の不安を内なる異物として除去しようとせずに、そこに日常とのおおらかな連続性を容認するところにはじまっている。よく知られるフロイディズムとは、そのよって立つところがかなり異なっている。先生の考え方は、森田療法のすべてに一致を見ているわけではないが、「あるがまま」の気持ちこそが不安の異常な増幅を解消しうるという主張こそは積極的にとりいれている。そこに本書が、病める現代人にたいするラディカルな提案になっているゆえんもあろう。そしてこの提案こそ、実に岩井先生がその生涯に課してきた自分自身への療法であるかもしれなかった。私はそのことを、死の前の数ヵ月間の貴重な伴走体験から知らされた。


■書評
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