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○■精霊たちのメッセージ―現代アボリジニの神話世界 (角川選書)■2017年01月05日 22:20

神話世界には祖先たちの生き方も示されており、この土地に住む意味を伝える。おそらく、それは日本神話も基本的に同じである。


松山 利夫 (著)
単行本: 251ページ
出版社: 角川書店 (1996/11)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
オーストラリアの先住民であるアボリジニの人びとは、白人の入植前から大陸全域に暮らし、数多くの神話を語りついできた。その神話には容易に理解しがたい部分もあるが、彼らはうたい、おどり、儀礼をおこないながら、現代も精霊とともに生きている。本書では、これまでも人類学者たちがさまざまに解釈してきた神話を、日常の世界からはじめて人の誕生、火の獲得、大地と天空の構造におよび、ふたたび日常にもどるように構成。さらに、できるだけ語られるままに紹介し、神話の宇宙と、神話を語りつぐ現代的意義を考察する。

内容(「MARC」データベースより)
オーストラリアの先住民族であるアボリジニたちの間では、今も精霊信仰が生き続けている。文明社会が失ってしまった哲学を彼らの神話、伝説から導き出す。神話の宇宙と神話を語りつぐ現代的意義を考察。

著者について
松山利夫(まつやま としお)
一九四四年、福井県に生まれる。立命館大学文学部地理学科卒業。一九七六年、同大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。現在、国立民族学博物館第三研究部教授。専攻は文化人類学。著書は『山村の文化地理学的研究』(古今書院)、『木の実の文化誌』(共編、朝日新聞社)、『ユーカリの森に生きる―アボリジニの生活と神話から』(日本放送出版協会)ほか。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
はじめに 8
第一章 不思議なできごと――神話世界への入り口―― 13
一、ガマディむらの体験 14
(一)ガマディむら 14
(二)星と雨、風の話 15
(三)ヤシの木と大穴 18
(四)精霊にまつわる話 19
二、神話世界への入り口 22
(一)わたりのドリーミング 24
(二)「棒の手紙」に刻まれた物語 26

第二章 暮らしの中の精霊 31
一、死霊のモコイ 32
二、狩りと精霊 35
(一)精霊との会話 35
(二)精霊ミミ 41
(三)豊穣の願いと精霊たち 53
(四)雨の精霊 62

第三章 虹ヘビ物語 71
一、虹ヘビの神話 72
(一)旅する大ヘビ 72
(二)姉妹を飲みこんだニシキヘビ 76
(三)泣く子と虹ヘビ 83
二、偉大な虹ヘビたち 88
(一)虹ヘビと成人儀礼 88
(二)創造主、虹ヘビ 93

第四章 人の誕生と火の獲得 99
一、人の誕生 100
(一)最初の人 104
(二)女性の誕生 108
(三)精霊から生まれた人 116
(四)土や炎から生まれた人 143
(五)ヘビやトカゲから生まれた人 150
二、火の獲得 153
(一)火をもつクジラとネコ男 154
(二)火おこし棒の火 156

第五章 大地の創造と天空の構造 163
一、大地の創造 164
(一)創世の神話 164
(二)魂のたどる道 167
二、天空の構造 171
(一)月の神話 171
(二)太陽と天の川 176
(三)昴と明けの明星 181

第六章 神話を語ることの現代的意義 195
一、神話がもつメッセージ 196
(一)人びとの歴史 196
(二)故地と人の魂のむすびつき 198
二、アボリジニの土地権と神話 201
(一)アボリジニ土地権法 202
(二)タナミ砂漠の神話と歴史 206

附編 さまざまな起源神話 212
あとがき 243
参考文献 251

■カバーそでより
オーストラリアの先住民であるアボリジニの人びとは、白人の入植前から大陸全域に暮らし、数多くの神話を語りついできた。その神話には容易に理解しがたい部分もあるが、彼らはうたい、おどり、儀礼をおこないながら、現代も精霊とともに生きている。本書では、これまでも人類学者たちがさまざまに解釈してきた神話を、日常の世界からはじめて人の誕生、火の獲得、大地と天空の構造におよび、ふたたび日常にもどるように構成。さらに、できるだけ語られるままに紹介し、神話の宇宙と、神話を語りつぐ現代的意義を考察する。

■書評
神話世界には祖先たちの生き方も示されており、この土地に住む意味を伝える。おそらく、それは日本神話も基本的に同じである。

○■サンカと説教強盗〔増補版〕■2017年01月15日 14:18

大正15年から昭和4年にかけて60件を超える窃盗・強盗事件を起こして帝都を騒がせた、サンカ出身とも言われる説教強盗。その逮捕までの経緯を推理する前半部分は面白い。


礫川 全次 (著)
単行本: 255ページ
出版社: 批評社; 増補版 (1994/12)

■商品の説明
内容紹介
昭和初期、帝都西北部の新興住宅地をねらう強盗が跋扈した。説教強盗妻木松吉。その兇悪な手口から捜査当局は説教サンカ説を流す。後のサンカ小説家三角寛らも関わった事件の真相を追う。
内容(「BOOK」データベースより)
昭和初期、東京に「説教強盗」が現れた。その名は妻木松吉。その兇悪な手口から、警察は犯人サンカ説を流した。捜査当局に対抗し犯人を追う、後のサンカ小説家、新聞記者三角寛。大戦を前にして物情騒然たる帝都の、富裕な新興住宅地西北地区にねらいを定めた一世説教強盗の、謎に包まれた出自と捕まるまでの犯行経路を追う。

内容(「MARC」データベースより)
大正末期から昭和初期に「帝都」を震憾させた説教強盗。事件の背後に見え隠れするサンカ。事件の全貌を克明に調べ上げ、実像と虚像が同居し、現像までが交錯するサンカと説教強盗の真相に肉迫する。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
礫川/全次
1949年生まれ、在野史家。フィールドは、近現代史、犯罪・特殊民俗学。歴史民俗学研究会代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
はじめに 3
第一章 説教強盗とは 13
泣く子も黙る説教強盗 14
前代未聞六五件の強盗 17
用意周到な犯行計画 24
強要・暴行・説教 25
どんな犬でもひとにらみ 30
意表をついた逃走経路 31

第二章 説教強盗事件の地理 35
事件の地理的背景 36
旧東京から大東京へ 37
関東大震災の影響 40
城西・城北への人口移動 42
説教強盗の出没範囲 44
西巣鴨町字向原 47
説教強盗の地理感覚 52

第三章 翻弄された捜査陣 53
小沼米店における失態 54
高田署前における失態 56
旧態依然の捜査体制 58
魔の時代、昭和初年 60
捜査体制の一新 62
小沼米店の指紋をめぐって 63
鮮明な四指の指紋 65

第四章 説教強盗捕縛さる 67
前科一犯妻木松吉 68
不自然な経緯 71
捜査当局の秘密 73
左官「屋久米吉」 75
空前の大ニュース 76

第五章 新聞記者三角寛の挑戦 83
超人的な取材活動 84
新聞と警察 86
十二月三〇日記事 88
三角寛、犯人をキャッチ 91
追いつめられた捜査当局 93

第六章 説教強盗「山窩」説 99
俗説の発生源 100
黒装束五人組 103
特殊な侵入盗 105
薄弱な根拠 107
不幸な生い立ち 108
義父と松吉 111

第七章 「山窩」の虚像と実像 113
近代「山窩」像について 114
警察用語としての「山窩」 116
特殊な侵入盗と忍者 117
凶悪犯グループと忍者 119
サンカ集団と忍者 122
忍者・山窩・警察 123
虚像としての「山窩」 125

第八章 「サンカ」とは何か 127
サンカの定義 128
サンカをめぐる難問 130
サンカの語源 131
サンカの源流 134
サンカと下層生活者 136
組織性と犯罪性 140

第九章 サンカの漂泊性と被差別性 145
宮本常一のサンカ観 146
サンカと山中の住民 148
サンカの被差別性 150
番非人とサンカ 152
番非人とサンカの共通性 156

第十章 三角サンカ学の意味 159
新聞記者から小説家へ 160
山窩小説の意味 162
サンカ学研究の動機 164
三角サンカ学の特徴 165
最後のサンカ集団 167
説教・口説き・物乞い 169

補章 サンカ再論 173
資料編①~⑧ 189
あとがき 254

■「はじめに」
  サンカとは何か。
  ある時は古代からの伝承を伝える一群の人々であり、ある時は山野を疾駆する超人的パワーの持ち主である。またある時は警察を出し抜く特殊な犯罪集団である。
  しかし、結局の所、これらサンカ像は、現実に押しつぶされた現代人がサンカに仮託した「虚像」に過ぎないのではないか。
  人々は自らの渇望に基づいて、勝手なサンカ像を創り出しているに過ぎないのではないか。サンカが既に過去の存在であることを十分知りながら。
  従来のサンカ論にあきたらなかった私は、三角寛がサンカと関わることになった説教強盗事件について詳しく調べなおしてみようと思いたった。この事件がなければ、三角のサンカ小説もなかっただろうし、サンカの存在が広く知られることもなかっただろうからである。
  ところが、この説教強盗事件というのは実に妙な事件であり、調べれば調べるほど不可解な点が出てきた(謀略事件としか思えない一面がある)。しかも、犯人がサンカ出身というのも単なる「ウワサ」に過ぎず、確たる証拠は何もなかったのである。
  本書は、サンカ論を目指したものではあったが、この不可解な事件にややページを割きすぎたかもしれない。しかし、この事件を詳しく追ってみたことによって、従来のサンカ像とは違う「現実的」なサンカ像が見えてきた気がする。もっとも本書で示し得たサンカ像はまだ極めて未成熟なものであり、今後さらに「現実」に追っていかなくてはならないと感じている者である。
  読賢の御批判を期待したい。
〔付記〕本増補版は、初版に補章及び資料編を加えたものである。初版にあった誤字等は訂正し、数か所で表現を改めたが、内容の改訂はおこなわなかった。「まえがき」、「あとがき」も元のままである。右付記する(一九九四・八・二七)。

■Amazonの商品ページ
サンカと説教強盗―闇と漂泊の民俗史

■書評
大正15年から昭和4年にかけて60件を超える窃盗・強盗事件を起こして帝都を騒がせた、サンカ出身とも言われる説教強盗。その逮捕までの経緯を推理する前半部分は面白い。

○■脳ってすごい!――絵で見る脳の科学■2017年01月16日 15:49

増築を重ねてでき上がった脳はそもそも思考のためではなく制御のための機関。顔や体と同様に差異を持ち、ときに不都合な癖や要件を持つ存在でもあるのだ。


ロバート・オーンスタイン (著), リチャード・F・トムソン (著), デイヴィッド・マコーレイ (イラスト), 水谷 弘 (訳)
単行本: 215ページ
出版社: 草思社 (1993/06)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
基礎知識から新しい研究の成果まで、マコーレイの絵とともに脳の宇宙を道案内する。

著者について
ロバート・オーンスタイン
スタンフォード大学の人間学研究所長で生理学の教授。カリフォルニア大学の医学センターの教授も兼ねる。これまで、大脳半球の機能、バイオフィードバック、瞑想などの研究にたずさわってきた。アメリカにおける脳研究の指導的人物の一人。著書は多いが、本書以外の邦訳には次のものがある。
『時間体験の心理』(岩崎学術出版社、1975)
『意識の心理―知性と直観の統合』(産業能率大学出版部、1976)
『脳と健康―心とからだを守る脳』(D・ソーブルとの共著、東京図書、1990)

リチャード・F・トムソン
ハーヴァード大学の心理学教授を経て、現在スタンフォード大学の心理学・生理学教授。米国科学アカデミー会員。小脳にも記憶を蓄える場所があることをほぼつきとめた。

デイヴィッド・マコーレイ
イラストレーター、著作家。『ピラミッド』『カテドラル』『キャッスル』『アンダーグラウンド』(邦訳、岩波書店)のシリーズは高い評価を受けた。このほか、邦訳には『道具と機械の本』(岩波書店)、『エンパイア・ステートビル解体』(河出書房新社)がある。

水谷 弘(みずたに・ひろし)
東京大学教養学部理科2類および同大学医学部を卒業。虎の門病院専攻医、東大医学部脳神経外科医局長、都立墨東病院脳外科医長、都立府中病院脳外科部長を経て、現在、昭島市にある野村病院の副院長。著書に『脳死論』『脳死と生命』『人間のからだと病気』(前3冊、以上すべて草思社)がある。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
まえがき 3
●不思議な風景――脳の進化を解剖図とともにたどる 7

PART I 大増築建造物としての脳―部屋、柱、煉瓦、そして化学物質 23
1 脳はどんなつくりになっているか 24
2 知覚する脳――経験をつくりだす柱 45
3 神経細胞――脳の建築材料 65
4 脳の化学――分子がメッセンジャーとなる 86

●ダヴィデが母親を認める――視覚系早わかり 105

PART II 脳、心、そしてそれが創造し、記憶する世界 133
5 記憶する脳 134
6 右の脳と左の脳 151
7 個性をつくる脳 164
8 健康を保つ脳 171

●つつましい提案――われわれすべての啓発と楽しみのために巨大な脳を設計し、建築し、利用しよう 181

訳者あとがき 212

■カバーそでより
「すばらしい道案内の本である。
ありきたりの書き方ではなく、新しい研究成果を、慎重に、だがときに大胆に提示している。」―ニューヨーク・レヴュー・オブ・ブックス

「読者を脳の内部の不思議な風景へと導いていくマコーレイの絵は、著者たちの明快な記述をいっそうわかりやすいものにしている。」―サンフランシスコ・クロニクル

■書評
増築を重ねてでき上がった脳はそもそも思考のためではなく制御のための機関。顔や体と同様に差異を持ち、ときに不都合な癖や要件を持つ存在でもあるのだ。


○■平等と不平等をめぐる人類学的研究■2017年01月27日 10:53

人類学者が平等性を考えるとき、金持ちに対する陰口や噂は、金持ちの身勝手な行動を抑制するための重要な要素となるのだ。


寺嶋 秀明 (編集)
単行本: 298ページ
出版社: ナカニシヤ出版 (2004/04)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
人々の生が躍動する世界のさまざまな民族誌から、平等・不平等の根源を問い人間性の深淵を照射する。

内容(「MARC」データベースより)
人間はなぜ平等にこだわるのか。人々の生が躍動する世界の様々な民族誌から平等・不平等の根源を問い、人間性の深淵を照射する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
寺嶋/秀明
1951年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。文化人類学、生態人類学専攻。神戸学院大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
第1章 人はなぜ、平等にこだわるのか 寺嶋秀明 3
―平等・不平等の人類学的研究―
1 「壺から出てきた魔人」 3
―平等、このやっかいなもの―
2 「はじめに平等ありき」 13
―始原的平等主義の系譜―
3 不平等の起源から平等の考察へ 22
―現代の人類学の課題―
4 平等をめぐる霊長類学と人類学 40

第2章 狩猟採集社会における食物分配と平等 北西巧一 53
―コンゴ北東部アカ・ピグミーの事例―
1 はじめに 53
2 調査地とそこに住む人々 55
3 政治的、社会的な面での平等 58
4 経済的な平等 60
5 食物分配の社会的側面 79
6 おわりに 86

第3章 不平等社会に見る平等への契機 関本照夫 92
―ジャワ農村の事例―
1 はじめに 92
2 ジャワにおける不平等 93
3 D村の土地所有・経営状況 94
4 村の中で平等なもの 98
5 ヒエラルキーと言葉遊び 108
6 おわりに 128

第4章 消えた村・再生する村 杉山祐子 134
―ベンバの一農村における呪い事件の解釈と権威の正当性―
1 はじめに 134
2 消えた村 136
3 男たちの対立・女たちの選択 157
4 消えた村が再生する 163
5 おわりに 167
―揺らぎを組み込んだ社会―

第5章 キリバス南部環礁における物資欠乏下の「平等」 風間計博 172
―窮乏の回避を軸にして―
1 はじめに 172
2 タビテウエア・サウスの概略 175
―物資欠乏下の生活―
3 平等性と集団性 179
―長老と集会所―
4 財・物資蓄積の否定 182
―社会集団による個人的受益の分散化―
5 懇請による財の分配 190
6 個人所有の強化 199
―物資の秘匿―
7 窮乏を回避するために 206

第6章 ねたむ死者の力たち 池上良正 214
―日本の民衆宗教史に見る平準化の規範―
1 死者の祟りと平準化の規範 214
2 <祟り―祀り>システムの痕跡 217
3 初期仏教の民衆布教 220
4 仏教的論理による普遍主義化 224
5 <供養>システムによる生者の主体性の強化 229
6 祟りにおびえない人々 232
7 死者の祟りの根深さ 235

第7章 平準化システムとしての新しい総有論の試み 菅 豊 240
1 はじめに 240
2 法学における総有論 243
3 非・法学系の社会科学における総有論 251
4 新しい総有論 255
5 おわりに 263

第8章 家族社会の進化と平和力 西田正規 274
―家族・分配・平等性―
1 はじめに 274
2 二足歩行の意味 276
3 類人猿の武力 279
4 武力と平和力 282
5 おわりに 289

あとがき 291
事項索引 297
人名索引 298

■「あとがき」の第一段落
本書のなかで具体的に明らかにされたように、平等と不平等は、あらゆる意味において人間の生き方そのものにかかわる問題である。それは一見平易なことがらのように思われるが、その奥行きはことのほか深く、人間存在の根源に絡みついているのである。私たち人類学をなりわいとする者は、フィールドワークのために地球のあちこちに行くのだが、どこに赴こうとも、かならずはそのフィールドにおいて、自らの感性に強く訴えかける平等と不平等の姿に出会い、心に焼き付けて帰国する。ただしその後、それらについてはあまり声高に語られる機会もなく、せいぜい民族誌の片隅に取り上げられるか、フィールドワーカー個々人の胸の中にもやもやとした澱として残されるばかりであった。そういった平等あるいは不平等の本当の価値について自覚的に認識され、語られ始めたのはつい最近のことである。

■書評
人類学者が平等性を考えるとき、金持ちに対する陰口や噂は、金持ちの身勝手な行動を抑制するための重要な要素となるのだ。

○■内観法■2017年01月31日 19:20

内観法は洗脳なのかそれとも自己暗示や伝統的な成人儀礼にも通じる手法なのか


吉本 伊信 (著)
単行本: 285ページ
出版社: 春秋社; 新版 (2007/11)

■内容紹介
わずか一週間で人間は劇的に変わる----。不安、嫌悪、恨み、暴力、破壊......。解決の糸口は内観にあった!
古くから日本に伝わる宗教的修行法に改良を加え、宗教色を払拭した、独自の心理療法・自己変革法を確立した著者の「自伝的」内観入門書。

内容(「BOOK」データベースより)
古くから日本に伝わる宗教的修行法に改良を加え、宗教色を払拭した、独自の心理療法・自己変革法を確立した著者の「自伝的」内観入門書。

内容(「MARC」データベースより)
一週間の集中的反省が、人間を奇跡的に変える。今、日本のオリジナルな心理療法として世界から注目。浄土真宗から出発し、特定な宗教にこだわらない自己洞察の方法、内観法を紹介する。65年刊「内観四十年」の改題。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
吉本/伊信
大正5年奈良県大和郡山市、浄土真宗の信仰の篤い家庭に生まれる。昭和7年奈良県立郡山園芸学校卒業。昭和11年浄土真宗の修行法「身調べ」を実修。昭和12年非常な辛苦ののち、宿善開発を体験。内観法の普及を開始。昭和13年会社を経営しながら、内観法普及に励む。昭和16年「内観法」の名称と形式をほぼ確定。昭和29年内観法を奈良少年刑務所で実施。京都・大阪・和歌山各刑務所の篤志面接委員を拝命のほか、全国各地の矯正施設や学校に内観法普及。昭和63年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
新装版について 日本内観学会会長・東京大学教授 村瀬孝雄 1
内観とは何か 信州大学教授 竹内 硬 7

一 私の求めた道 31
1 妹の死 32
2 故郷の人々 38
3 真実を求めて 45
4 西本諦観師 57
5 初めての実習 59
6 寺本師のお育て 64
7 家出 69
8 洞穴の独り開悟 78
9 嘘の講習会 88
10 方針決定 91
11 ついに宿善開発 95

二 道に励みつつ 103
1 岳父の入信 104
2 商業への精進 106
3 大改革 108
4 高田の母 114
5 サキヱ姉の求道 117
6 教えの方針 119
7 上野貞造さんと寺本清祐師 121
8 教えのモットー 124

三 内観の大衆化 130
1 女子工員に試行 130
2 戦争の終結 132
3 商道と内観 134
+商道と内観 池田助二
4 さまざまな試み 162
5 求道者は金の延べ棒 163
+業報に泣く 米沢諦順
6 病と闘いつつ 169

四 矯正教育界へ―八年の歩み(昭和二十九年~三十七年) 176

五 内観を行った強迫神経症の一例
●岡山大学医学部 横山茂生・洲脇 寛 201

六 内観の実例 213
1 面接記録 213
2 内観のあと 219

付 精神医との質疑応答
●東京慈恵会医科大学精神神経科心理療法研究会にて 225

あとがき 261
著者記 264
吉本伊信略年譜 267
『内観四十年』を読んで 佐藤幸治 272

■「新装版について」の冒頭部分
  本書は『内観四十年』の新装版で、著者のご遺族はじめ筆者も原題のままを強く希望しましたが、諸般の事情で改題して再刊されることになりました。まず、読者のご了承をお願いする次第です。
  吉本先生は、数えの九歳で妹様を亡くされたのが契機でご母堂の真剣な信心に付き合って仏道への強い結び付きをもつこととなり、この時に内観への道の第一歩が始まったと考えておられ、以降四十年の歩みを四十九歳の時に記されたのが本書に他なりません。内観を学問的に理解する上でもかけがえのない資料ですが、同時に内観への入門書等多くの価値が秘められていると考えられます。

■「内観とは何か」の冒頭部分
  五十三回も万引した中学生、小学校を次々に焼きはらった放火青年、十六歳からヤクザの世界に入り、あらゆる犯罪に手をそめ、十三年も刑務所で過ごしてきた親分、これらの人々がわずか一週間の"内観"によって、忽然として、別人のごとく人が変わり、その後、世の過ちを犯しつつある不幸な人々の救済に奮闘している。それはまことに現代の奇跡である。この内観法なるものは、奈良県大和郡山市、吉本伊信氏が、古来、日本に伝わったさまざまな宗教的修行法をもとにして、現代的にこれを改造し、簡易化し、独自な様式を創案したものである。そしてこれは、今や宗教性を全く除去し、一個の科学的な精神治療法となっているものである。

■「著者記」の冒頭部分
  以上かんたんですが、内観法のあらましをご紹介しました。本文でも申しましたように、内観は理屈ではなく、なによりも実際に体験していただくところに価値があります。教養を深めたり、理論をたくわえていくには、書物その他に頼ればよいのですが、自分をよくみつめ、自分の姿を正確につかむためには、外界から遮断された場で、徹底的に自分一人で、生身の自分と向き合う以外に方法はありません。

■書評
内観法は洗脳なのかそれとも自己暗示や伝統的な成人儀礼にも通じる手法なのか