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△●火の神の懐にて ― ある古老が語ったアイヌのコスモロジー●2015年08月03日 11:28

知恵と宿命を調和させる先人たちの知恵の一例


松居 友 (著), 小田 イト
単行本: 284ページ
出版社: 洋泉社 (1999/09)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより) 北海道を終いの住処ときめた著者が、ひとりのアイヌの古老とじっくり膝をまじえ、話を聞いた。その古老の語ることばや生き方のなんと黄金のようにきらめいていることか。―死と葬儀と引導渡し、臨死体験と死後霊、鮭の霊送り、熊送り、一匹の蠅も神になるなど、神々と人間の交歓を描いて、アイヌの精神文化と豊かな世界に私どもを誘ってくれる。
内容(「MARC」データベースより) 死と葬儀と引導渡し、臨死体験と死後霊、鮭の霊送り、熊送り、一匹の蝿も神になるなど、ひとりのアイヌの古老の言葉が神々と人間の交歓を描いて、アイヌの精神文化と豊かな世界に誘う。JICC出版局93年刊の再刊。

■目次
まえがき 1
誕生の丘、神々に囲まれて 13
移住、大地は個人の所有物ではない 19
家は聖堂であり主人は祭司 23
最初の記憶、父さんの死 33
彼岸への思い、墓標は死者を送る杖 39
天界の方位と世界像 47
死者の国はどこにあるのか 56
死と葬儀と引導渡し 65
死後の霊の状態 76
先祖供養、死者の国における霊の成熟 85
[付記]ジョン・バチュラーの著作との符合と若干の考察 96
地獄とは霊の腐りゆく場所である 102
カムイの本質は霊であり、善い霊と悪い霊がいる 111
カバリ幻想 122
母さんの思い出、コタンの秋 132
春、カムイとともに生きる喜び 146
千船のばあちゃんは吟遊詩人 159
愛馬が死後、夢で自らの気持ちを訴える 164
娘時代、親友トヨちゃんとの思い出の日々 169
アイヌと和人、すぐれた精神文化は滅びない 173
妹、障害をもった和人のもらい子 181
子どもは神の国からくる 188
雀になった子ども 197
死者の語る夢の教え 205
丸木舟と千歳川、鮭の霊送り 215
喜代作さんが熊を獲った話 224
霊を迎えてもてなして霊を送る 229
イヨマンテ、熊送りの思い出 237
霊送りに秘められたもの 245
一匹の蠅も尊い神になること 253
アイヌ文化の復活 270
あとがき 277

■「まえがき」の一部抜粋
  少なくとも長い間私は、ゲーテの自然科学にはじまって自然界や人間社会、文化や宗教のなかに、 またユングやゼーデルマイヤーの著作などのなかに一貫してコスモロジーの問題を追求しつづけてきました。 そして今も探求しつづけていうのでありますが、まだまだアイヌ語ができないものの、長年に積み重ねてきた探求が役に立つにちがいない。
  アイヌ文化のもつすぐれたコスモロジー(世界像)は言語のみではなく、イトばあちゃんのあらゆる生き方や考え方のなかににじみ出ているにちがいない。 それなら、イトさんの語るあらゆることに関心を持ち聞いていこう、そうすれば何かがわかるにちがいない。 ――そんなわけで私は、アイヌ文化云々の前に、イトばあちゃんその人の生き方そのものをうかがうようにつとめたのです。
  ですから、この本には単にアイヌ文化のことのみではなく、たとえば田植えや盆踊りおn思い出などもでてきます。 しかし、それらのなかにも重要な要素がにじみ出ていることを慧眼な読書は見抜いてくださることと思います。
  さらにそれが幸いしたのでありましょう。 おばあちゃんに出会い、徒然なるままにお話をうかがっておりますとその生き方や語る内容のなかに予想もしなかった驚くべき精神文化とコスモロジーが潜んでいるのをしだいに発見しはじめました。 それは、イトばあちゃんが語る細部、その人生のさまざまな模様にいたるまで見事に浸透しているのです。

■一言:
無味乾燥な客観性を超えて文化の伝承を目指した作品ではあるが、「アイヌ―歴史と民族」のような作品とは異なり、たぶんに理想化が含まれていると感じる。

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