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△■混浴宣言■2016年11月21日 20:51

混浴を存続させてきたのは女性たちだった?


八岩 まどか (著)
単行本: 254ページ
出版社: 小学館 (2001/11)

■商品の説明
内容紹介
八岩まどか氏は、日本と世界の温泉をつぶさに回って執筆を続け、混浴の文化をこよなく愛する女性温泉ジャーナリスト。もともと混浴が普通だった日本の温泉には100年以上にわたって、野蛮な風俗として退けられてきた歴史がある。ついに平成5年には「混浴をさせてはならない」と法律で明文化され、混浴禁止の波がひなびた混浴の温泉地にも押し寄せてきた。しかし、その一方で、若い人たちを中心にインターネットなどを通じて交流を深め、新しい意識で混浴を楽しむケースも増えている。めまぐるしい今の時代、束の間の非日常を体験できる混浴温泉は、ますます大きな意味を持ってきている。過去の歴史で、混浴禁止の令をうち破ってきたのは、いつも女性だった。今回は八岩氏が、新しいアプローチで混浴を解放する。

出版社からのコメント
混浴の歴史、文化から新しい混浴の潮流、そして海外の混浴事情まで。女性温泉ジャーナリストが混浴の全貌に迫り、その素晴らしさを描く。平成5年に人知れず禁止令が出た混浴温泉を蘇らせることはできるか?

内容(「BOOK」データベースより)
消えつつある混浴は、日本人のふれあいの原点。女性混浴愛好家が、湯気の向こうにご案内。

内容(「MARC」データベースより)
その昔、銭湯も温泉も混浴だった。歴史のなかで幾度となく禁止されても、混浴を望んだのはいつも女たちだった…。消えつつある混浴は日本人のふれあいの原点。女性混浴愛好家が、湯気の向こうの「裸のつきあい」にご案内。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
八岩/まどか
1955年生まれ。温泉の歴史、文化、民俗に興味を覚えて執筆活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
混浴宣言 8
第一章 現代混浴事情 11
混浴温泉女二人旅/水着は緊張を押しつける/挑発する女、見られる男/大自然の混浴体験はクセになる

第二章 混浴はなぜ禁止なのか 39
自然のままに混浴していた温泉/突然の銭湯混浴禁止令/男女七歳にして湯を同じうせず/新しい風はいつも女性から吹いてくる/身分によって湯を分ける

第三章 聖なる湯と性なる湯 73
艶めかしい湯女たち/女にとっての色ごと/女たちの祭り

第四章 文明開化が混浴を変えた 103
日本人には羞恥心がない/裸体が見えてはならない/ノスタルジーとしての混浴/戦争のなかで

第五章 混浴が楽しくなくなった理由 147
どうしても混浴は禁止だ/上司との混浴はイヤ/浴室がプライベート空間になった

第六章 混浴の再発見 171
裸の解放感/若い女性たちが混浴に目覚めた/癒されたい

第七章 ドイツ混浴事情 195
温泉は社交場/雪のなかで泳ぐのがドイツ流?/水着を脱ぎ捨てて/露骨な視線はマナー違反/温泉は裸の舞台/温泉は劇場だ/お国柄も見えて/まなざしの交換

第八章 新しい混浴の波 229
混浴は非日常体験/心を遊ばせる

あとがき 246
混浴温泉リスト 248
参考文献 254

■書評
混浴を存続させてきたのは女性たちだった?

○■未開人のエロス■2015年12月10日 21:58

1968年発行の世界中の「未開」地域から性にまつわる話を集めた、少し?な本


白川 竜彦 (著)
発行所: 大陸書房
昭和43年9月3日発行
476ページ

■目次(大項目)
プロローグ 13
第一篇 黒アフリカのエロス 23
I 黒いセックスの世界 25
II 秘密結社マウマウ入団の儀式 39
III キクユ族の"禁じられた遊び" 47
IV 亡びゆくバクツ族の性生活 64
V カラハリ砂漠のブッシュマン 75
VI イツリの森のバンプチ小妖精 87
VII ホッテントットの性の奇習 99
VIII ブガンダ王国ガンダ族のセックス 109
IX "女の戦士"ダホメ王国 115
X コンゴの"黒いハレム"騒動記 126

第二篇 アマゾン裸族のエロス 139
I 南米原住民の性習俗 141
II 獰猛クシカオ族の夜の宴 149
III 母系社会カシボ族の女酋長 163
IV 女だけの種族ワツンバ族 172
V 裸族ウイトト族の奇習 186
VI 乾首を製造するヒバロ族 199

第三篇 メラネシア原住民のエロス 211
I ニューギニア高地人の性習俗 213
II 原始パプアの妻のレジスタンス 221
III 高地イピリ族の一夫多妻 230
IV モゲイ族の未知なる避妊薬 238
V 滅びゆくオーストラリア原住民 254
VI 砂漠の放浪者アボリジン 261
VII アランタ族の流血の成人式 276
VIII 失われゆくアボリジンの習俗 287

第四篇 南太平洋のエロス 299
I ポリネシア人の性習俗 301
II タヒチ島のヴァヒネたち 304
III トロブリアンド島の愛の戯れ 313
IV ポリネシアの愛の島々 328
V パーマストン島の白人王者 333
VI ミクロネシアの性習俗 343

第五編 中近東のエロス 349
I 中近東・白アフリカの性習俗 351
II モロッコ王の禁断のハレム 355
III 砂漠の者ベドウィン族 365
IV サハラ砂漠の"青い人"トアレグ族 369
V エチオピア・ガラ族の結婚式 377

第六篇 東南アジアのエロス 385
I 東南アジアの人と性習俗 387
II フィリピンの未開種族 390
III マレー高地セノイ族の女呪術師 399
IV スマトラ古代王国の末裔たち 412
V ボルネオの未開種族 432
VI 知られざるセレベス島 435
VII 楽園バリ島の試験結婚 438
VIII 台湾山地の原住民・高砂族 449

第七篇 インドのエロスの神々 455
I 不潔なる神々の国 457
II 印度未開種族の習俗 462

エピローグ 473
(カバー写真撮影・高木康允)

■「プロローグ」から
(前略)
  程度の差があるにせよ、現代人の精神はその肉体以上に蝕まれ病んでいるのだ。そして、このような病理的な現象が最も尖鋭な形で現れているのが、そのセックスの部分である。
(中略)
  事実、今日の地球上では、健康で人間的な精神のパターンは、このような未開社会に最も多く残されている。むろん、そこに現代人の常識からすれば異常で歪んでみえる未開種族の習俗が数多く存在していることは事実である。だが、それも生活の基盤なり条件が異なれば、それもまた止むをえないことである。Aの環境では、正しいものが、Bの環境で悪とみなされることも決してめずらしくはないのだ。人間の社会とは常にそのようなものなのである。
  したがって、われわれが未開社会における幾多のセックスに関する習俗を知ることによって、数々の貴重な教訓を与えられるにちがいない。
(中略)
  人類の性の神秘は、少なくとも心理学的、人類学的には深い霧のなかに今日もなお沈んでいるのである。
  とはいえ、そのような学問的な探究が本書の目的ではない。それは広い分野にわたった種々の学問的、専門的な調査なり研究が、長い時間をかけて追求すべきアカデミックなテーマだからである。未開社会におけるセックスをめぐる数々の習俗を探検家、調査隊の目をとおしてながめることにより『われら、ひとしく人間』という実感を得ることができれば、本書の意図も達せられたというべきであろう。
(後略)

■「エピローグ」から(中程の一段落)
  セックスは決して穢れたものでもなければ、不潔なものでもない。人類が生きるためには当然行うべき行為である。このことは、まことに平凡で当然なことなのかも知れない。だが、われわれ現代人がセックスの健康を回復するためには、いま一度この平凡な言葉へ回帰する必要がある。このため本書が多少なりとも役に立つことができれば、望外のよろこびである。

■書評
るびりん書林 別館

○●日本人の性と習俗―民俗学上の考察(桃源選書)●2015年05月31日 09:46

西洋を頂点とする進化論の立場に立つユダヤ系民俗学者クラウスの著。


F・S・クラウス (著)
安田一郎(訳)
発行所: 株式会社 桃源社
昭和40年10月30日発行
256ページ

内容
   ドイツの偉大なる民俗学者であるクラウスは、つとに、日本民族の習俗、習慣、特に性生活のフォークロアに興味をいだき、日本の隠れた研究者の協力を得てきわめて詳細、かつ正確に、日本人の性生活を明らかにした。本書はその忠実なる翻訳書である。
  クラウスは、われわれ日本人が、如何に性に対して崇高であったかを、信仰、物神崇拝、結婚、絵画等々の面から分析、解明し、理論づけている。
  日本人の性意識を、正しく記録してくれた書物とし て、本著は古典的位置を占めるものである。(カバーから)

著者 Friedrich. S. Krauss
1859年、オーストリア(現、ユーゴスラビア)のボセガに生まれる。
ウィーン大学で民族学を修め、東欧農民の民間伝承を研究し、世界的になる。
1904年、フロイトらとともに雑誌「アントロポフィティア」を創刊。
1917年、ウィーン大学員外教授。
著書多し。
主なる著書:南スラブ族の慣習、風習、信仰からみた生殖、南スラブ族の民間伝承、民族の美と鏡としての女性、プラントーム、ウクライナ農民の性生活等。
1940年、没。(カバーから)

安田一郎
1926年12月 京都に生まれる。
1949年3月 前橋医専卒。
1953年3月 東大文学部心理学科卒。現在横浜市友愛病院神経科医長。
訳著書「フロイト、性と愛情の心理」(1955年、角川文庫)「クラウス日本人の性生活」(1959年、河出書房)「精神分析入門」(1959年、光文社) 「sex探求」(1965年、講談社)(カバーから)

■目次
序文
第一章 序論 3
・わいせつとエロチック 3
・教育者としての日本 6
・日本民族の起原と先史 7
・日本人のわいせつ性 15
・わいせつな見世物 17
・裸体と入浴の慣習 18
・あんまと女あんまの生活 24
・日本最初の裸体画 26
・民族学的展望 28
第二章 植物崇拝と性器崇拝 31
・宗教の発端 31
・エロチックな日本の天地創造の神話 32
・神道 39
・植物崇拝 44
・木の霊としての神 52
・性器崇拝 59
・神殿 63
・露出 65
第三章 性器崇拝 69
・バックレイの性器崇拝の研究 69
・シェーデルの性器崇拝の研究 95
・石棒 104
・エチオピアの対応物 109
・芸術史と民族学 110
第四章 結婚 116
・性行為と宗教 116
・独身と結婚 118
・結婚と木の霊 121
・結婚の慣習 122
・エロチックな歌 128
・夫婦のおきて 130
・琉球の結婚式 133
・嫁盗みと夜ばい 135
・輿入 137
・結婚におけるハマグリの意義 139
・しきいの意義 142
・排泄物によるまじない 143
・結婚式 145
・結婚式についての貞丈の報告 148
・ヒノエウマ 151
・吉日と凶日 154
・死者の結婚 156
・処女性の尊重 158
・期間婚と多妻 161
・近親結婚 163
・離婚と姦通 164
・貞操帯 167
第五章 妊娠と分娩 171
・妊娠 171
・お産の神 172
・分娩 174
・後産と臍帯 177
・まじないの信仰 180
・不妊 183
第六章 子供 185
・赤ん坊の性の決定 185
・人工流産 186
・子供の神さま 188
・幼児期 189
・命名と成人式 190
・養子縁組と相続権 196
第七章 美術工芸 198
・愛の教科書 198
・月の命名 204
・彫刻 205
・カリカチュアとしての春画 206
・巨大な男性性器 209
・科学と芸術 211
・日本美術の特徴 213
・日本の絵画の歴史 220
・男色の絵画 223
・芸術と頽廃 224
・民俗学的な対応物 227
・浮世絵師 232
・芸術専門家の見解 238
・女護の島 244
・医者の刀 247
・ヨーロッパの芸術との相違 248
第八章 結論 249
訳者のあとがき

図版目次
一 下田の公衆浴場風景 19
二 張形の飛出るびっくり箱 29
三 キクの葉に描かれた春画 37
四 金精峠の祭壇 71
五 山田の祭壇 73
六 ロビン・グッドフェロー 77
七 リンガとヨニ(1) 90
八 リンガとヨニ(2) 90
九 生命の門「アシェラ」 92
一〇 クルックス・アンサタ 95
一一 鎌倉の女石 97
一二 横須賀の男根の社 99
一三 奉納額 100
一四 陰陽神石図 101
一五 本宮の男石と女石 102
一六 尊崇の対象たる男根 103
一七 男性性器の象徴 103
一八 仏壇 105
一九 花瓶 105
二〇 男根の玩具 105
二一 石棒 107
二二 カファ王の王冠 109
二三 カラチオをつけた人 111
二四 江戸時代の初潮の習慣 119
二五 新婚旅行 147
二六 密通者に対する罰 165
二七 お産の女神 173
二八 お産に準備する品 178
二九 お産のさいの姿勢 179
三〇 お産のときに使う坐椅子 180
三一 胞衣桶 181
三二 『オージー』 202
三三 屏風 203
三四 てんぐ 206
三五「ことばなき絵」 233
三六 愛する二人 233
三七 無粋な訪問客 234
三八 おいらん道中 235
三九 吉原の女 236
四〇 夜ばい 236
四一 鳥 237
四二~四六 女護の島1~5 238~242
四七 妖怪物語 243
四八 スピントリア 245
四九 医者の刀 247
五〇 ウィーンのカール教会 250

■一言:
『豚と精霊』や『逝きし世の面影』と合わせて読めば、性に対する羞恥 心よりも、生殖に参加できる喜びのほうが本来的であり、西洋的な極度 に人工化した価値観にこそ問題があるのだということが見えてきそう。
日本の習俗をスラブの農民などと比較している点も本書の特徴。
ただし、著者と訳者の経歴を見る限り、単純に受け入れることは非常に危険。
『日本人の性生活』(2000年、青土社)あり。