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○□この世に命を授かりもうして□ ― 2016年10月16日 20:33
天台宗大阿闍梨 酒井 雄哉 (著)
単行本: 180ページ
出版社: 幻冬舎 (2016/8/25)
■商品の説明
内容紹介
千日回峰行を二度満行、「奇跡の行者」が遺した最後のメッセージ。
「『苦』という字を全部『楽』に変えてしまえば、生きることが楽しくなる」
「自分の人生に自信を持ち、『縁』を大切に、自分が信じる『道』を歩きなさい」
「死」とは何か、「命」とは何なのか。記録が残る比叡山440年の歴史の中で、千日回峰行を二度満行したのは酒井雄哉大阿闍梨を含め3人しかいない。2013年9月23日に逝去した師が伝えたかった、「生きること」の本当の意味。大病を得てたどりついた大悟の境地に、人間の「生」「老」「病」「死」を語り尽くす。
なぜ我々は、自分や近親者の死を恐れ、悼むのでしょうか。それは命の本当の意味を理解していないから。連綿と続く生命38億年の歴史の中で、私たちが生きる時間はわずか数万日です。人生は、生まれてから死ぬまで論文を書く時間。悲しみや苦しみにふさぎこむことなく、仏さまから一人ひとりに課された宿題に一生懸命取り組むことが、「生きること」そのものなのです。
二度の千日回峰行満行後も国内外各地を歩き続けた師が語る、足の裏で地面を踏みしめて「歩く」ことの大切さ。通り過ぎてしまう大事な「縁」を引き寄せる実践力。一人残らず役割を持って授かった「命」の尊さ――。
なぜ生きるのか、どう生きればいいのか。「奇跡の行者」が自らの命と向き合って感得した人生の知恵。
著者について
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
酒井/雄哉
1926年大阪府生まれ。太平洋戦争時、予科練へ志願し、特攻隊基地・鹿屋にて終戦。戦後、職を転々とするがうまくいかず、比叡山へ上がり、40歳で得度。約7年かけて4万キロを歩く荒行「千日回峰行」を80年、87年の二度満行。その後も国内外各地への巡礼を行った。98年より比叡山飯室谷不動堂長寿院住職。2013年9月23日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
一、ガンを知る、おのれの不始末を知る 16
米寿を迎えて思うこと
病気が命のありがたみを気づかせてくれた
ガンの兆し
病気を甘く見すぎていた
「なんでこんなになるまで放っておいたんですか!」
「生かされている」ことへの感謝を忘れてはいけないね
二、病と向き合う 30
焦らない、迷わない、あきらめない
こうと決めちゃったらいいんだよ
勝手に歩いて看護婦さんに怒られちゃった
再発
悪いこともいいことも、みんな自然の中にある
三、死は怖いものではない 46
ガンよ、死ぬときは一緒に死にましょう
命は「無始無終」
治る自信がないなら、無駄な抵抗はやめなさい
気持ちを切り替えてごらん
人生はなるようにしかならない
生き延びてるのには「生き残されてる」理由がある
四、結縁 66
自分でも気づかぬところに「因縁」がある
人は何歳からでも生まれ変われる
嫁さんのこと
お山への道
お不動さんの祠の夢
目を見開かせてくれたお師匠さんたち
めぐり合わせが「ご縁」なんだよ
縁を「結ぶ」かどうかはその人次第
五、歩くことが生きること 90
歩くことがわが原点
歩けば楽しみが見つかる
いつもの道も毎日違う
「峰」と「峯」
歩くことがヘタだと生きる資格がない
「行き道は いずこの里の 土まんじゅう」
地球を足の裏に感じて歩く
便利さばかり求めていると大事なことを見失う
呼吸のリズムで歩く
コツはそれぞれが自分でつかむもの
歩くとは現実を変える行動力だ
六、「苦」を「楽」にする知恵 118
苦しいことの中に「楽」を見出す
工夫して、失敗して、納得する
箱崎老師の教え
仏さまとの約束と思えば破れない
閻魔さまの審判と人生の卒業論文
極楽行きの条件
ひとりの時間、自分の視点を持つ
七、いま、この瞬間を大切に 136
一期一会は不意打ちで来る
あとから気づく普通の日常のありがたさ
「いま」の大切さ
大局的に見る
八、夢と現実の狭間で見たもの 146
手術後、病院での体験
ドームのような巨大トンネル、ここはどこ?
人とちょっと違う能力を暗示されていた
千日回峰行のときの不可思議な体験
阿弥陀さまの光に包まれて感得
九、愛別離苦 156
情を捨てちゃえ!
別れは必ず訪れる
大事なのは弔い行事をすることじゃない
特別なことしないで、毎日手を合わせればいい
十、この世に命を授かりもうして 168
命の長さよりもどう生きたかが大事
命は預かりもの
「この世に何しに来たの?」
「いま」をきれいに、誠実に生きる
自信が生きる力を支える
生きていることを楽しみなさい!
■扉の次のページに計算されている文章
九月二十七日に営まれた比叡山一山葬で喪主を務めた酒井大阿闍梨の弟子、藤波源信師は、出棺前の挨拶で、「お亡くなりになった日に、庭に出ると季節はずれの多数の白いチョウチョが飛んでいた。 飛ぶように山を歩いた酒井大阿闍梨の姿に思えた」と
本書は、九月上旬、比叡山延暦寺一山長寿院にて二度にわたって行われた酒井大阿闍梨の最後のインタビューをまとめたものです。 大病を患われて静養中にもかかわらず、酒井師は終始穏やかな口調で、にこやかにかつ淡々と「命」とは何か、「生きる」とは何かを語られました。 自らの余命と向き合っていた酒井師の言葉には、まごうことなき
謹んで酒井師のご
○■顔の本―顔はさまざまなことを語ろうとしている■ ― 2016年09月30日 19:14
香原 志勢 (著)
単行本: 221ページ
出版社: 講談社 (1985/03)
■内容(「BOOK」データベースより)
動物の顔をひきつぐものとしての人間の顔、その機能と表情のもつ意味、人種間の相違、そしていい顔であることの条件などをわかりやすく解く。人類学の碩学による類書のない格好の読物。
著者について
香原志勢(こうはら・ゆきなり)
一九二八年、東京に生まれる。一九五一年、東京大学理学部卒業。信州大学助教授を経て現在、立教大学教授。専門は人類学で多岐にわたっており、表情、海女、混血児など人類の適応の問題を扱う一方、人体と文化の関係について研究を進めている。著書に『人類生物学入門』『人間という名の動物』『人体に秘められた動物』『手のうごきと脳のはたらき』『老いを考える』他多数。
■目次
一 なぜ顔が気になるのか 8
王様とお面/寓話にみる顔の問題点/顔か心か、心か顔か/美男美女はむしろ不幸
二 顔のたどった道 21
ミノムシの顔/顔とはなにか/脊椎動物ことはじめ/水から陸へ/両生類と爬虫類/鳥類―人間のあこがれ/哺乳類―人間と心の通うもの/霊長類―人間に似すぎたもの/動物ばなれした顔
三 顔の部品―目・鼻・口など 50
顔と頭のちがい/目―見る器官/黒目と白目/まつ毛と涙/さまざまな鼻/人間の鼻はなぜ高い/鼻にまつわるもの/下あご/赤い唇・ひげのある唇/刃物としての歯/咬合と歯ならび/耳/額/顔毛と頭髪と皮膚
四 表情のしくみを探る 95
仏像と心と姿/口を開ける筋肉・閉じる筋肉/動物の表情筋/目と口のまわりの表情筋/表情筋と心の動き/顔面神経と三叉神経/左右非対称な表情/表情と顔のしわ/顔の表情と全身の身ぶり/外向性、内向性/かわらざるものとしての表情
五 見られるものとしての顔 123
コンフィギュレーションとしての顔/福笑い/頭骨における間どりの問題/顔の中の主役/もう一人の主役/顔舞台にあらわれるその他の役者たち/顔における性差と年齢差/顔を生かすくびの動き/見られる顔への反省
六 顔と心 150
顔に投射される心の動き/心の動きと顔の筋肉と自律神経/顔かたちと心/テレビによる顔の観察/人相学批判と性格学/表情と人間の行動
七 日本人の顔と表情 167
仏像の顔/体表―肌・目・髪の毛/モンゴロイドの寒冷適応/歯槽性突顎/そのほかの顔のかたち/表情の人種差/日本人と周辺の人びとの顔の特徴
八 顔を装う 189
眼鏡・義歯などの実用品/いれずみ・文身瘢痕などの奇習/歯の美容/頭髪・ひげの美容/化粧/仮面―他者の顔へ変わること/形成外科と顔/顔の否定と展開
九 顔に託すもの―美・人柄 208
いい顔をした人/顔の美醜/人柄をあらわす顔/人間の顔のアイデンティティ
あとがき 221
■「あとがき」の中間部分から
顔を考えるにあたって、人びとは対照的に内なるものを考える。それは、ふつう心を意味する。本書では、人間の顔は動物の顔をひきつぐものとして、まずは目・鼻・口などの外面的な臓器や骨・筋肉・皮膚などに目をむけ、よい顔である条件として、これらのものの堅実なあり方に力点をおき、その後に、ようやく顔のあらわす心に触れることにした。それだけに、いくらいい顔をつくろうとして笑顔をつくろっても、また、化粧に専念しても、それは半ば空しい努力にすぎない。顔面内蔵やその他身体諸器官の調和のとれた発達が加わらなくてはならない。(221ページ)
■書評
間取りの工夫が顔を作る
○■老いはこうしてつくられる こころとからだの加齢変化■ ― 2016年09月24日 14:58
正高 信男 (著)
新書: 191ページ
出版社: 中央公論新社 (2000/02)
商品の説明 内容(「BOOK」データベースより) またげると思ったバーが越えられない。痛みを表現する適当なことばが見つからない。このようなとき、人は老いを自覚する。しかし同じ年齢でも気力の充実した人もいれば、見るからに老いを感じさせる人もいる。このような個人差はなぜ出てくるのだろうか。本書は、からだの老化がいかにしてこころの老いを導くのかを独創的発想による実験で具体的に考察しながら、人々がからだの老化を受容し、こころの老いを防ぐ方法を展望する。
著者について
正高 信男(まさたか・のぶお)
1954年(昭和29年)、大阪に生まれる。
1978年、大阪大学人間科学部卒業。83年、
同大学院人間科学科博士課程修了。学術博士。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員、
ドイツ・マックスプランク精神医学研究所研究員、
京都大学霊長類研究所助手、
東京大学理学部人類学教室助手を経て、
現在、京都大学霊長類研究所助教授。
専攻、比較行動学。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
はじめに 寝たきり老人の調査から 1
秘められた知能/こころの加齢変化の見直し/「老い」の意識はどうつくられるのか/こころの加齢変化の再認識をめざして
第一章 脚の衰えとアフォーダンスの知覚 8
からだの衰えは脚からはじまる/「バーをくぐるかまたぐか」の実験/マジックナンバー「一・〇七」/高齢者の特徴/脚の衰えに伴う二通りの変化/身体(ボディ)イメージと環境の知覚/環境の「生態学的値」/アフォーダンスの知覚と加齢変化/からだの衰えの知覚へのとり込み/主観的幸福感の質問紙調査から/「わたし」というからだの二面性/世界と自分の間の薄膜
第三章 痛みをどう表現するか 40
「年甲斐もない」振舞いの結末/痛みの表現語彙調査/高齢者の痛みの表現の特色/言語表現としての身体性/擬音語・擬態語表現と自発的ジェスチャーとしての発声運動/痛みの表現を支える身体運動の本質/加齢による痛み表現の変化/アフォーダンスの知覚としての痛みの言語表現/言語音に対するアフォーダンスの知覚/ひらがなはむずかしい/漢字黙読の効用
第三章 高齢者は感情に乏しいか? 71
情と知の区分/ビデオ視聴実験/筋電図による笑いの定量化/高齢者の表情は誤解されている/顔のゆがみと感情表出の加齢変化/表情に対するアフォーダンスの知覚/表情表出のアフォーダンスの知覚の生得性/アフォーダンスの知覚と、加齢による自らの表出のズレ/感情の信頼できる指標としての「体動」/表情に「とらわれない」ことのむずかしさ/翁童文化という解決策/自己モニターによる行動変化の可能性
第四章 年寄り扱いのはじまり 104
伝統社会における高齢者の地位/産業構造の変化と高齢者の地位の低下/虚構としての血縁/育児語の効用/育児語の高齢者への転用/育児語使用への反応/「老い」へのあきらめ/意識化されない「やりとり」/「保護するようなコミュニケーション」の流布/「老い」の自己受容の契機/環境によって決定される自己像/年寄り扱いすることで「年寄り」は生まれる
第五章 将来への悲観がはじまるとき 135
他者からのレッテルによって「老い」の意識が生まれる/将来への不安の増大/金銭の時間割引率の調査/時間割引率は加齢とともに変化する/将来への不確実性の程度は、今まで生きてきた年月に逆比例する/三者三様の言い分/時間知覚の加齢変化/主観的一秒の個人差の決定因子/タッピング実験/行為の速度が時間感覚を規定する/年齢への意識の位相変化/三つのライフコース/周囲からの年寄り扱いの影響/目標を持って生きることの重要性
第六章 高齢者心理は誤解されている 167
高齢者の潜在知覚/「検出」と「認知」過程の相互独立/意識への過度の思い入れ/老化すなわち幼児返りという誤解/いかにして自己実現を成就させるか/他者との関係で自己は規定される/高齢者に何を期待するのか
あとがき 185
参考文献 191
■「はじめに」の「こころの加齢変化の再認識をめざして」の冒頭部分
この本は、こういう従来の「こころの衰えた老人」観を、とらえなおす目的で書かれています。むしろ周囲が、加齢変化に過度に否定的な意味づけをしてしまうことで、高齢者を必要以上に老けこませてしまう状況に追いこんでいくのだという過程を、時間を追って記載してあります。
私たちはややもすると、からだの衰えとともにこころも衰えるのは不可避と、とらえがちですが、年を重ねるから老いるのではんかう、年寄りとして扱われることで、老けこんでしまうのだという側面を見すごすと、たいへんな誤りを犯すことになってしまいます。
■書評
「こうれいしゃ」と書くよりも「高齢者」と書く方がさっと理解でき、「ずきずき」や「がんがん」と表現することが難しいという不思議
○■睡眠文化を学ぶ人のために■ ― 2016年07月16日 09:47
高田 公理 (著, 編集), 重田 眞義 (編集), 堀 忠雄 (編集)
単行本(ソフトカバー): 267ページ
出版社: 世界思想社 (2008/4/20)
■商品の説明
内容紹介
豊かで楽しい眠りの世界へ! 夢のコントロール技法、諸民族の夢理論、就眠儀礼、シエスタ文化、眠具、狸寝入り......。文系/理系の枠を超えたアプローチで、眠りの文化の全貌を明らかにし、新しい研究へと誘う。テーマ別文献リストつき。
出版社からのコメント
睡眠文化研究の集大成
内容(「BOOK」データベースより)
夢のコントロール技法、諸民族の夢理論、就眠儀礼、シエスタ文化、眠具、狸寝入り…文系/理系の枠を超えたアプローチで眠りの文化の全貌を明らかにし、新しい研究へと誘う。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高田/公理
1944年、京都生まれ。佛教大学教授(社会学・文明学・観光学)。学術博士。京都大学理学部卒業後、酒場経営、武庫川女子大学教授などを経て現職
堀/忠雄
1944年、北海道生まれ。広島大学名誉教授(睡眠科学・睡眠心理学)。医学博士。早稲田大学院博士課程(心理学専攻)中退後、金沢大学医学部研究生、福井大学保健管理センター講師(カウンセラー)、広島大学教授などを経て現職。現在、財団法人福山通運渋谷長寿健康財団睡眠研究所所長
重田/眞義
1956年、京都生まれ。京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科准教授(アフリカ地域研究、人類学、民族植物学)。農学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
序章 睡眠文化とは何か 高田公理 i
第I部 夢と睡眠行動部 1章 フロイトの夢分析と脳科学 北浜邦夫 24
2章 夢の民族誌 豊田由貴夫 39
3章 眠り<プレイ>モデルと寝室地図 藤本憲一 58
4章 相互浸透する眠りと覚醒 掘忠雄 76
第II部 眠りの時空間
5章 眠りの時間と寝る空間―歴史的考察 高田公理・鍛冶 恵 94
6章 眠りを誘う音・光・香り 鳥居鎮夫 111
7章 眠具―眠りにまつわるモノの世界 松浦倫子 124
第III部 睡眠文化学の未来へ
8章 人類学からのアプローチ 豊田由貴夫 146
9章 社会学からのアプローチ 重田眞義 164
10章 心理学・行動科学からのアプローチ 掘 忠雄 179
11章 睡眠諸科学の基礎づけ―哲学的考察 藤本憲一 192
12章 睡眠文化を学ぶ人へ 重田眞義 212
終章 人はなぜ眠るのか 座談会(高田公理・掘 忠雄・重田眞義・鳥居鎮夫・豊田由貴夫・藤本憲一) 225
ひと眠りコラム
1 宇宙での眠り 水野 康 56
2 居眠りと狸寝入り ブリギッテ・シテーガ 90
3 『源氏物語』の眠りと光 小山恵美 122
4 枕の世界地図 鍛冶 恵 142
5 眠りの進化論 山際寿一 162
6 眠り姫になれなくて 鷲田清一 210
引用文献 246
睡眠文化を学ぶための文献リスト(テーマ別) 261
睡眠文化を学ぶためのキーワード解説 253
あとがき 243
■序章「睡眠文化とは何か」より
睡眠、すなわち「眠る」という生理的な行為それ自体は、遺伝的に組み込まれた先天的な資質に由来する。それは人間だけでなく、広く動物一般に普遍的にあてはまる。しかし「人間の寝方や眠り方」は、地域や時代ごとに、さまざまなバリエーションを示す。こうした多様性は、それぞれの環境条件のもとで、歴史的に形成されてきた。それを人びとは後天的に見につける。それは「睡眠文化」と呼ぶほかないのだ。
という意味で「眠り」は「食」に似ている。動物も人間も必ず何かを食べる。そうでないと生きていけない。「食べる」という行為は「眠る」という行為に似て、人間を含む動物一般に普遍的、かつ先天的な生理的行動である。
しかし「食べる」ための食物を生産し、料理し、仲間と共食する動物は人間だけだ。しかも、食べ物、料理法、食事マナーなどは、地域や時代ごとにおびただしい多様性を示す。それは、さまざまな「人間の寝方や眠り方」お同様「文化」の一領域を形づくっている。そして、それを対象とする食文化研究は今日すでにおこなわれている。
ならば、人間の睡眠や眠りを、地域や時代ごとに比較し、人間の睡眠について考える研究領域が開拓されてもいい。そこで、われわれ睡眠文化研究会は「睡眠文化研究」の第一歩を踏み出した。その成果のひとつに『眠りの文化論』(吉田編 二〇〇一)がある。
■書評
るびりん書林 別館
○■催眠法の実際■ ― 2016年06月28日 13:46
斎藤稔正 (著)
単行本: 281ページ
出版社: 創元社; 新版 (2009/9/8)
■商品の説明
内容紹介
本書は、決してテレビ番組や通俗書に時折見られるような安易な「催眠術」の本ではない。そのような誤解や偏見を解きつつ、催眠を広い視野から研究したり、臨床的に応用したりするために書かれた学生や専門家向けの充実した入門書である。とくに標準的な手続きによる誘導法の実際を平易に具体的に述べたものとして大きな意義がある。「催眠」を科学的に学びたいすべての人に。
内容(「BOOK」データベースより)
「催眠」を科学的に扱った入門書の決定版。催眠法の歴史的経緯から実際の臨床までを網羅。科学的理論と具体例に裏打ちされた催眠法の基礎を学ぶためのロングセラー。読みやすく全面を組み替え、現代の催眠事情にも言及した待望の新版。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
斎藤/稔正
1940年生まれ。京都大学教育学部卒業。その後、スタンフォード大学大学院へ留学、京都大学大学院博士課程を修了。追手門学院大学講師、ミュンヘン大学客員教授、立命館大学教授、日本催眠医学心理学会理事長、イタリア自律療法学会名誉会員などを歴任。立命館大学名誉教授。教育学博士。専攻 人格心理学、異常心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
まえがき vi
第1章 催眠法を学ぶにあたって 001
1. 催眠への態度 002
2. 催眠の豊穣性と歴史的背景 005
第2章 催眠とは何か 17
1. 催眠状態の特徴 018
2. 類催眠現象と催眠との関係 046
第3章 催眠の深度と催眠感受性の分布 051
1. 催眠の深度 052
2. 催眠深度の測定法 056
3. 催眠感受性の分布 061
第4章 暗示と被暗示性、催眠感受性 067
1. 暗示の意義 068
2. 暗示の種類 071
3. 暗示とその反応 076
4. 催眠尺度で利用される暗示項目 079
5. 被暗示性 087
6. 個人差の規定要因 090
第5章 催眠誘導法 099
1. 他者催眠法と自己催眠法 100
2. 催眠誘導の準備 101
3. 催眠への準備段階 106
4. 催眠の誘導過程 113
第6章 催眠誘導法の要点 131
1. 催眠遊動に際しての心得 132
2. 催眠遊動過程での失敗 159
第7章 催眠の応用 171
1. 精神的健康 172
2. セルフコントロール 175
3. 性に関する諸問題 178
4. 教育における催眠の利用 182
5. スポーツ 200
6. 創造性の開発 205
7. 医学的利用 210
8. 歯科への利用 217
第8章 催眠誘導上の注意と倫理 221
第9章 催眠誘導尺度 239
1. 準備 240
2. ラポールの形成 241
3. 暗示テスト 246
第10章 補遺 271
参考文献
■書評
るびりん書林 別館
○■自己暗示■ ― 2016年06月23日 20:27
C.H.ブルックス、E.クーエ (著), 河野 徹 (翻訳)
単行本: 178ページ
出版社: 法政大学出版局; 新装版 (2010/1/14)
■商品の説明
内容紹介
フランスの薬剤師エミール・クーエが開発し、ブルックスが祖述した誘導自己暗示法のバイブル。クーエの没後80年余を経て、今なお圧倒的な支持を得ている「潜在意識へインプットする」ためのプログラム。クーエやその助手による驚くべき治療成果を紹介するとともに、自分一人での実践方法をも示した本書は、言語と身体の関係を明らかにして、細胞病理学説から出発した近代医学(分析的医学)の欠落を補う。
※ 数かずの類書がある中で、今なお圧倒的な支持を得ている自己暗示法のバイブルです。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
河野/徹
1931年生。東京大学教養学科イギリス科卒業。同大学院英文科修了。法政大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
解説 千葉康則
自己暗示 C・H・ブルックス
第一部 エミール・クーエの自己暗示療法 2
第一章 エミール・クーエの診療所 2
第二章 クーエの療法数例 24
第三章 児童診療所 24
第二部 自己暗示の特質 34
第一章 思考は力である 34
第二章 思考と意志 45
第三部 自己暗示の実践 58
第一章 一般的な法則 58
第二章 一般暗示 66
第三章 特殊暗示 76
第四章 苦痛をどう処理するか 87
第五章 自己暗示と子供 93
第六章 結論 100
意識的自己暗示による自己支配 エミール・クーエ
意識している自己と意識していない自己 110
意識と想像力 113
暗示と自己暗示 117
自己暗示の用法 118
患者に自己暗示をおこなわせる方法 123
治療暗示の進め方 128
この方法の優越性 133
暗示はどのように作用するか 136
先天的もしくは後天的な精神的疾患と
道徳的堕落の矯正に暗示を用いる方法 138
典型的な治療例 141
結論 147
教育はいかにあるべきか 149 エミール・クーエ
訳者あとがき 157
■「解説」の中ほどの部分から
ここはたいせつなことだからくり返すが、私たちの脳はもともと、私たちの知らぬまに全身を調節しているのだから、自分のもっている言語でその調整が狂わされていることも気づかないのである。しかも、それは「胃病になる」というような言語よりも胃病になったときの状態を想像する言語の方が強力であることは科学的にも証明できる。たとえば、「手を上げろ」という命令が脳からでているように思っている人がいるが、じつは手を上げたときの状態を知っていて、そこまで手を動かすことなのである。本書で「想像力」という用語をつかっているのは、かならずしも不適当とは思わない。「考え」というと範囲が広くなりすぎる。
■「自己暗示の実践」より
歯痛や頭痛など、激しい苦痛に悩んでいるときは、坐って目を閉じ、その苦痛をこれからとりのぞいてやる、と自らに保証する。そっと手で患部をさすりながら、できるだけ口早に音をたえまなく流すような調子で「消える、消える、……消えた!」(It's going, going......, gone!)とくり返す(日本語の場合は「なおる、なおる、なおる……なおった!」でもよかろう)。およそ一分くらし深呼吸が必要になるまでぶっ続けに唱え、「消えた!」('gone!')という言葉は一番最後のところで用いる。以上のようにすれば、苦痛は完全に止まるか、少なくともかなりひくであろう。(89ページ)
■参考:
クーエの最も易しい潜在意識の活用法
http://kay.air-nifty.com/art/2009/09/post-98c6.html
■書評
るびりん書林 別館
◎■超心理学――封印された超常現象の科学■ ― 2016年06月02日 09:11
石川幹人 (著)
単行本: 388ページ
出版社: 紀伊國屋書店 (2012/8/29)
■商品の説明
内容紹介
テレパシーや透視などの超常現象を科学的に探究する超心理学という学問は、正統的な科学の手法で研究されているものの、科学者たちからオカルト扱いされ、まともにとりあわれず「封印」されてしまう。日本における超心理学の第一人者が、その研究内容や成果などを詳細に解説するとともに、正しくても理解されない実態を明らかにし、科学のあるべき姿を問う。
内容(「BOOK」データベースより)
超心理学の研究内容や成果を解説するとともに、それらが学問として受けいれられない背景を明らかにし、科学のあるべき姿を問う。テレパシー、透視、念力などの解明を目指す学問の第一人者による、渾身の書き下ろし。
著者について
石川幹人(いしかわ・まさと):1959年東京生まれ。東京工業大学理学部卒。同大学院物理情報工学専攻、一般企業での人工知能研究などを経て、現在明治大学情報コミュニケーション学部長。博士(工学)。専門は認知情報学および科学基礎論だが、超心理学研究をライフワークとし、日本の第一人者。2002年ライン研究センター客員研究員。ASIOS(超常現象の懐疑的調査の会)発起人メンバー。著書に『人間とはどのような生物か』ほか。
■目次
序章 予知かそれとも偶然か◆超心理学協会
デューク大学とJ・B・ラインの研究◆ライン研究センター
本書の構成
第I部 超心理学の実態
第1章 テレパシーの証拠をつかんだ 28
・ガンツフェルト模擬実験◆厳密なガンツフェルト実験の成果
・不遇な「現代のガリレオ」
第2章 米軍の超能力スパイ作戦 56
・マクモーニグルの遠隔視実験◆スターゲイト・プロジェクト
・遠隔視実験を改良した透視実験◆ガンツフェルト実験とのちがい
・スターゲイト・プロジェクトの幕引き
第3章 超能力の実在をめぐる懐疑論争 80
・トンデモ超能力対談◆かたくなな否定論者
・超心理学の不祥事◆厳密化する超心理学
第II部 封印する社会とメディア
第4章 奇術師たちのアリーナ 112
・ホットリーディング◆奇術師VS奇術師◆私の来歴
・超心理現象に興味をもつ人
第5章 超能力と称する人々 134
・ナターシャの人体透視◆御船千鶴子の千里眼事件
・能力者研究の背景◆「自分には超能力があります!」
・職業欄はエスパー
第6章 マスメディアの光と影 158
・ドラマの科学監修◆能力者へのインタビュー
・大衆の受容と排除◆心理学より工学だ
・マスメディアは両刃の剣◆演出家やらせか
第III部 封印は破られるか
第7章 心の法則をもとめて 186
・東洋的な問い◆ヒツジ・ヤギ効果◆ESPの発揮を高める要因
・超心理学の実験者効果◆超心理現象は無意識のうちに起きる
・内観報告による心理分析
第8章 予知――物理学への挑戦 216
・未来は予感できる◆予知も透視のひとつか
・透視の焦点化◆簡単に実施できる予感実験
第9章 意識に共鳴する機械 254
・感情エージェントが笑う◆乱数発生器によるミクロPK実験
・地球意識プロジェクト◆下降効果のとらえにくさ
・超心理現象の情報システム理論
第10章 霊魂仮説について考える 284
・霊魂という万能仮説◆懐疑論者が一目おく超心理現象
・霊魂は肉体の死後も存続するのか
・霊魂仮説から超心理発揮仮説へ◆詰めこみ理論から拡がり理論へ
終章 物理学者とのオカルト対談◆オカルト論議は信念論争
封印構造の認知的側面◆封印は解かれるか
あとがき 336
付録 ◆用語集◆統計分析の基礎◆読書ガイド 381
索引
■書評
別館
-○語る身体の民族誌―ブッシュマンの生活世界〈1〉 (ブッシュマンの生活世界 (1)) 【原野に生きる人々の猥雑な会話の中にヒトの文化と社会の成り立ちを見る】○ ― 2016年05月17日 16:39
菅原 和孝 (著)
単行本: 360ページ
出版社: 京都大学学術出版会 (1998/05)
■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
原野に生きる人々の猥雑な会話の中にヒトの文化と社会の成り立ちを見る。奔放な「恋人関係」の噂、「糞」や「肛門」の話が飛び交うののしり、動物や食べものについての不思議な語り―ブッシュマンの、愉快で生き生きとした会話には、原野に生きる人々の精神世界と社会構造とが鮮やかに織り込まれている。精緻な会話記録という新しい民族誌の方法を示し、人類学の可能性を探る会心作。
内容(「MARC」データベースより)
奔放な「恋人関係」の噂、「糞」や「肛門」の語が飛び交うののしり、動物や食べものについての不思議な語り-ブッシュマンの、愉快で生き生きとした会話に、原野に生きる人々の精神世界と社会構造とを探る。
著者に付いて
菅原 和孝(すがわら・かずよし)
1949年 東京生まれ
1973年 京都大学理学部卒
1980年 京都大学大学院理学部研究科博士課程単位取得退学。北海道大学文学部助手、京都大学教養部助教授、京都大学総合人間学部助教授を経て、現在 京都大学総合人間学部教授。
■目次
草の家より iii
読者のために xix
原語の発音と表記/会話資料の表記法/おもな登場人物
序章 会話の民族誌へむけて 1
「民族誌を書くこと」への懐疑 2
民族誌と会話分析 5
会話分析を始めよう 11
ブッシュマンの生態人類学 15
変容 18
会話分析に至るまで 21
グイ語の概略 25
第一章 ことばのなかの身体 37
民族解剖学――さまざまな筋肉 40
内蔵間隔――心臓、肝臓など 48
ライフサイクルのなかの身体 51
語る身体 65
罵りの修辞学 70
想像力の基底としての身体 82
第二章 老いた恋人たち――婚外性関係の個人史 87
たくさんの女をめとった男 88
たくさんの恋人をもった女 91
噂の二人 92
対決 102
批判の包囲 113
冷静な夫 132
結末 138
第三章 感情の回路――婚外性関係の論理 143
年上の女――キヨーホとカウピリ 144
贈り物を抱えてくる男――ギナシ 149
若い娘をめとった青年――カローハ 160
第三夫人になった女――ギューカ 171
回顧されるザーク 181
夫婦交換 185
感情の回路 191
第四章 人間のカテゴリー化――「民族」間の境界 207
カテゴリー化装置 208
グイにとっての人間のカテゴリー 211
<テベ>への不信と依存 212
ガナへの否定的特質づけ 223
クアとしてのわれわれ 234
第五章 物語の愉悦――民話はいかに語られるか 239
フォークロアと生態 240
姉と妹のかけあい 244
老人に語り聞かせる娘 260
民話と昔話 274
第六章 日常会話の背後へ――背景知と信念の活性化 281
狂う人 282
若者たちの食物忌避 299
終章 <語る身体>、自然、そして権力――途上での総括 317
注 334
引用文献 341
木の家にて 347
索引 352
事例一覧 【1】~【38】
■「読者のために」より
この本は、南部アフリカにひろがるカラハリ砂漠に住む狩猟採集民ブッシュマン(自称名グイ)が生きている世界を、かれらの日常会話を分析することを通じて明らかにしようとする試みである。
一九八〇年代以降にさかんになった「民族誌批判」に応えて多くの実験的民族誌が書かれた。 しかし、会話こそは人間の社会生活の根幹をなすもっとも中心的な現象であるにもかかわらず、会話を一次資料として民族誌を書くという試みは今までほとんどなされていない。 そのような未踏の領域に挑戦するという意味で、本書もまたひとつの実験である。 ただ、かぎられたページ数のなかに、かれらの会話世界の全体像を盛りこむことは不可能であった。 そこで、本書では、グイの人々が自らの<身体性>をどのように経験しているのかを、日常会話のなかから浮かびあがらせることを中心的なテーマに据えた。 会話という相互行為の構造、言語行為やコミュニケーションの理論といった、より抽象的な問題に関心のあるかたは、姉妹編である『会話の人類学(ブッシュマンの生活世界第2巻)』をあわせてお読みいただきたい。 ただし、本書はあくまでも第2巻とは独立に読めるようになっており、日本から遠く離れた異文化の人々がいったいどんなことをどんなふうにしゃべっているのかに好奇心をもち、その世界の深みまで旅をしようとする一般の読者をめざして書かれている。
日本語の「おしゃべり」でさえ、それを文字に転写するとなんの話かさっぱりわからないことがしばしばある。 グイの人々のおしゃべりを読者にとって理解可能なものとするために、本書では会話資料の逐語訳とそれをさらにかみくだいた説明とを並列させた。 この手法は、同じ話を二度聞かされる煩わしさを読者に押しつけるかもしれないが、民族誌家の構成したリアリティを絶対視することを避け、読者の想像力が解釈に参加する道を確保するためにも、ぜひとも必要であった。
異文化の人々の語りにみなぎる力と輝きは、ときには「冗漫」、「支離滅裂」といった否定的な印象の背後から徐々に立ち現われてくるかもしれない。 それゆえ、余計は理屈や概念を介在させずに、人々の「語りくち」の風味それ自体と出会うことをめざす読者は、会話資料の部分だけをまず通読するのがよいかもしれない。 しかし、もっとも重要なことは、会話資料と、それに並列された説明や分析の部分とを読み比べることによって、読者は、分析者の解釈の不十分さや過剰さを批評することができるということである。
すべての会話資料には【1】、【2】などと通し番号をつけたうえに、あとで言及するときにその内容が想起しやすいように簡単なタイトルを付した。
なお前著(『身体の人類学』河出書房新社、一九九三年)と同様、共同調査を続けている師や同僚の皆さんをはじめとして、本文中に登場するすべての人名からは敬称を省かせていただいた。 しるしてお詫びもうしあげたい。
■「人称代名詞と接尾辞」の冒頭部分(p26)
グイ語は非常に精密な人称代名詞の体系をもっている。 まず、一人称、二人称、三人称のすべてについて、単数、双数、複数の区別がある。 双数とは、二人(二個体)だけを表す代名詞である。 だからここで複数と言っているのは、三人(三個体)以上を表す代名詞のことである。 一人称単数には性別はないが、双数と複数は、一人称、二人称、三人称のすべてについて、性が区別される。 たとえば、日本人が単に「私たち」とか「われわれ」と言ってすませるところで、グイは、その「私たち」が男二人だけか、男と女のペアか、女二人だけか、あるいは男のみ三人以上か、男女三人以上か、女のみ三人以上かを、たちどころに表現するのである。 しかも、一人称の双数と複数には包含と排除の区別がある。 すなわち話者と聞き手をともに含む「われわれ」と、聞き手を排除する「われわれ」とを区別するのである。
■「罵りの修辞学」の「糞」から(p77)
一九八四年一二月一九日、私はキヨーホたちと車で水汲みに行き、そこで彼が<甥>にあたるカローと喧嘩をおっぱじめるのを目撃した。 キヨーホはカローを殴りつけ、カローは鼻血を出し、嗚咽しながらちょうどもっていたパチンコで石をとばしたが、これはあやういところでキヨーホからはずれた。 キヨーホはさらにカローを殴り、ちょうどここへ来あわせたキヨーホの母に制止された。 カローも同年配のガナの青年に取り押さえられた。 私たちが水場をひきあげるときまで、カローは涙声で罵り声をあげ続けていた。 キヨーホは車の屋根の上に乗ったので、私は助手席にいたグオグー(田中に詰め寄ったガナの男)に「なぜ彼らはアーク(喧嘩)したのか?」と訊いてみた。 「カローは若く、キヨーホは年長なのに、彼がキヨーホを<侮辱>(アオ)したからだ」との答えであった。 あとでキヨーホと二人だけになったとき同じ質問をすると同様の答えが返ってきた。 「カローはなんて言っておまえを侮辱したんだ?」と尋ねると「ツァ・チューと言ったんだ」と答えた。
この侮辱のことば「ツァ・チュー」はさきに述べた「おまえに糞をさせる」(ツァ・チューカホ)の省略形か、あるいは単に「おまえの糞」という意味かもしれない。 いずれにしても、和訳するならば「クソッたれ」がぴったりであろう。 これだけ激しい喧嘩の起爆剤になるにしてはあまりにあっけないことばである。 このエピソードからは重要な教訓が得られる。 つまり隣接世代の年長者に対して「言ってはならないこと」が明確に規定されており、そのタブーを破る者にはそれなりの制裁がくわえられるのである。 (日ごろはキヨーホに対してけっこう批判的なダオグーがこの事件ではカローに一片の同情も示さなかったことも注目に値する。) そして<糞>こそはその「言ってはならないこと」の中心を占めているのである。
-○全脳革命-ヘミシンクで無限の可能性を広げ、人生や実生活に役立てよう○ ― 2016年05月14日 20:18
ロナルド ラッセル (著), 【監訳】坂本政道 (その他), 日向 やよい (翻訳)
単行本(ソフトカバー): 464ページ
出版社: ハート出版 (2011/3/23)
■商品の説明
内容紹介
データや実例が証明した究極の脳活技術
ヘミシンク有効活用法
「人生の目的が見つかった」
「学習障害を持つ子供の様子が安定した」
「不眠症が改善した」「外科手術の麻酔が 不要になった」
「学級崩壊から教室が立ち直った」……
ヘミシンクは精神世界だけのツールではありません。
さまざまな実生活の分野で応用され、成果を上げているのです。
ヘミシンクは多くの分野の専門家の興味をひきつけている。 こんにち、トレーナーやワークショップ開催者のいる国が20カ国ほどあり、ヘミシンクを用いたコースに参加する人々が、世界の50カ国からヴァージニアのモンロー研究所にやってくる。
さらに、特定の目的のために使用されるヘミシンクCDやテープは、 おびただしい数にのぼる。『全脳革命』は、あなたがこれまで可能だとは思いもしなかったような能力に満ちた、まったく新しい世界へとあなたをいざなう。
出版社からのコメント
へミシンクというアメリカ発のオーディオ・ガイダンス技術をご存じだろうか? 特殊な音をステレオヘッドフォンで聴くことで、左右の両脳が同期(シンクロ)した状態へと安全かつ効率的に導く技術である。右脳と左脳がバランスして活動する、いわば全脳状態が導かれる。集中して学習するのに適した状態へも導くことも可能で、これぞ、究極の脳活技術と言ってもよいかもしれない。
へミシンクはロバート・モンローにより1960年代から70年代に開発され、その後モンロー研究所によるさまざまな専門機関との40年以上にわたる共同研究により、その安全性、有効性が科学的、臨床的に証明されてきている。モンロー研究所が中心となって、医療機関や教育機関などとタイアップした実践的な研究が40年以上にわたってなされてきている。
本書はこういったへミシンクの実用面での応用に焦点を当てている。
医療、精神医学、教育、睡眠導入、介護現場などでの応用
具体的に言うと、医療での応用、精神医学と心理療法での応用、学習障害児や自閉症児に対する応用、介護施設での応用、睡眠障害における応用、教育における応用、ビジネスにおける応用などである。
本書では、こういった分野におけるへミシンクの驚くべき効果を数多くの実例を挙げて紹介している。紹介している人たちは、医療現場のドクターや精神科医、心理療法士、物理学者、教育者、カウンセラーなどであり、その報告は専門的な立場からの信頼性の高いものとなっている。厳密に科学的な手法を用いた、学術的にも意義の高い研究も含まれている。
本書で紹介される多くの実例の中から、ほんのいくつかを挙げよう。
(1)従来の手法ではなかなか効果が得られなかった何人もの学習困難児が、へミシンクにより集中できるようになった。
(2)手術中にへミシンクを聴いた患者は、手術中、対照群の4分の1の量の鎮痛薬しか必要としなかった。術後にも、鎮痛薬が少ししか必要なかった。
(3)どの学校からも追い出され、行き場のなかった若者たちが集まる教室で、授業中にヘミシンクを聴かせたところ、彼らの多くが授業を真面目に受けるようになった。
(4)癌を含む複数の合併症を持ってホスピスに入院した患者が、死への恐れを解消し安らかな気持ちで旅立っていくことができた。
(5)ヘミシンクを聴くことで集中力が上がり、そのおかげで仕事の能率が上がったり、適度にリラックスすることができて作業効率も上がった。
(6)痛みに伴う不眠や精神的な悩みに伴う不眠が解消され、夜ぐっすりと眠れるようになった。
(7)その他、多数の研究、報告あり。
実は、へミシンクというと、これまで、精神世界での深遠な体験やスピリチュアルな体験を手助けする方法という印象をもたれている方が多かったのではないだろうか。
本書の主眼はこういった精神世界の体験にはない。もっと日常的な、実用的な応用についてである。へミシンクには、そういうすばらしい面がある。
著者について
【編著者】ロナルド・ラッセル(Ronald Russell)
英国生まれ。英国空軍で軍務に就いたのち、オックスフォード大を卒業。その後教職に就き、いくつかの大学で試験官や講師を務める。
現在、グラスゴー大学で人間の意識に関する講座を担当。モンロー研究所の顧問委員会および専門委員会のメンバー。
著書や編著書は英国および米国で15冊ほど出版されている。1993年に本書の先行版である「Using the Whole Brain」を編集している。
【監訳者】坂本政道(さかもと まさみち)
モンロー研究所公認レジデンシャル・ファシリテーター
(株)アクアヴィジョン・アカデミー代表取締役
1954年生まれ。
1977年東京大学 理学部 物理学科卒。1981年カナダトロント大学電子工学科 修士課程終了。
1977年~87年、ソニー(株)にて半導体素子の開発に従事。
1987年~2000年、米国カリフォルニア州にある光通信用半導体素子メーカーSDL社にて半導体レーザーの開発に従事。
2000年5月、変性意識状態の研究に専心するために退社。
2005年2月、ヘミシンク普及のため(株)アクアヴィジョン・アカデミーを設立。
最新情報については著者のウェブサイト「体外離脱の世界」とアクアヴィジョン・アカデミーのウェブサイトに常時アップ。
【訳者】日向 やよい(ひむかい・やよい)
東北大学医学部薬学科卒業。主な訳書に「殺菌過剰!」(原書房)、「新型殺人感染症」(NHK出版)、
「ボディマインド・シンフォニー」(日本教文社)、「異常気象は家庭から始まる」(日本教文社)、
「類人猿を直立させた小さな骨」(東洋経済新報社)、などがある。
■目次
全能革命 もくじ
監訳者まえがき――本書の魅力とその役割 坂本 政道 4
刊行によせて ローリー・モンロー 12
ヘミシンクの道 ロバート・A・モンロー 14
はじめに ロナルド・ラッセル 18
フォーカス・レベル 25
第1章 ヘミシンクで自分の能力を啓く 35
勉強に、スポーツに、健康にもヘミシンク テレサ・ブラード 36
セミナーは人間成長の場 フェリシア・ポッター 45
ヘミシンクで友人の人生が変った ティモシー・K・アンブローズ(博士) 50
人生の転機に正しい選択を スザンヌ・ブルー 61
自身のトラウマを解消する ゲイル・M・ブランシェット 64
ヘミシンクとともに、自閉症に立ち向かう アン・カーペンター 70
刑務所におけるヘミシンクの実践 ロナルド・ラッセル 77
第2章 ヘミシンクと子供たち 81
子供たちの学習支援にメタミュージック スザンヌ・エヴァンズ・モリス(博士) 82
摂食障害のある子供とメタミュージック スザンヌ・エヴァンズ・モリス(博士) 93
ヘミシンクが自閉症児に学習の扉を開く ノラ・ローゼン、ベレニス・ルーケ 104
ヘミシンクを小児科診療に利用する試み ジャクリーヌ・マスト(理学・教育学修士) 116
第3章 教育現場におけるヘミシンクの活用 127
ADDに対するバイノ^ラル・ビートの効果 ロバート・O・ソーンソン 128
なぜメタミュージックが学習困難に効果的なのか バーバラ・ブラード(文学修士) 135
教育プログラムにおけるヘミシンク リセ・D・ドロング(博士)、レイモンド・O・ワルドゲッター(教育学博士) 147
荒れた教室をヘミシンクで立て直す ピーター・スピロ 153
第4章 ヘミシンクを医療に役立てる 169
医療にヘミシンクを用いて効果をあげる ブライアン・D・デイリー(医学博士) 170
入院生活でヘミシンクを有効利用 マーティー・ゲルケン 185
ヘミシンクでエネルギーヒーリングの効果を高める キャロル・セイピック 193
聴覚障害の患者がヘミシンクを使うためには ヘレン・N・ガットマン(博士) 201
第5章 ヘミシンクと精神医学 205
精神科診療にヘミシンクを導入する ジョナサン・H・ホルト(医学博士) 206
強化された直感的心理療法 ゲイリー・D・シェイキン(医学博士) 215
ヘミシンク=自己の癒し ゲイリー・D・シェイキン(医学博士) 228
ヘミシンクは内なるセラピスト ノラ・ローゼン 238
ヘミシンクでアルコール性鬱病を治療する ジョン・R・ミリガン(博士)、レイモンド・O・ワルドゲッター(教育学博士) 244
とある患者の体験より パトリシア・マーチン 250
第6章 ヘミシンクによる睡眠効果 255
痛みに伴う不眠を克服する スコット・M・テイラー(教育学博士) 256
不眠症とヘミシンク エドワード・B・オマリー(博士)、メアリー・B・オマリー(医学博士) 268
明晰夢 ブライアン・D・デイリー(医学博士) 277
第7章 介護施設におけるヘミシンクの活用 281
コミュニケーション・ギャップに橋を架ける デブラ・デービス(教育学修士) 282
長期入所者に対する補完治療法としてのヘミシンク リチャード・スタウト、ジュディー・マッキー 294
第8章 ビジネスに活かせるヘミシンク 303
ビジネス・セミナーでヘミシンクを使う リン・ロビンソン(博士) 304
ヘミシンクで仕事を効率化 ジェイムズ・エイケンヘッド(教育学博士) 311
第9章 世界に広がるヘミシンク 327
キプロスにおけるヘミシンク リンダ・ルブラン 328
ポーランドにおけるヘミシンク ポーウェル・ビック 339
スロヴェキアにおけるヘミシンク ペーター・シムコヴィチ 345
スコットランドにおけるヘミシンク ロナルド・ラッセル、ジル・ラッセル 356
メキシコにおけるヘミシンク ジーン・バステリス 362
第10章 ヘミシンクは動物にも効果があるのか 367
動物の苦痛をやわらげ安心感を与える スザンヌ・モリス他 368
第11章 ヘミシンクを科学的に検証する 383
バイノーラル・ビートの効果に関する研究 ジェイムズ・D・レーン(博士) 384
ヘミシンク中の脳と意識の働きを研究する F・ホームズ・アトウォーター 398
ヘミシンク中における脳波の状態を研究する ジョナサン・H・ホルト(医学博士) 409
"意識に関する"出版物におけるロバート・モンローの影響 スティーヴン・A・グラフ(博士) 416
第12章 ヘミシンクで広がる無限の可能性 425
影を取り戻すことによる癒し=リチャード・ヴェーリングの仕事 ロナルド・ラッセル 426
マジカル・ミックス キャロル・セイビック 431
シンクロニシティとソートボールの交差点 リン・B・ロビンソン(博士) 437
第13章 ヘミシンクを自発的に学ぼう 447
ヘミシンクCD(アルバム) 448
ヘミシンクCD(シングル) 453
モンロー研究所提供の滞在型プログラム 455
■第11章 「ヘミシンクを科学的に検証する」の扉より
『Using the Whole Brain』が1993年に出版されて以来、ヘミシンク・プロセスと、意識の状態に対するその影響に関する研究は着実に進んできた。F・H・「スキップ」アトウォーターが言うように、ヘミシンクが意識にどのように影響を及ぼすのかを正確に理解しようとするなら、「バイノーラル・ビート同調という限定的な概念」から一歩離れる必要がある。
ジェイムズ・レーン・スキップ・アトウォーター、ジョナサン・ホルトによる本章の3つの小論は、それぞれの分野の専門家によっていまどのようなタイプの研究が集中的に行われているのかを明らかにする。この音響技術が科学界により広く受け入れられるには、そしてその結果がさらに幅広く利用され、最高の効果を発揮するには、こうした研究が欠かせない。
それらと対象的ではあるが、やはり非常に関連性の高いのが、スティーヴィン・グラフの分析である。彼はロバート・モンローと研究所が意識にまつわる文献に与えた影響を分析している。彼の所見はきわめて明快であり、モンローの発見と著書の影響力の大きさを如実に示す証拠となっている。
■基礎データ
ページ数 | 464 |
目次数 | 67 |
目次の細かさ | 6.9 |
索引の数 | 0 |
参考文献一覧 | 29 |
印象 | 右脳と左脳で働きを分担することで成長に対応した新皮質は、再度統合されるのだろうか。しかし、危惧を感じることも事実である。 |
目次数はページ番号の付いた目次項目の数
目次の細かさは(ページ数/目次数)
目次の細かさが小さいほど、丁寧に目次が振られていることになります。
■関連書評
『脳の神話が崩れるとき』
『宇宙無限力の活用』
○■脳の神話が崩れる時■ ― 2016年02月21日 16:42
著者:マリオ・ボーリガード
翻訳:黒澤 修司
出版社: KADOKAWA/角川書店
2014年1月30日発行
256ページ
■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
科学が導く「心」の正体!自己治癒、催眠、超常現象、臨死体験、多くの実験で明らかになった精神が肉体を凌駕する証拠!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ボーリガード,マリオ
モントリオール大学の心理学科、放射線科、神経科学研究センターにて准研究教授を務める。『The Spiritual Brain』の共著をはじめ、神経科学、心理学、精神医学について、多くの文献を発表している。神経科学と意識についての研究が認められ、2000年にはWorld Media Netが選出する「21世紀のパイオニア100人」のひとりとして選出されている
黒澤/修司
1980年、埼玉県生まれ。ライター、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
はじめに 人は肉でできたコンピューターなのか? 7
──唯物論と心脳問題
第一章 思い込みが生死を分ける 25
──プラシーボ効果とノーシーボ効果
第二章 脳を心で操作する 53
──ニューロフィードバーック
第三章 心を変えること、それは脳を変えること 79
──神経可塑性
第四章 感情が病気を治す 105
──心と体の深い繋がり
第五章 心の奥にひそむ力 127
──催眠
第六章 時空を超える思い 153
──超常現象
第七章 肉体の境界を越えて 179
──心と脳、そして臨死体験
第八章 大いなる自己との出会い 207
──神秘体験
おわりに 新たなる意識 231
NOTES 250
訳者あとがき 251
■「はじめに」のラリー・ドッシー博士による言葉より
「熟練の科学者たちが子どもたちに決して教えようとしない、ささやかな秘密がある──それは、『科学の世界に足を踏み入れるのならば、自分の精神は棚に上げなければならない』ということだ。これは、いくら人々が精神の存在を感じていようと、現在の科学では存在していないことになっているからだ。意識、意思、感情、そして理論という言葉でさえ、科学においては、脳という言葉に置き換えられてしまうのだ。」
■書評
ニューロフィードバックがアルコール依存症の治療と再発の防止やてんかんの治療に役立ち、長年瞑想を続けた修行僧の脳には変化が生じ、催眠は痛みを消し、臨死体験者や宇宙飛行士は価値観を変える
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