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○■知能公害(反教育シリーズXI)■2016年12月08日 21:25

子どもを選別して画一的な教育を施す意味を考えると社会そのものの在り方が問われて来る


渡部 淳 (編集)
-: 204ページ
出版社: 現代書館 (1973)

■商品の説明
内容
歪められる幼児・私たち!
「能力に合った」の美名のもとに作り出される障害児(者)。差別・選別教育に対し、排除されてもなお異を唱え続ける実力就学運動は「神聖な教室」を変革の対象とすることによって、知能指数の欺瞞性・差別の実体を如実に浮び上がらせる。

著者について
渡部 淳(わたなべ あつし)
国立小児病院心理検査室勤務
「教育を考える会」会員
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものですデータ)

■目次(中項目まで)
共に育ち合うこと I
第一章 知能公害 9
一 英才教育への疑い 9
二 いい子ちゃんの知能テスト 17
三 知能テストの果たしている役割 26
四 知能公害の世の中を生き抜くために 33
第二章 知能公害 41
一 子どもの置かれた現状と私の疑問 41
二 自閉症児は存在するのか 49
第三章 選ばれる"人身御供" 73
一 入級判別の問題点―在学児を中心に― 73
二 情緒障害児学級の欺瞞性 96
第四章 実力就学運動 107
一 「教育を考える会」が発足しました 107
二 "神聖なる密室"の中で 109
三 アポロは月に着陸したが 121
四 すべての人が"保安処分"の対象になる 130
五 "親の期待に添う"とはどういう事か 140
六 個別の闘争と共通項 148
第五章 座談会 普通学級への逆流 ―学校教育の変革を目指して― 165
一 実力就学運動で視えて来たもの 165
二 普通学級と特殊学級 180
三 部落解放同盟の実践をどう受けとめるか 189
あとがき 200

■「共に育ち合うこと」の最後の部分
  私たちは、「普通学級に子どもを入れさえすれば事足れり」と思ってはいません。現在の公教育に児童を「治療」したり、発達させたりする可能性があるなどと期待するのは、全く現在の公教育の置かれている状況を見ないでいる事と思います。しかし、公教育のその壁をいったい誰と、どの様に、壊わしていくのか、私たちは誰にでも問いたいのです。

■書評
子どもを選別して画一的な教育を施す意味を考えると社会そのものの在り方が問われて来る

○■トンガの文化と社会■2016年09月06日 19:55

南太平洋の小さな島国は、トンガ帝国とも呼ばれる海洋国家を作り、強大な権力を持つ王がいた


青柳 まちこ (著)
ハードカバー: 260ページ
出版社: 三一書房 (1991/11)

■商品の紹介
内容
長年にわたるオセアニア研究の初期に書かれた論文を中心にして編まれた書であり、全体としてトンガのイメージが読者に違和感なく伝わるように構成されている。
本書の特徴は以下の五点。
(1)土地制度と海外移住の因果関係
(2)キリスト教の受容にともなう西洋化
(3)家族、親族、そして社会組織と非単系的集団に関する社会人類学的研究
(4)余暇感
(5)子育て論
「余暇」と「子育て」という著者独自の視点が本書を出発点としていることは注目に値する。

著者について
青柳まちこ
東京女子大学文学部卒業、東京都立大学大学院修了(文化人類学専攻)
清泉女子大学助教授をへて、
現在、立教大学文学部教授、文学博士。
主な著書
『遊びの文化人類学』(講談社・現代新書)
『女の楽園トンガ』(三修者)
『モテクゲイ――ミクロネシア・パラオの新宗教』(新泉社)
『子育ての人類学』(河出書房新社)など
(データは本の出版時点です)

■目次(大項目のみ)
第I章 トンガ王朝の歴史 9
第II章 トンガの伝統的社会組織 23
第III章 トンガにおける土地制度 45
第IV章 現代トンガ村落における家族と親族 79
第V章 親族の行動 109
第VI章 トンガにおける共同作業集団 135
第VII章 トンガの衣食住 143
第VIII章 余暇観 187
第IX章 子どもの成長と社会化 203
第X章 故郷をあとにする人々 219
あとがき 250

○■間引きと水子――子育てのフォークロア――■2016年09月02日 21:27

「間引き」という文化現象を検証しなおす

■書評
るびりん書林 別館


千葉 徳爾 (著), 大津 忠男 (著)
-: 256ページ
出版社: 農山漁村文化協会 (1983/07)

■商品の紹介
内容
「間引き」は一つの文化現象であって単なる嬰児殺害ではなかった。文化というものはその背景となる社会が生み出したものであり、そのにないては人である。
そのような文化を持つ前代日本人の文化行動の基礎となる本質的な構造と思考の方式とが、どの点では変りどの部分では古いものを保っているのか。また、そのような社会・文化の諸要素の組合わせと、それらの変動、つまり文化的構造の推移のしかたと、それが表面的社会現象としてはどのような形となるのか、などを考察してみたいというのが著者らの目的である。

著者に付いて
千葉徳爾(ちば とくじ)
1916年千葉県生れ。1939年東京高等師範学校文科4部卒。東京教育大、信州大、愛知大、筑波大を経て現在、明治大学教授。
『狩猟伝承研究』正統後篇(法大出版局)
『風土論』(朝倉書店)
『地域と伝承』(大明堂)
『切腹の話』(講談社)

大津忠男(おおつ ただお)
1956年福島県生れ。1979年筑波大学人文学類卒。
現在、茨城県立茨城東高校教諭。
(本書の発行時に掲載されていたデータです)

■目次
まえがき
第一部 間引きは常習ではなかった
序章 日本人の生命観
1 死者・墓・霊魂 14
・死者―墓のない人 14
・墓とは何か 16
・遺体処理にみる生命観のちがい 18
・差別される子どもの墓 20
・仏にしてはならぬ魂 24
・民衆の霊魂観 25
2 間引きと子どもの霊魂 27
・間引きという言葉 27
・子殺しは中世にもあった 29
・間引きの地方呼称 31
・生命観の地域的変化 35

第2章 通説「間引き論」批判
1 著者らの問題意識 39
2 間引きに対する通説と疑問 41
・間引き「通説」のいつくか 41
・「通説」への疑問と研究方法の批判 46
3 間引き資料としての絵馬の問題 65
・柳田国男の見たもの 65
・木版絵と地獄図の間引き 71
・間引き絵馬奉納の意味 76
・絵馬分布のかたよりが示すもの 78

第3章 江戸期の人口停滞の原因
1 間引きがなくても人口が停滞する根拠 81
・問題の手がかり――凶荒の影 81
・越前国「宗門改人別帳」の研究 83
・会津山村にみる貧農の結婚難 89
・昭和初期でも五割に近かった乳幼児の死亡率 91
2 寺院過去帳による分析――事実に即しての考察 94
・津軽金木町の過去帳の研究 94
・飛騨地方における過去帳の研究 96
3 結論――間引きは常習ではなかった 107

第二部 間引きをめぐる先人の心意――民俗学の方法
第4章 民俗学における間引きの見方
1 民俗資料による間引き・子おろしの考察 112
・民俗資料を使う意義 112
・資料『日本産育習俗資料集成』 について 114
・間引きをめぐる伝承 118
・子おろしをめぐる伝承 125
・子おろしの原因――密通 129
・間引きと子おろしの地域的差異が示すもの 131
2 間引きの底流にあるもの――津軽の民俗調査から 135

第5章 子どもの葬法からみた先人の心意
1 子どもの葬法に関心がもたれなかった不思議 143
2 著者らが選んだ調査地の概要 150
3 成人の葬法にみる死と霊魂についての考え 151
4 子どもの葬法の特徴 162
5 子どもの霊魂はどこへ 168
・ジゾッコとタモトオトシという言葉 169
・サイノカワラについて 172
6 生れかわる子どもの魂 178
・平田篤胤『勝五郎再生紀聞』 178
・輪廻思想とのかかわり 180

第三部 子育てのフォークロア――現代への架橋
第6章 子育てからみた常民の心意
1 子どもの無事を祈る民俗のかずかず 186
2 通過儀礼と庶民の心意 190
・通過儀礼研究の意義 190
・胎児の段階 192
・幼児の段階 197
・地域の特性はみられるか――調査から 203

第7章 かつて子どもは地域全体で育てられた
1 子どもの成長と地域社会の承認と支持①――脇川の調査から 209
2 子どもの成長と地域社会の承認と支持②――玉取の調査から 215
3 着衣の変化からみた社会的承認 222

終章 現代の子育てをめぐって
1 荒廃する現代の子育て――水子供養のはやる背景 235
2 叱り方にみる親と子の真実の絆 238
・「お前は拾った子だから……」といわれても 238
・孤独な群衆としての子どもの出現 241
3 郷党教育の後退と精神的間引きの増大 243
4 今、親たちに望むもの 248

参考文献 253
あとがき 255

○■私が直す! (1983年) ■2016年08月09日 08:55

戸塚ヨットスクールの理念、実際

■書評
るびりん書林 別館

戸塚 宏 (著)
-: 217ページ
出版社: 飛鳥新社 (1983/11)

■商品の説明
内容
本著は、昭和58年のマスコミによる"戸塚つぶし"キャンペーンの最中、戸塚校長が逮捕される直前に書かれたものです。校長の著書は他にもいくつかありますが、本著は誰にでも読みやすいように編集されたお勧めの本です。それゆえ、とうとう稀少なものとなってしまいました。そこで出版元の飛鳥新社にお願いしたところ、ここへの掲載を快く了解して頂けました。この機会に、一人でも多くの方に本著を読んで頂きたいと思います。(戸塚ヨットスクールWebサイトより)

著者に付いて
戸塚宏校長の軌跡

■目次
I章 体罰はタブーか
II章 ヨットスクールがしてきたこと
III章 問題児の親たち
IV章 父権の喪失
V章 子どもたちは何をつかむか
VI章 私のヨット体験
VII章 子離れできない親たち
VII章 親は何をすべきか

◎●15歳の寺子屋 ゴリラは語る●2015年12月19日 14:02

冷たいが懐の深い自然の中で生きるゴリラを通じて、見えるヒトの社会


山極 寿一 (著)
単行本: 98ページ
出版社: 講談社 (2012/8/31)

■商品の説明
内容紹介
人間の常識は、自然界の非常識かもしれない――。
ゴリラ研究の、日本におけるトップランナー・山極寿一先生に、30年にわたる研究から、ヒトのありようを逆照射してもらいます。
「ヒト=霊長類の王」「ヒト>ゴリラ他類人猿」とは決して考えない、徹底的にヒトを相対化して考える山極先生の視点は、示唆するものが大きく、刺激的です。
山極先生には、十数年ぶりに出会ったゴリラが自分のことを覚えていてくれた、という経験があります。このような魅力的なエピソードはもちろん、フィールドワークのおもしろさ、ゴリラとの交流、ゴリラの行動、現在のアフリカの状況、エコツーリズム、そしてこれからの人間を考えるときにゴリラから学ぶものはなにか? を伝えていきます。

内容(「BOOK」データベースより)
自分の姿をじっくり見るには、鏡が必要です。同じように、人間がどういう生き物なのかを知りたいときに、よき鏡となってくれるのが、ぼくたちと祖先を同じくしているゴリラなのです。恋と友情の間で悩むのは、なぜ?家族の役割って、なに?戦争をするのは、なぜ?自然が必要なのは、なぜ?そんな難しい問いに、ゴリラはヒントをくれます。ゴリラたちの姿を通して、世界の見え方が変わる体験をしてみませんか?ゴリラの家にホームステイしてだいじなことを教わりました。

著者について
山極 寿一
人類学、霊長類学者。京大大学院理学研究科教授。カリソケ研究センター客員研究員。日本モンキーセンター・リサーチフェロー。 1952年東京生まれ。京大大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。
『暴力はどこからきたか』(NHKブックス)、『ゴリラとヒトの間』(講談社現代新書)、『ゴリラとあかいぼうし』(世界傑作絵本シリーズ/福音館書店)など著書多数。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山極/寿一
人類学、霊長類学者。1952年東京生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。カリソケ研究センター客員研究員、日本モンキーセンター・リサーチフェロー、京都大学霊長類研究所助手を経て、京都大学大学院理学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
はじめに ゴリラは人間の「鏡」4
ゴリラを研究する ゴリラ一家にホームステイ 7
「自然のほほえみ」に出会う 武蔵野(むさしの)から屋久島(やくしま)、アフリカへ 30
ゴリラの教え① 会話と遊びで共感力を! 45
ゴリラの教え② だれかのために生きる 56
ゴリラの教え③ 争いは平和のために 69
ゴリラの教え④ エコ・ツーリズムという希望 78
おわりに 自然の冷たさと懐のふかさと 91

■書評
冷たいが懐の深い自然の中で生きるゴリラを通じて、見えるヒトの社会