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図説 日本の職人 (ふくろうの本)2015年06月15日 08:22

日本が誇る職人たちの神の手技、ここに極まる。現代の名工30人の物づくりにかける情熱とその逸品を写真と文章で紹介。(「BOOKデータベースより)


神山 典士 (著), 杉全 泰 (写真)
単行本: 143ページ
出版社: 河出書房新社 (2007/10)

■商品の説明
出版社からのコメント
寄木細工、唐紙、鼈甲、半纏、印伝......など、日本が誇る職人たちの神の手技、ここに極まる! 本書は、日本の職人30人からなる手技を通して、忘れられた日本の美意識、生活様式を探訪します。
この国に生まれた喜びを、全国の職人の生き方とその技でかみしめ、贅沢な時間を味わうことができるとともに、「死ぬまで現役」という現代の名工の物づくりにかける情熱とその逸品を写真と文章で紹介していきます。
その職人技をとくとその目で確かめてみてはいかがでしょうか。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
神山/典士
ノンフィクション作家。1960年埼玉県生まれ。信州大学卒業。異文化、アウトロー、地域文化、表現者等をテーマに、さまざまなジャンルの主人公を探し続ける

杉全/泰
1945年福島県生まれ。成蹊大学卒業。写真家石黒健治に師事し75年独立。人物写真、北欧やアジアの信仰に関する写真を新聞雑誌、単行本、写真展などに発表している。泰工房主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■一言:
ものづくりの情熱に後押しされた無休生活

○「赤本」の世界―民間療法のバイブル (文春新書)○2015年06月16日 09:42

日本の家庭に常備されていた『赤本』の精髄を紹介する現代版、『ミニ赤本』


山崎 光夫 (著)
新書: 244ページ
出版社: 文藝春秋 (2001/10)

■商品の紹介
内容(「BOOK」データベースより)
富山の置き薬とおなじように、ひと昔前の日本の家庭に常備されていた『赤本』。大正十四年の上梓以来の累積発行部数は優に一千万部を超える。一衛生兵が著したこの家庭医学書は、昨今氾濫する健康本・健康雑誌がこぞって、それも著者の精神をはき違えて取り上げる民間療法のバイブルでもある。生涯衰えることのなかった著者・築田多吉の情熱を追うとともに、そこに盛られた看護法、健康術、救急手当法、不老長寿術の精髄を紹介する現代版『ミニ赤本』。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山崎/光夫
昭和22年、福井県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。テレビ番組構成作家、雑誌記者などを経て、昭和60年、『安楽処方箋』で小説現代新人賞を受賞し、作家デビュー。また平成10年、『薮の中の家』で第十七回新田次郎文学賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次(大項目)
まえがき 3
第一章 多吉の生涯 17
・超ベストセラー『赤本』17
・結核に打ち克った方法 22
・日本中の民間療法を収集 27
・多吉の日常と健康法 35
・根強い人気・梅肉エキスと卵油 42
・妻の喘息(ぜんそく)を治療 47
・現代の貝原益軒 50

第二章 『赤本』式看護法 57 ・栄養の話 59
・芥子泥(からしどろ)の作り方と貼り方 64
・温罨法(おんあんぽう)の種類とその仕方 66
・冷罨法(れいあんぽう)の種類とその仕方 66
・驚くべき効果のある腰湯、脚浴の仕方 71
・色々の病気に卓効のある芋湿布と鰌(どじょう)療法につき所見 72
・家庭按摩(マッサージ)の仕方とその効能 76
・浣腸の仕方 85
・呼吸器系の看護法―感冒(かぜひき) 88
・感冒根治の抵抗療法 91
・抵抗養生法と栄養療法の仕方 97
・動脈硬化の予防について 105
・その他の看護法 106
・鼻血の家庭手当 113

第三章 『赤本』式健康術 115
・梅肉エキスと卵油 116
・ハブ草について 119
・肩の凝り 123
・腰痛 124
・寝たがい(筋違い) 126
・喘息 127
・常習便秘(通じが遠いこと) 129
・呼吸法と静座法 132
・食欲が出て肥える腹の運動法 135
・青葉汁の偉大なる効果 138
・冷水摩擦と冷水浴 140

第四章 『赤本』式救急手当法 145
・救急手当―止血法の概要 146
・人工呼吸法(息を吹き返らす法) 157
・その他の民間療法 174
・中毒の救急手当 180
・猫いらずの毒 181
・酸中毒その他 184
・家庭常備薬 185

第五章 『赤本』式不老長寿術 201
・実験不老長寿法 202
・六、七十歳まで生き延びた人は養生の仕方によっては九十歳近くまではいきられるようだ 206
・現代の長寿法はその視野が狭い 209
・食欲が出て肥え太る腹の揉捏(じゅうねつ)指圧療法 213
・長寿法に対する結論 214
・気海丹田の修養 218
・不老強壮、精力増進の漢薬及び民間薬 220
・精力と寿命との関係 221
・人生の慰安と死の覚悟 224
・長寿者名士の強健法 228
・死体の処置 230

あとがき 233
索引 244

■まえがき
  『赤本』は健康書、家庭医学書における超ベストセラーである。 これまで、一千万部を優に超えて、現在もなお根強い人気に支えられ売れ続けている。 本書は、この『赤本』を執筆し、大正十四年に出版した築田多吉(つくだたきち)という人物の実像に迫り、同時に『赤本』に記されたエッセンスを抜粋した。
  本書は、いわば現代版『ミニ赤本』である。
  今日、健康雑誌が多数刊行され、毎号、健康にまつわる情報や健康法などが提供されている。 むしろ氾濫状態といえる。こうした健康雑誌の企画の"根"はほとんど『赤本』から出ているといっても過言ではない。 指圧療法、健康摩擦、マッサージ、カイロプラクティック、灸、腹式呼吸法。食事療法、青汁療法など、これら現代人にも支持されている健康法の源は『赤本』にある。 だが、こうした健康雑誌の記事の中には"多吉の精神"を忘れ、また、方法をはきちがえた内容が見受けられる。
『赤本』は日常生活に密着した健康生活ガイドブックである。 刊行以来、七十五年以上を経て、いま"多吉の精神"をたどり、原点を振り返るのは決して無駄ではないだろう。 『赤本』通りに生き、多吉は八十六歳で天寿を全うした。
『赤本』の表紙の裏に多吉の詠んだ歌が短冊風に記されている。
    人の行く裏に道あり
        病む人の近路をしらで
          逝くぞかなしき
『赤本』に書かれた"健康道"を知らずに早死にする愚を嘆いているのである。 いまこそ、"多吉の精神"を学びたいと考える。
  なお、本書では、『赤本』引用部分を現代人にも分かりやすい形で現在かな遣いに改めるとともに、 句読点をつけ、適宜、加筆・削除した。あらかじめお断りしておく。
  お大事に!

■一言:
知っている人は知っている医学書「赤本」の世界

○■宇宙無限力の活用■2015年06月17日 08:04

健康を維持し、自信を持って人生を生きる知恵


塩谷 信男 (著)
単行本: 176ページ
出版社: 東明社 (1994/07)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
宇宙には無限のエネルギーが満ち満ちている。その力を人間が取り入れる方法はないものだろうか?医師として60年間にわたりその方法を研究、活用しつづけた著者が、ようやくたどりついた「宇宙無限力」の活用法。その豊富な体験と哲学をあますところなく語り、人間の新しい可能性をひらく。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
内容(「MARC」データベースより)
宇宙には無限の力が充ち満ちている。著者は昭和6年に生命線療法を創めた時、この宇宙の無限力を自らの手から放射して、患者の病を治し、健康法を完成した。この無限力を吸気とともに体内に吸い入れて、健康体を造ることに成功。

著者略歴(奥付より)
塩谷信男(しおや のぶお)
明治35年3月 山形県上の山町に生る。
大正15年3月 東大医学部卒、24歳。
昭和3年3月-5年5月 京城帝大医学部助教授。
昭和4年、 東大医学部において医学博士の学位を受く。
昭和6年5月 東京渋谷に内科医院開設、20年5月戦災で焼失。
      東京世田谷に再び開院。 61年3月閉院、84歳。
現在 正心調息法および宇宙無限力活用法の普及に活躍中、92歳。
特殊研究:
1. 昭和6年より手掌よりの放射線研究、治療に応用。
2. 昭和6年より、霊魂及び霊界の研究、治療に応用。 昭和22年より物理的心霊現象の研究、昭和30年終止。
著書『健康長寿と安楽詩』『宇宙無限力の活用』『地球の破滅を救う』『想念力の驚異』共著(東明社)

■「はじめに」の第6段落
  私は中学一年の時から腹式呼吸をはじめた。 病弱な体を丈夫にしたい一心からだった。 大学時代に、この方法は、宇宙に満ちている力を取り入れているのだなと感じていた。 そして昭和六年(一九三一)に生命線療法を始めた時この生命線の本源は宇宙力だなと考えるようになった。 そして健康法の中に、また治療法の中に、そしていつの間にか人生百般のことに応用するようになった。 常時ではない、何か特別の時にである。 それが年をとるにつれてだんだん広く深く活用するようになってきたのである。 そして以下述べるような口幅ったいことを話すようになったのだ。 地面を這っているアリが、木の葉についている青虫に向かって、地球というものはな、と論ずるようなもので、まことにおこがましい次第である。 ただ宇宙の無限力の活用という点だけについてならば、そこばくの体験があるので、これを申し上げたいと思う。

■目次
はじめに 3
I 宇宙の無限力(上) 11
1 人生百般における実例 15
(1) 大学卒業後の目標 15
(2) 医局より追放される 18
(3) 大不況を易々と乗り切る 24
(4) 二木謙三先生と私 36
(5) 軍隊での湯治客生活 40
(6) モンブランのプレゼント 46
(7) チャンピョンを度重ねて獲得 50
(8) エベレストとの対面 61
(9) (つい)棲家(すみか)の騒動 76
2 肉体面における実例 91

II 宇宙の無限力(下) 103
III 結論 122
IV 付録(一) 135
1 宇宙無限力と世界平和 135
2 宇宙無限力と世界動乱 137
IV 付録(二) 139
1 宇宙力と三相原理 139
2 人間は下等動物から進化したのではない 144
3 松下松蔵翁と私 147
4 変わった話(一) 160
5 変わった話(二) 164
6 塩谷式正心調息法 169

IV 追記 177

■一言:
前著とあるのは『健康長寿と安楽詩』。ここで繰り返し触れてあった宇宙無限力に関する本を要望されて書かれたのが本書。

■書評
るびりん書林 別館

○■人とサルの違いがわかる本 ―知力から体力,感情力,社会力まで全部比較しました■2015年06月19日 10:10

ヒトはスタスタと歩くサル

杉山幸丸 (著)
単行本(ソフトカバー): 240ページ
出版社: オーム社 (2010/2/19)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
サルを知ることは、人を知ることだ。なぜならサルたちは、私たち人類の直近の隣人だからだ。生物進化のなかでサルが人の親類だということは、一八五九年にチャールズ・ダーウィンが『種の起源』を公にして明らかにした。繰り返し検討し直されてきたことだが、混沌とした現代だからこそ、人類の未来を誤らないために再度見直してみよう。進化のなかで何がサルと人の道を分けたのか、人は本当にサルより優れていたのか、最新の研究成果を含めて見直すことにより、私たちは人類の未来を切り開くためのヒントを得たい。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
杉山/幸丸
1963年、京都大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士。1963‐1970年、京都大学理学部助手。1970‐1999年、京都大学霊長類研究所助教授、教授(96‐99、所長)。2000‐2006年、東海学園大学人文学部教授(00‐04、学部長)。現在、京都大学名誉教授、東海学園大学名誉教授。専門分野は人類学、生態学、行動学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次(大項目)
はじめに iii
第1章 人とサルの進化
1 ダーウィンが考えた人の由来 2
2 霊長類の誕生 5
3 人と類人猿の誕生 8
4 類人猿と初期の人類 11
5 人とサルの遺伝子 14

第2章 人とサルの身体の構造
6 体の骨組み 18
7 雌雄での体格差 21
8 手の構造と握力 23
9 指紋による個体の特定 26
10 足の構造 28
11 顔のつくり 30
12 消化管 32
13 喉の構造と声 35
14 体毛の生え方 37
15 血液型 39
16 五感の特徴 41
17 成長の速度 43

第3章 人とサルの食と住
18 好きな食べ物 46
19 必要なカロリーと必要栄養素 49
20 食物欠乏季のエネルギー摂取 52
21 メタボはあるか 54
22 雨や寒さのしのぎ方 56
23 大型類人猿の寝床 58
24 衛生意識 61

第4章 人とサルの病気と老化
25 一番多い死因 64
26 寿命の差 66
27 老化の症状 68
28 寄生虫 70
29 病気と薬の使用 72
30 エコ意識 75
31 エイズにかかる 75
32 障害を持つサルの存在 79
33 花粉症にかかる 81

第5章 人とサルの体力と運動能力
34 力の差 84
35 走行能力 86
36 走る速度と持久力 89
37 バランス感覚 91
38 距離感と空間知覚能力 93
39 小麦をつまめるか 96
40 ドライバーを回せるか 99

第6章 人とサルの親子関係
41 お産の仕方 102
42 父親の子育て参加 105
43 お婆さんの役割 107
44 他人の子どもの世話 109
45 血縁意識 111
46 生涯に持つ子の数 113
47 子どもの自立のため親がすること 116

第7章 人とサルの社会生活
48 ボスの選ばれ方 120
49 集団のサイズと構成 123
50 群れへの加入と離脱 126
51 集団を移籍する静 128
52 子どもは社会に組み込まれてゆく
    (1)サルの場合 131
53 子どもは社会に組み込まれてゆく
    (2)人の場合 134
54 挨拶―互いの緊張をほぐす方法 136
55 分配・贈与とお返し 139
56 共同作業 142
57 同盟・連合と政治 144< 58 男女の分業 146
59 群れと家族のかたち 148
60 子殺しの怪 150
61 殺し合いと戦争 152
62 人口密度の社会への影響 155
63 混群と混血の問題 157

第8章 人とサルの感情表現
64 性の季節 160
65 顔での感情表現 162
66 身ぶりや声での感情表現 165
67 恐怖の表現 167
68 火や水への恐怖 169

第9章 新しい行動と文化
69 新しい行動の始まり 172
70 動物の道具使用と政策 175
71 霊長類の道具使用と制作 178
72 反復利用と複合道具 181
73 利き手 184
74 文化―教育と新行動の伝播 186
75 言葉と数と画像 189

第10章 心と知能 192
76 脳の大きさとIQ 192
77 知能や心が発達した理由 194
78 記憶力の差 196
79 音楽や絵画を楽しむ 198
80 夢を見る 200
81 言葉を使う 202
82 数の概念 205
83 「騙し」と「嘘」 207
84 相手への気遣い 210
85 同情と共感 212

第11章 人とサルのこれまでとこれから 216
86 資源の違い 216
87 サルの実験使用 218
88 人だけが増えた理由 221
89 「猿の惑星」 223
90 生き残るのは人かサルか 225

あとがき 227
主な参考図書 228
索引 229

■あとがき
  人も生物進化の産物だという観点から本書を書き上げた。 文明に取り囲まれ、生物からかけ離れたかのような存在になっている現代人も、生物の基本原則という大黒柱を驚くほどしっかり背骨に持っていることをおわかりいただけたことと思う。 そして、現代人と現代社会の抱える問題の根元が見え、それらに対処する道筋も楽しみながら理解してもらえたはずだ。 今の世の中、社会全体で変えていかなければならない問題が多いが、個人でだって始められることもたくさんあるはずだ。
  本書は免許や資格が取りやすくなるハウ・ツウ本ではない。また、明日の生活を便利にするわけでもなく、物価を下げるような役割も果たさない。 しかし、あなたの心と生き方にほんの少しずつ軌道修正を迫るものだと確信している。 堅苦しい言い方をすれば、それこぞが哲学というものだろう。 ご自分の生き方の哲学を打ち立てる参考にして欲しいと願ってやまない。
  原稿執筆の過程で松原幹、中村克樹、大橋岳の各氏から資料の収集や原稿の補筆などでご支援いただいたことを記してお礼申し上げる。
        二〇一〇年梅の花咲く二月 犬山にて 編者 杉山 幸丸

■書評:
るびりん書林 別館

◎■逝きし世の面影■2015年06月20日 11:10

明治の本当の姿を知るには、その前の時代を知ることが必要だ


渡辺 京二 (著)
単行本(ソフトカバー): 604ページ
出版社: 平凡社 (2005/09)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「私にとって重要なのは在りし日のこの国の文明が、人間の生存をできうる限り気持のよいものにしようとする合意とそれにもとづく工夫によって成り立っていたという事実だ」近代に物された、異邦人によるあまたの文献を渉猟し、それからの日本が失ってきたものの意味を根底から問うた大冊。1999年度和辻哲郎文化賞受賞。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
渡辺/京二
1930年、京都市生まれ。日本近代史家。書評紙編集者などを経て、河合塾福岡校講師。熊本市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
第一章 ある文明の幻影 9
第二章 陽気な人びと 73
第三章 簡素とゆたかさ 99
第四章 親和と礼節 145
第五章 雑多と充溢 205
第六章 労働と身体 235
第七章 自由と身分 235
第八章 裸体と性 295
第九章 女の位相 341
第十章 子どもの楽園 387
第十一章 風景とコスモス 427
第十二章 生類とコスモス 481
第十三章 信仰と祭 525
第十四章 心の垣根 557

あとがき 581
平凡社ライブラリー版 あとがき 585
解説―共感は理解の最良の方法である 平川祐弘 591
参考文献 601
人名作品 604

■あとがき(抜粋)
(第一段落)
  『逝きし世の面影』を平凡社ライブラリーに加えて下さることになってほっとしている。 版元が重版をしなくなってから、この本は幻の本になりおうせたとのことで、古本屋を探したが手に入らぬ、何とかならぬかという問い合わせをずいぶんと受けた。 手許にいくらか持っていたのも方々から召しあげられ、私自身一冊しか持ちあわせない有様である。 平凡社ライブラリーになれば、問いあわせを受けて心苦しい思いをすることもない。 そういう次第で、この本に目をつけて下さった平凡社の編集者二宮善宏さんに深く御礼申しあげたい。
(第四段落)
  私はたしかに、古き日本が夢のように美しい国だという外国人の言説を紹介した。 そして、それが今ばやりのオリエンタリズム云々といった杜撰な意匠によって、闇雲に否認されるべきではないということも説いた。 だがその際の私の関心は自分の「祖国」を誇ることにはなかった。 私は現代を相対化するためのひとつの参照枠を提出したかったので、古き日本とはその参照枠のひとつにすぎなかった。 この本はそれまで私が重ねて来た仕事からすれば、突然の方向転換のような感じを持った人びともいたらしいが、私の一貫した主題が現在という人類社会の特殊なありように 落着かぬ自分の心であった以上、そういったものでもあるまいと自分では思っている。 だが、そういうくだくだしたことはこれ以上書くまい。 この本が呼び起こした反応とそれに対する答えは、すでに「逝きし世と現代」(『渡辺京二評論集III・荒野に立つ虹』所収。葦書房、一九九九年刊)と題する小論で述べておいた。

■第十一章 風景とコスモスから
ヒューブナーは言う。「日本人は自然が好きだ。ヨーロッパでは美的感覚は教育によってのみ育み形成することが必要である。ヨーロッパの農民たちの話すことといえば、畑家の肥沃さとか、水車を動かす水量の豊かさとか、森の値打ちとかであって、土地の絵画的魅力についてなど話題にもしない。彼らはそうしたものに対してまったく鈍感で、彼らの感じるものと言ったら漠然とした満足感にすぎず、それすらほとんど理解する能がない有様なのである。ところが日本の農民はそうではない。 日本の農民にあっては、美的感覚は生まれつきのものなのだ。たぶん日本の農民には美的感覚を育む余裕がヨーロッパの農民よりもあるのだろう。というのも日本の農民はヨーロッパの農民ほど仕事に打ちひしがれてはいないからだ」。ヒューブナーはオーストリアの貴族であり、かつメッテルニヒの腹心だったという外交官である。いったい彼は自国の農民についてどれだけのことを知っていてこういう断言をしたのだろうか。また、「肥沃な土壌と雨と太陽が仕事を半分してくれる」ので、日本の農民は戸口で寝そべって美しい風景を楽しんでいるなどと、どんな 知見に基づいて書くことができたのだろうか。しかしこれが全部与太話だとしても、彼が前引のように感じたという事実は残る。彼は、自分が実見した富士山麓の美しい村々のたたずまいに幻惑されたのかもしれない。だが当時の日本の村のたたずまいには、自然美を生活の重要な一部としてとりこんだ暮らしを実感させるような、 何ものかがあったことはたしかだ。

■一言
第一章は抽象的であり、難解であるため、無理せず、早めに第二章以降に進むことをお勧めします。

■書評
明治の本当の姿を知るには、その前の時代を知ることが必要だ

○■病気が教えてくれる、病気の治し方―スピリチュアル対症療法■2015年06月20日 20:51

ドイツのベストセラー。
心の声を聞き取ることが、病気克服の第一歩。


トアヴァルト デトレフゼン (著), リューディガー ダールケ (著)
単行本: 317ページ
出版社: 柏書房 (2004/11)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
症状=「影」の声を聞くことからはじまる豊かな人生。症状から引ける索引付き。
内容(「MARC」データベースより)
病気と治癒を理解するための考え方を解説し、よくある病気の症状を取り上げて、そこに象徴されるメッセージを心の問題のあらわれとして解き明かす。巻末に症状から引ける索引付き。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
デトレフゼン,トアヴァルト
1946年生まれ。精神医学を学んだのち、1974年に特殊心理学研究所を設立し、リーインカーネーション・セラピーを開発する。ここで実践したセラピストに、リューディガー・ダールケ、ニコラウス・クライン、ロベルト・ドルシュなどがいる。特殊心理学研究所は93年にカウワナ修道院(ヘブライ語で、献身、意図、目的、祈りを意味する)と改名され、新興宗教団体として活動している。神秘主義者、占星術師としても名高い

ダールケ,リューディガー
1951年東ベルリンに生まれる。ミュンヒェン大学で医学を専攻したのち、精神療法士および自然医学医師の資格を取得。夫人マルグリット・ダールケとともにヨハニスキルヒェ医療センターを開設し、講演やセミナーをおこなっている。精神療法のためのCDならびに著書多数

シドラ/房子
新潟県生まれ。武蔵野音楽大学卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
はじめに 5
第一部 病気と治癒を理解するための考え方 7
・病気と症状 8
・両極性と単一性 19
・影 45
・善と悪 53
・人間はもともと病気 66
・原因をさぐる 72
・背景を知るための方法 86

第二部 病気の症状と解釈 111
・感染症 112
・抵抗力 128
・呼吸 134
・消化 146
・感覚器官 170
・頭痛 181
・皮膚 189
・腎臓 199
・セックス、妊娠 212
・心臓と血液循環 227
・運動器官と神経 236
・事故 252
・精神的症状 261
・がん 278
・エイズ 289
・何をすべきか? 297

訳者あとがき 308
索引 i

■「人間はもともと病気」(一部引用)
   病気を防ぐことができる、撲滅することができるというのは妄想だから捨てたほうがいい。人間には矛盾が多く、そのため病気なのだ。生きていくうちだんだん病気にはまっていき、やがて死をもって最後を飾る。それが自然である。肉体は無機的存在を目標とする。この目標に少しずつ近づくように自然は超然と取りはからう。病気と死は、 人間の妄想を打ち砕き、一面性を修正するものである。
  人間は、力に飢えた自我によって生きている。自我はしだいに大きく膨らんで新しい崇高な衣をまとい、人に奉仕させる。自我はいつも境界をつくるので、情熱や愛や統合をおそれている。自我は片方の極を選んで実現し、影を外へ追い出す。病気は、人がどれくらいまん中から片側へ寄ったかに応じて症状を示して、反対側へと向かわせる。そうやってバランスさせるのだ。人間の傲慢な自我によるおこないを、謙遜と無力の方向に調整する。人を病気の状態になりやすくするのは、その人のもつ才覚や手腕なのである。
  健康に生活しようと心がければ、そのぶん病気を招くことになる。これは現代には当てはまらないと思うかもしれない。予防医学が日々進歩しているのだから、と。他方では≪ナチュラルでヘルシーな生活≫がブームになっている。知らないうちに毒物とかかわっていることへの自然な反応だが、≪病気≫というテーマからみると西洋医学と同じく的はずれである。どちらも病気を機能のうえから予防することを起 点として、なんらかの方法でそれを防いで健康な人間にしようとして いるからである。とはいえ、これらは希望を与えてくれるので、それ なりに人気がある。
  死が生に属するように、病気も健康に属している。私たちは、読者の方々の見る目を研ぎ、これまでの思考に新しい方向を加えて補完したいと考えている。努力して幻想を打ち砕けば、かならず自由の余地が増えるだろう。

■索引(項目の列挙のみ)
ア行
アルコール中毒症/アレルギー/胃/胃炎/胃潰瘍/委縮腎/痛み/咽頭炎/インフルエンザ/インポテンツ/うつ病/運動器官/エイズ/嚥下困難/遠視/炎症/黄疸/嘔吐/悪心/オルガスムス

カ行
潰瘍性大腸炎/過食症/ガス/風邪/花粉症(咳に出る)/花粉症(鼻やくしゃみ)/痒み/カリエス/がん/肝炎/感覚器官/肝硬変/冠状血管のつまり/冠状動脈不全/関節・関節症/関節炎/乾癬/感染症/肝臓/期外収縮/気管支炎/気管支喘息/気管支肺炎/喫煙/吃音症/狭心症/拒食症/虚脱/近視/筋腫/緊張亢進/結核/血管の硬化/月経/月経過少/月経過多/月経困難/血行/結合組織/血栓症/血栓性静脈炎/結膜炎/下痢/高血圧/梗塞/交通事故/喉頭炎/更年期障害/呼吸器官/鼓腸/コレラ

サ行
坐骨神経痛/子癇/糸球体腎炎/子宮付属器炎/事故/歯周組織/失神/失明/歯肉炎/歯肉の出血/斜頸/斜視/十二指腸潰瘍/出産(分娩)/授乳/腫瘍/消化/猩紅熱/小腸/小児性疾患/小児病/静脈瘤/食欲不振/書字痙攣/自律神経失調症/腎盂炎/腎炎/心機不整/心筋炎/心筋梗塞/神経性食欲不振/心臓/腎臓/腎臓結石/心臓神経症/心臓の機能不全/心臓発作/心粗動/心内膜炎/じんま疹/膵炎/膵臓の機能不全/頭痛/性/精神病/性病/生理不順/咳/赤痢/背中の痛み/疝痛/躁うつ病/想像妊娠/塞栓

タ行
帯状疱疹(ヘルペス)/大腸炎/多発性関節炎/多発性硬化症/胆石/胆嚢/中耳炎/中毒症/聴力の喪失/直腸/椎間板/痛風/ツメを噛む/つわり/低血圧/天然痘/糖尿病/動脈硬化症

ナ行
難聴/乳児脂漏性湿疹/乳汁分泌不全/尿酸性関節炎/妊娠/妊娠中毒症/捻挫/脳震盪/膿瘍/喉荒れ/喉の痛み

ハ行
歯/肺炎/白内障/破傷風/肌荒れ/発熱/ヒステリー球(喉に塊がある感じ)/皮膚/皮膚炎/皮膚の痒み/肥満症/貧血症/頻脈/風疹/不感症/不整脈/不妊/不眠/閉経/ベヒテレフ病/偏頭痛/扁桃炎/便秘/膀胱/膀胱炎/膀胱神経症/膀胱の障害
マ行
麻疹/耳/無オルガスムス/無月経/胸やけ/免疫

ヤ行
夜間遺尿症/薬物/火傷/夜尿症/腰痛

ラ行
卵巣の炎症/流産/リューマチ/緑内障/リンパ管炎

■一言:
病気の本質をスピリチュアルに説明

■書評
るびりん書林 別館

○●僕は動物カメラマン●2015年06月21日 09:39

偶然カメラと出会って一生の職業に。


宮崎学 (著)
発行所: どうぶつ社
1983年9月1日発行
163ページ

商品の内容
ガキ大将だった少年が自己に目ざめプロ・カメラマンとして活躍するまでの青春記。話題作を発表しつづける著者の撮影技術も公開。

著者略歴 (「ツキノワグマ」の「BOOK著者紹介情報」より)
宮崎/学
1949年、長野県に生まれる。精密機械会社勤務を経て、1972年、独学でプロ写真家として独立。『けもの道』『鷲と鷹』で動物写真の世界に新風を巻き起こす。現在、「自然と人間」をテーマに社会的視点に立った「自然界の報道写真家」として日本全国を舞台に活躍中。1978年『ふくろう』で第1回絵本にっぽん大賞。1982年『鷲と鷹』で日本写真協会新人賞。1990年『フクロウ』で第9回土門拳賞。1995年『死』で日本写真協会年度賞、『アニマル黙示録』で講談社出版文化賞。2002年「アニマルアイズ(全5巻)」シリーズで学校図書館出版賞(本データはこの書籍(ツキノワグマ)が刊行された当時に掲載されていたものです)

目次
立身出世青春編
アルプスの見える村にて 8
"悪ガキ"時代 12
ある事件 19
高校なんかへ行くものか 23
覚悟の買い物 27
楽しかった毎日 32
青春の力だめし 38
雪山の興奮 44
3人の人 64
結婚したい女の子 73
ある自信 75
けもの道 79
ワシとタカ 85
野生の感覚 94

作品編
イヌワシ 17
ハチクマノヒナ 18
カモシカ 35
ツキノワグマ 36
フクロウ 53
モモンガ 54
ヒメネズミ 71
ツミ 72
ハチクマ 89
カンムリワシ 90
イヌワシ・ハヤブサ・ミサゴ 91
オオタカ・ハイタカ 92
ノウサギ 125
ヒメネズミ・テン 126
キツネ・イタチ・タヌキ 127
カモシカ 128

自分流写真術
2つのシステム 102
どんなカメラを使っているか 106
使いやすいレンズ 110
フィルムとフィルターについて 112
撮影の前の準備 114
ニッサン・キャラバン 116
スズキ・ジムニー 119
トライアルバイク 120
観察のための主力武器 122
身をかくすための知恵 131
登山道具 133
メカの開発 136
赤外線感知装置 138
レンズの改造 140
無人管理 145
カメラ・ケース 148
相手を知るための独自な工夫 151
撮影本番、ああ苦痛! 154
動物写真は芸術か? 157
こんなカメラを使ってみたい 160
(作品編はまとまったページではなく、
それぞれの作品が掲載されたページを示しています)。

■あとがきにあたる部分
●私の青春時代は、とにかく無我夢中だったような気がする。 プロに、なれたらなるのではなくて、絶対になるんだといった気持で、日夜、がんばっていたようだった。 ●それだけに、いま思い返してみれば、苦しみ悩んだ"ハングリー"な時代がなつかしくもある。そして、気がついたらプロになっていて、このような本を書かされるはめになってしまった。 ●プロにあこがれ、なれたと思ったら、また別な苦しみのあることに気づいた。 私は、撮影のあい間、それも夜中にこれを書きながら、あらためてプロとは何かを考えさせられた。 ●プロとは、どうやら"生きざま"のすべてをさらけ出さなければならないらしい。 まるでヘビににらまれたカエルのごとく、私はこの仕事を引きうけてしまった。 ●だが、それも"どうぶつ社"という暖かみのある社名に原因があったような気がする。 久木亮一氏には、原稿のすべてにわたってお世話になった。 紙上をかりてお礼申し上げます。●

■一言
生涯の職業と出会った人物の青春期を読みたい。

△●川をのぼって森の中へ―ボルネオ島マハカム川の旅●2015年06月22日 10:18

自然との共生をさぐる写真紀行


今森 光彦 (著)
単行本: 40ページ
出版社: 偕成社 (2013/5/15)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
熱帯雨林を流れる大河をさかのぼる旅。川とともに生きる人々、めずらしい動植物や昆虫、そして先住民族ダヤクの人々との出会い。自然と人との共生をさぐる今森光彦のボルネオ紀行。小学校中学年から。
著者について
今森光彦
1954年、滋賀県に生まれる。写真家。木村伊兵衛写真賞、土門拳賞、毎日出版文化賞、産経児童出版文化賞大賞、小学館児童出版文化賞などを受賞。主な作品に『世界昆虫記』『昆虫4億年の旅』『里山物語』『わたしの庭』『おじいちゃんは水のにおいがした』などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
今森/光彦
1954年、滋賀県大津市生まれ。1980年にフリーランスの写真家として活動を開始。熱帯雨林から砂漠まで、生物をとおして見る世界の自然環境をあますところなく撮影するとともに、自らのフィールドとしている琵琶湖周辺を中心に国内での撮影にも力を注ぎ、自然と人のかかわりを「里山」という空間概念でとらえた作品を発表している。木村伊兵衛写真賞、土門拳賞、毎日出版文化賞、産経児童出版文化賞大賞、小学館児童出版文化賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■一言
生活の様子や自然の豊かさは伝わってくるが…

○■人間が好き―アマゾン先住民からの伝言■2015年06月23日 09:43

世界の紛争地を精力的に取材する長倉洋海の伝えるアマゾン先住民の生き方


長倉 洋海 (著, 写真)
大型本: 128ページ
出版社: 福音館書店 (1996/10)

■商品の説明
同じモンゴロイドとしての親近感と、いまなお自然とともに生きることへ郷愁を抱かせるアマゾン先住民。 アマゾン・インディオたちが1993年春「白人の抑圧に抗して、立ち上がった」というニュースにアマゾン行きが決まった。

著者について 長倉洋海
1952年、北海道釧路市生まれ。京都での大学生時代は探検部に所属し、手製筏による日本海漂流やアフガン遊牧民接触などの探検行をする。1980年、勤めていた通信社を辞め、フリーの写真家となる。以降、世界の紛争地を精力的に取材する。中でも,アフガニスタン抵抗運動の指導者マスードやエルサルバドルの難民キャンプの少女へスースを長いスパンで撮影し続ける。戦争の表層よりも、そこに生きる人間そのものを捉えようとするカメラアイは写真集「マスード 愛しの大地アフガン」「獅子よ瞑れ」や「サルバドル 救世主の国」「ヘスースとフランシスコ エルサルバドル内戦を生き抜いて」などに結実し、第12回土門拳賞、日本写真協会年度賞、講談社出版文化賞などを受賞した。 2004年、テレビ放映された「課外授業・ようこそ先輩『世界に広がれ、笑顔の力』」がカナダ・バンフのテレビ祭で青少年・ファミリー部門の最優秀賞「ロッキー賞」を受賞。2006年には、フランス・ペルピニャンの国際フォトジャーナリズム祭に招かれ、写真展「マスード敗れざる魂」を開催、大きな反響を呼んだ。(http://www.h-nagakura.net/profile.html より)

■一言:
必要なものはなんでもあり、人は何も残さない。

■書評
るびりん書林 別館

○■アボリジナル―オーストラリアに生きた先住民族の知恵■2015年06月25日 10:18

伝統的な狩猟採集社会のあり様を伝える記録集


ジェフリー・ブレイニー (著), 越智 道雄 (翻訳), 高野 真知子 (翻訳)
単行本: 292ページ
出版社: サイマル出版会 (1984/12)

■商品の説明
名著『距離の暴虐』の著者が、大自然と共に生きたアボリジナル、今日の「原住民」の先祖たちの知恵と生活を感動的に描く!

ジェフリー・ブレイニー
オーストラリア辞典(大阪大学)

■目次
オーストラリア原住民の知恵―まえがき
1部―侵入者たち
1 湖上の火
・1 マンゴー湖畔の人びと 4
・2 氷河時代の世界地図 7
・3 火を噴く山々 11
2 発見者たち
・1 海を越える冒険 16
・2 なぜ海峡を渡るのか 23
・3 新天地の生活 27
・4 生活共同体 32
・5 移住の終焉 34
3 タスマニア人の謎
・1 三つの目隠し 38
・2 起源論争 41
・3 特異方向への進化 49
・4 偏見と盲信 53

2部―火と海
1 巨大獣の死
・1 絶滅の原因 59
・2 ディンゴ 66
・3 共犯者 72
2 燃える大陸
・1 たいまつを持ち歩く狩人 75
・2 火がつくった草原 86
・3 入れかわった"住人" 92
3 盛りあがる海
・1 水没した"橋" 96
・2 切断された文化 101
4 誕生と死
・1 飢餓 107
・2 堕胎と間引き 109
・3 戦争と殺戮 120
・4 人口増加の歯止め 128
・5 人口と食糧生産 131
・6 人口推移の真相 136

3部―狩猟民族の君臨する大陸
1 狩人たち
・1 狩人たちの道具と腕前 142
・2 狩人たちの知識と才能 147
・3 海の幸 150
・4 川魚をとる技術 157
・5 漁師たちの舟 160
・6 鳥を捕る生活 163
・7 鳥と昆虫 170
2 未墾の原野からの収穫
・1 野菜と果物 175
・2 乾燥地帯の植物 180
・3 女の仕事と労働時間 181
・4 食生活への誤解 187
3 医術、薬品、飲み物、化粧品
・1 薬用食物と外科手術 191
・2 酒、タバコ、麻薬、毒薬 194
・3 砂漠で水を得る術 199
・4 絵の具と化粧品 203
4 果てしない旅の論理
・1 アボリジナルの季節感覚 207
・2 飢えと寒さの苦しみ 211
・3 保存と貯蔵の知恵 216
・4 食物のタブー 220
・5 巡礼の旅 225
5 交易ルートと儀式
・1 余剰産物と物々交換 230
・2 贈与と返礼 234
・3 交易とアボリジナルの生活 240
6 アボリジナルの豊かさ
・1 白人探検家の飢餓体験 244
・2 豊かな大地の恵み 249
・3 ヨーロッパ人の幻想と思い込み 252
7 破滅への道
・1 狩猟採集民族の試練 258
・2 前進をやめた農耕・牧畜経済 263
・3 外界の震動 270
・4 開始された侵略 276
・5 植民地化への荒波 281

ブレイニーさんのこと―訳者あとがき 285

■「オーストラリア原住民の知恵―まえがき」の冒頭部分
  バビロンやアテネが繁栄を誇った時代よりもはるか昔、オーストラリア原住民アボリジナルたちは、じつにたいしたことをなしとげていた。
  彼らは海を渡って人の住める大陸(、、、、、、、)を発見するという、世界史上なんびともやっていないことをやりとげたのだ。
海岸に沿って大陸を進み、また内陸に踏み込んでいく勇敢な探検者が彼らのなかから続々と出現してきた。 彼らはさしずめ褐色の肌をしたコロンブスたち、ミッチェル少佐[一七九二~一八五五。オーストラリアの探検家。サー・トーマス・リヴィングストン・ミッチェル]たち、いやリヴィングストン博士たちだったといえばよかろうか。
  オーストラリアを自分たちの土地としたアボリジナルたちはさらに、長い年月をかけてさまざまの食用植物を見出し、貴重な鉱山を見つけて採掘し、新しい医術や薬、道具を作る技術、そしてピンは化粧用の泥絵の具、キリは砂漠地帯の隠れたたまり水にいたる、 じつにさまざまな資源を発見したのだ。 彼らは、厳しい、だが同時に慈愛に満ちたこの地の環境にあわせて生きることに成功した。 そしてこの時期、オーストラリアのあちこちの広大な地域では、一七八八年の白人入植以来よりずっと多くの人びとが暮らしていけたのだった。
  ある意味では当時のアボリジナルの生活水準は、アジア人のそれより今日のヨーロッパ人の水準にむしろ近かったといえる。 人口の増加は緩慢だったし、物質的な面の生活水準が比較的高かったからだ。
  十七世紀に、もしひとりのアボリジナルが珍しい生きものとして生け捕りにされ、オランダ船かなにかでヨーロッパに連れ去られたとする。 スコットランドからコーカサス地方までずっとさらしものにされながら引きまわされているあいだに、いかにヨーロッパの庶民が苦しい生活をしているかを目のあたりにして、 彼はなるほどこれが第三世界というものか、なんと貧しく苦しい生活かとひとりつぶやいたかもしれない。

■一言
ヨーロッパ発の産業社会が崩壊させた「豊かな社会」という要素は『逝きし世の面影』と共通

■書評
るびりん書林 別館