独自の視点で本を選んで紹介しています。

aroha.asablo.jp/内をGoogle.comで検索します


「Amazon.co.jpアソシエイト」

○■覚醒する心体―こころの自然/からだの自然■2016年10月29日 17:44

気功を実践する臨床心理士が語る「覚醒」を通じて「どうにもならない」自分を主体的に生きる意味を探る。


濱野 清志 (著)
単行本: 204ページ
出版社: 新曜社 (2008/11/4)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ほどよく「気」がくばられた場でのダイアローグから“こころ/からだ”が目覚め…自然な循環がはじまる。臨床の知が発信する「個」の変容ダイナミズム。人と人の「界面(インターフェイス)」を活性化させる“生きた環境”の創造をめざして。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
濱野/清志
1956年、神戸市生まれ。京都大学法学部卒業、京都大学教育学部卒業。京都大学大学院教育学研究科博士課程修了(臨床心理学)。京都大学教育学部助手、九州大学教養部助教授などを経て、京都文教大学臨床心理学部臨床心理学科教授、京都文教大学心理臨床センター所長。臨床心理士、京都大学博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
まえがき 1
序章 身体の二重性 15
響き合ういのち 16
気の体験的理解 18
右手で考える 21
夢体験のもたらすリアリティ 28
右手のアイデンティティ 30
気のアイデンティティ 38

第一章 黒い身体の発見 43
身体の一回性 44
気についての考えかた 48
身体性のイメージとは 53
黒い身体を求めて 56

第二章 気功と身体 61
身体性イメージの形成 62
気功におけるイメージ 67
立つことを感じる 70
他者の意義 74

第三章 主観的身体 79
私の身体に生じる反応 80
めまいの感覚 82
身体の諸相 87
触れることについて 101
主観的身体の意義 104

第四章 聴く身体 111
身体で耳を傾ける 112
全人的に気を受けとる 114
場所をつくり整える 116
気感を養い共有する 119
イメージの現実性にふれる 123
人間関係を二重に見る 126
柱として中心に立つ 130

第五章 主体の生成 133
崖から落ちる 134
気に抱かれる 138
澄んだ鏡のような目で見る 142
仙と俗を生きる 150
王として大地に立つ 155
土とつながる 159

終章 個人と環境の再生 165
「生きた環境」の生成 166
場所への/からの「気くばり」 169
「気くばり」の構造 173
「聞く」ことがもつ力 179
生理的早産と「生きた環境」 185
個々の「生きた環境」を大切に 187
聞く力のために必要な「語る」力 190

初出一覧/引用・参考文献 193
あとがき 201

装丁 上野かおる

■「あとがき」の冒頭部分
  筆者は、心理臨床の諸問題を考える手がかりとして、"気"に注目して、いろいろな角度から考えつづけてきた。その始まりは、学生の頃の卒業論文からである。その頃は、性格表現として使われる「気」に関心をもって、その使われかたの分析をしようとしていた。心理療法はどうしても言葉を使わざるをえないわけで、そうすると、どんな海外の優れた論文を読んでも、それを日本語を使う筆者とクライエントとのあいだで生かすには、日本語のもつ特性から心をとらえなおす必要がある。そんな思いから、「気」という表現を通してみた人間のありようを理解しようとしたのだった。
  その頃は、気功などやってみようとはまったく思っていない自分がいた。「心理療法は心の問題だから、体を使うことは関係がない」と素朴にそう思っていたのだ。素朴に心身二元論を生きていたのだと思う。もちろんその頃から身体論のたぐいを読んでもいたし、市川浩の『精神としての身体』は結構、興味をもって読んでいた。また、高校生の頃から、義兄がしている合気道を教えてもらったりしていて、そういう点での「気」には関心をもっていた。にもかかわらず、心理臨床の実践とそれをめぐる思考のなかに、身体を通じて体験領域に上がってくる"気"はつながってはいなかったのだ。
  これはとても興味深いことだと思う。身体の問題は、それを考えることと、それを生きることではまったく異なる。身体を生き始めると、身体は心でもあり、心は身体でもあることが強く感じられるようになる。そうしていまでは「心理臨床を実践する者は、自分の身体との付き合いをもっと深めていくべきだ」と考えている。そういう点で、日本でオリジナルに生み出された「動作療法」という心理臨床活動が展開してきているのも、非常に重要なことだろうと思う。また、フォーカシングやプロセス指向心理学の展開も注目に値する。

■書評
気功を実践する臨床心理士が語る「覚醒」を通じて「どうにもならない」自分を主体的に生きる意味を探る。