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○■遥かなる野菜の起源を訪ねて■2016年11月10日 16:25

1982年から1989年にかけてと2002年に行われた世界中で大規模に作られている野菜と穀物の原産地を訪ねる旅の記録。


池部 誠 (著)
単行本: 254ページ
出版社: ナショナル出版 (2009/08)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
1982年から1989年にかけて、延べ10カ月に渡って7カ所の野菜の原産地、2002年に稲の原産地に探検に行った記録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
池部/誠
1942年生まれ。ノンフィクション・ライター。世界の八大作物原産地の7ヵ所を探検(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
はじめに
第一章 シルクロードは「野菜の道」だったか 7
古ぼけたプロペラ機/日本の野菜のルーツ/作物の八大原産地/日本の野菜研究/オアシスの黄色いニンジン/中国の植物起源学はこれから/野菜の通り道ではなかったシルクロード

第二章 ジャガイモはアンデスの高山植物だった 29
クスコでは高山病に注意/才色兼備の野生ジャガイモ/標高五千メートルを有効利用/欧州での食体系を変えたジャガイモ/ジャガイモとアイルランド/アンデスの山あいに咲く野生トマト

第三章 キャベツの故郷は地中海沿岸の岩壁 51
アクロポリスに咲く菜の花/キャベツの原産地探し/風に揺れるポプラ/トルコには野生種が多い/岩壁に咲くクレティカ/シチリアの山のキャベツ/マヨネーズの発祥地・マオン/ドーバーのシルベストリス

第四章 アジアを救ったサツマイモ 73
日本を救ったサツマイモ/私の大嫌いなサツマイモ/サツマイモの原産地/アメリカのサツマイモ/サツマイモの移動、南米からポリネシアへ/モアイのイースター島/ニューギニア高地のサツマイモ

第五章 インドで生まれたナス・キュウリ 97
華北系と華南系/照葉樹林文化/雲南の山黄瓜/雲南省のタイ族の村/タイのリス族の村/インドとナス/インドのナス料理/ネパールの野生キュウリ

第六章 菜の花の道はどこを通っていたか 119
北京の街を覆う白菜/白菜が生まれた土地・揚州/菜の花の道/トルコの野生の菜の花/インドのアブラナ・サーソン/峠の向こうのラダック/チベットのカブ/広州の菜心/後日談

第七章 ユーラシア大陸最深部の作物 141
東はネギ西はタマネギ/タマネギはどこが原産地か/アルタイ山中で探検/葱嶺を仰ぎみる/野生ニンジンを発見/原産地のニンジンの味

第八章 世界最初の文明を生んだ小麦・大麦 163
農業を始めた土地/何故、農業は生まれたか/農業革命の意味/原農業の始まり/文明は農業が生んだ/農業の暗部/一粒の麦/ルツ記/ヨーロッパへの伝播

第九章 突如踊り出た「稲作文明」 193
河姆渡遺跡の発見/稲作開始の原因/良渚遺跡の謎/長江文明/桂林郊外で野生イネを見た/龍勝梯田/ラオスへ/タイの浮きイネ/日本への道/日本最古の水田/縄文人は大陸まで出かけたか?/弥生時代は戦争開始の時代でもある/日本での水田稲作伝播のスピード/縄文時代のイネのプラント・オパールが発見された/縄文農耕/三内丸山遺跡/新みずほの国構想/第二の緑の革命/持続する農業の道

あとがき

■「はじめに」より
  これは、一九八二年から一九八九年にかけて、延べ十カ月に渡って七カ所の野菜の原産地、二〇〇二年にイネの原産地に探検に行った記録である。世界には全部で八カ所の野菜や作物の原産地があり、主要な作物は七カ所で生まれたが、日本は含まれていない。日本の主食であるイネやムギはもちろん、日本の野菜のベストテンを消費量順に挙げると、大根、キャベツ、タマネギ、白菜、ジャガイモ、キュウリ、トマト、サツマイモ、ニンジン、レタスとなるが、どの野菜も日本生まれではない。
(中略)
  調べてみると、奈良時代までに日本に入っていた野菜が多かった。昔は種子だけを送るなんてことはなかったはずだから、アジアの各地から栽培方法を知った民族が種子を持って日本にやってきたことになる。オーバーにいえば、古代の日本はアジア各地からやってきた多くの民族の作ったクニが割拠する土地だったのではないか。こう考えた私は是非、日本から原産地までの道を辿り、野菜や米の先祖である野生植物も見てやろうと思うようになった。原産地とは野生植物を人間が栽培化した土地のことである。
(中略)
  昔の日本はクニの集まりではなかったかと思って出掛けた探検だったが、その期待は充分満たされた。東アジアのいろいろな国で、知人によく似た顔の人や、初めて会っても懐かしい思いのする顔をした人々と会うことができた。逆に、現地で私はチベット、中国山東省、韓国の人間と間違えられ、望月カメラマンはネパール人と間違えられた。こんな土地から日本までやってきたのか。各国で食べた、原産地ならではの実においしい野菜とともに、忘れられないことである。

■書評
1982年から1989年にかけてと2002年に行われた世界中で大規模に作られている野菜と穀物の原産地を訪ねる旅の記録。