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○■ブッシュマン、永遠に。―変容を迫られるアフリカの狩猟採集民■2017年09月15日 09:25

700万年間続いた人類の生活は、こんなにも充実した楽しい生活であったのかと思わせる描写から始まって「近代化」による変容を描くことに重点を置いた本書は、日本のブッシュマン研究者たちの紹介にもなっている



田中 二郎 (著)
単行本: 225ページ
出版社: 昭和堂; 初版 (2008/10/1)

商品の説明


内容(「BOOK」データベースより)


歴史の生き証人が語る“地球最後の狩猟採集民”の過去・現在・未来。四〇年間にわたるブッシュマン研究の一端を記し、生態人類学研究から地域研究への転進を模索した。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)


田中/二郎
1941年京都生まれ。京都大学理学部卒業。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。理学博士。京都大学霊長類研究所助教授、弘前大学人文学部教授、京都大学アフリカ地域研究センター、アジア・アフリカ地域研究研究科教授を歴任。京都大学名誉教授。専門は人類学、アフリカ地域研究。狩猟採集民ブッシュマン、ムブティ・ピグミー、遊牧民レンディーレ、ポコットなどを対象とした生態人類学的研究をおこなってきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

目次


はじめに i
第1章 コイサン人―ブッシュマンとコイコイ―の起源と歴史 1
コイサン人との出会い 2
コイサン人の名称 4
ブッシュマンの起源 9
牧畜民コイコイの分岐と拡散 11
コイサン人の衰退 16
第2章 狩猟採集の生活、文化と社会 21
カラハリの自然 22
セントラル・カラハリとカデ地域の人びと 27
日々の暮らし 31
狩猟 37
植物採集 44
生活を支える植物採集VS.狩猟の進化史的意義 48
移動生活と住居 54
平等主義と集団の流動性 61
第3章 ブッシュマン社会の変貌 65
ふたたびカデの地へ 66
調査の再開 71
変貌するカデ 76
馬を用いた集団狩猟 80
平等主義崩壊の兆し 84
第4章 定住地の整備 89
カデ小学校の開校 90
近代医療の導入 93
居住様式の変化 95
国政選挙への参加 100
コープ方式の売店ができた 105
飲酒と暴力 108
喧嘩と裁判 112
定住化がもたらす問題点 115
一九八七年の定住集落 117
調査項目の設定と各自の分担 122
第5章 長期共同調査の体制を整える 125
通年調査が可能となった 126
四人の新来者を迎え入れる 129
カラハリ族へのアプローチ 132
女性の視点によるブッシュマン研究 137
セントラル・リザーブの昨今 141
ナミビア側のブッシュマン開発計画 147
第6章 定住化と開発 153
定住化にともなう問題点再考 154
開発計画を考える 159
女性人類学断章 163
多岐にわたる昆虫の利用 168
ライオンに出くわしたコンケネ 173
第7章 故郷を追われる人びと 177
ついにそのときがきた――再移住 178
乳幼児の発達と育児 184
生態人類学から地域研究へ 187
ブッシュ生活への回帰 191
二つの死 197
最後の訪問 204
定住化社会の将来 210

あとがき 217
参考文献 221

160ページに収録された写真40の説明文


エランド・ダンス。初潮を迎えた少女は小屋のなかに寝かされ、そのまわりを数日間にわたって女たちが踊り、成人を祝う。アンテロープのなかでもお尻が丸々と大きくもっとも脂肪ののったエランドは、多産と豊穣のシンボルだとしてこの名前が付けられている(1971年10月)。

書評


700万年間続いた人類の生活は、こんなにも充実した楽しい生活であったのかと思わせる描写から始まって「近代化」による変容を描くことに重点を置いた本書は、日本のブッシュマン研究者たちの紹介にもなっている