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○■縄文人の入墨─古代の習俗を探る■2016年04月03日 09:32

社会生活において必要とされる伝統的入墨の風俗を広く探る


著者:高山 純
出版社: 講談社
昭和44年9月24日発行
306ページ

■著者について
昭和十三年(一九三八)、神奈川県生まれ。昭和三十八年、慶応大学文学部史学科(東洋史専攻)大学院修了。同四十二年から四十三年にかけて、東京教育大学国分直一教授に師事し、「南島の古代文化」にちて学んだ。同四十三年九月から四十四年四月まで、ホノルルのビショップ博物館に招かれ、オアフ島マカハの住居地発掘に従事した。日本考古学協会・日本民族学会・日本人類学会会員。専門は太平洋の考古学・民族学。(本書より発行当時の情報)

■カバーそでの紹介文
  三世紀末の日本にも、こんにち、未開民族のあいだにみられる入墨習俗があったらしいことは、中国の記録によってほぼ疑いがない。考古学者の研究によると、この習俗はわが国の新石器時代である縄文時代にも認められるという。もしそうであるとするなら、この入墨習俗はいったいどのような特徴をもったものなのか、また、日本の中において生まれたものなのか、あるいは、外部から伝播してきたものなのか、もし後者であるとするならば、どこの地域から伝播してきたものなのか?
  私は、今日、民族学者が未開民族の調査に出掛けるように、縄文時代に民族学者が日本に上陸し、当時の住民である「縄文人」についていろいろな民族学的調査をするというところまで、日本の考古学をもっていきたいと、いつも考えている。つまり、考古学を従来の遺跡・遺物のみを対象とした学問から、人間を相手にした学問にしたいと思っているわけである。本書はこの私の理想に近づこうとした最初の試みである。

■目次
まえがき
はじめに 8
第一章 縄文人の顔面入墨 13
  諸先学の研究 14
  縄文人のこのんだ入墨文様 24

第二章 入墨をあらわす古代の日本語 33
  「入墨」をあらわす言葉 34
  南方地域の入墨をあらわす言葉 40
  北方地域の入墨をあらわす言葉 50
  入墨をあらわす言葉からながめると、どのようなことがいえるか 51

第三章 受術者、施術者および助手 55
  受術者 56
  施術者 72
  助手 76

第四章 入墨のなされる部位 79
  部位と気候との関係 80
  東アジア、オセアニアにみられる入墨の部位 82
  部位の比較から系統問題が解明できるか 105

第五章 重要な文様とその意義 107
  十字形文様 108
  ヤスコの起源を探る 116
  装身具をモチーフとする入墨文様 122
  魔除けのための入墨 126
  百足文様 135
  倭人の入墨文様とその意義 143
  古代中国南部の入墨文様とその意義 150

第六章 入墨と成年式との関係 155
  豊穣と入墨 156
  首狩りと入墨 166
  男子の成年式としての入墨 178
  成女式としての入墨 183

第七章 通過儀礼としての入墨 203
  縄文人の男子の入墨される資格 204
  成女式の入墨 204

第八章 入墨の工具と顔料 217
  入墨の仕方 218
  顔料 222

第九章 特別の習慣ないし儀式 225
  施術の季節および日取り 226
  施術の場所 227
  祖先あるいは神への祈祷や供物 228
  受術者を励ますための唄 231

第十章 禁忌について 235
  日本の「不浄」を連想させるものへの禁忌 236
  過度の出血を防ぐための禁忌 237
  食物にともなう禁忌 239
  施術時および施術後の禁忌の及ぶ範囲 242
  季節による禁忌 244

第十一章 来世への入場権としての入墨 245
  たいていの入墨習俗にみられる信仰 246
  二つのタイプ 248

第十二章 今後の問題 265
  ハンブリーの仮説の紹介 266
  入墨の伝播・起源に関する私見 272
  今後の課題 281

第十三章 縄文人の入墨習俗の特徴 289
参考文献 298
あとがき 305

装丁 稲垣 行一郎
図版 加藤 新

■書評
別館