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○■カンジ―言葉を持った天才ザル■2015年08月10日 11:37

発話能力と言語を理解する能力の違い、人間と他の動物に共通する認知システム


スー サベージ・ランボー (著), 加地 永都子 (翻訳)
単行本: 239ページ
出版社: 日本放送出版協会 (1993/03)

■内容(「BOOK」データベースより)
彼はボノボ(ピグミーチンパンジー)のカンジ。覚えた英単語は約1000語。日常生活にはほとんど不自由しません。本書は気鋭の女性科学者であるランボー博士が、カンジとの出会いから現在までの4500日を綴った驚異と感動の手記です。

スー・サベージ・ランボー
一九四六年、アメリカ、ミズーリ州生まれ。 オクラホマ大学で心理学を専攻し、博士号を取得。
現在、ジョージア州立大学言語研究センターにおいて、霊長類の言語能力と知覚についての研究を進めています。
夫君のデュエイン・ランボー博士は同言語研究センター所長でもあります。
この本は日本の読者のために、初めて書き下ろされました。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
序にかえて ― 河合雅雄
日本の読者へ ― スー・サベージ・ランボー
第一章 ボノボは愛することが好きなサル 10
・私が言語研究センターでカンジと初めて出会ったとき、彼はまだ生後六カ月。 両親はザイールから連れてこられたが、彼はアメリカ生まれのアメリカ育ちだ。
第二章 境界を越えたサル、カンジ 20
・カンジは新たに二人の母親を得た。それは養母のマタタと、彼にすっかり()きつけられた私だった。 こうして三者の奇妙な生活が始まった。
第三章 ボノボは言葉を学べるか 29
・サルは言葉を学べるのか、サルとヒトはコミュニケーションできるのか。 私たちは、この困難な実験に「レキシグラム」という装置を使って挑戦することになった。
第四章 母と子の絆 47
・マタタの教育方針は自由放任主義。そんなマタタのもとでカンジは元気に育っていく。 しかし、ある日マタタが他の研究所へ送られることになる。
第五章 カンジは秘密をもっていた 59
・マタタの姿が消えた日、私たちの心配をよそに、カンジは驚くべき能力を示しはじめた。 そこには、私に向かって「話しかける」類人猿がいた。
第六章 森へ行く 70
・研究センターの隣の二〇ヘクタールに及ぶ原生林には、カンジのために小道が敷かれ簡単な小屋がいくつもつくられた。 そして、ここを散歩することが、私たちの最高のお楽しみとなった。
第七章 カンジの朝 81
・カンジの好奇心は、朝目覚めると同時にフル回転で発揮される。 ゲームに熱中し、外部からの来訪者を観察し、鏡に向かって百面相をして見せる。そんなカンジの一日。
第八章 チェイス 100
・カンジのもっともお気に入りのゲームの一つが「チェイス」(追いかけっこ)。 スローモーションにしてみたり、かくれんぼと組み合わせてみたり、楽しみ方はいろいろだ。
第九章 カンジが泣いた 124
・マタタがもどってきた!睡眠薬で眠らされ、小さな檻に押し込められて。 そのことを伝えられたカンジは、電気に触れたかのように私をみつめた。
第十章 カンジの夜 133
・ベッドルームに入ったカンジは、何枚もの毛布を使って寝床をこしらえる。 寝つくまでのひとときを、この中で大好きなビデオ鑑賞にあてるのが彼の夜の日課だ。
第十一章 カンジのひとり言 143
・昼寝の時間や一日の静かなとき、カンジは私たちから距離をおき、キーボードを使ってよく一人で話をしている。 ちらっとかいま見た、その内容は。
第十二章 セオリー・オブ・マインド 158
・成長するにつれて、カンジのコミュニケーションの内容はますます豊かで複雑なものになっていった。 そして、いつしか簡単な文法の能力も身につけていた。
第十三章 「ジャガイモを亀に投げられる?」 185
・言語学者は複雑な相互関係によって組み立てられる象徴的情報を処理できるのは人間だけだという。 だが、カンジはこうした分にもすばらしい反応を示した。
第十四章 サルはどこまでヒトになれるか 211
・カンジは、私たちと共通の祖先が共有していたにちがいない能力について、多くのことを教えてくれる、 ヒトとサルとのミッシングリンクなのだ。

「カンジ」の理解を深めるためのノート 229
ランボー博士と言語研究センター ― 新生玄哉 230
監修を終えて カンジに出会ってしまったヒト ― 古市剛史 233

■見返しの言葉
「サルはヒトの言葉を理解できない」
これが世界の科学者たちの見解でした。
ところが、英文法を理解し、
ヒトと対話するサルが出現したのです。

彼はボノボ(ピグミーチンパンジー)のカンジ。
覚えた英単語は約一000語。
日常生活にはほとんど不自由しません。
本書は気鋭の女性科学者であるランボー博士が、
カンジとの出会いから現在までの
四五〇〇日を綴った驚異と感動の手記です。

■扉の言葉
主人公のカンジはオスのピグミーチンパンジー。
ピグミーチンパンジーは私たちが動物園で見かけるふつうのチンパンジーとは違い、
アフリカのごくかぎられた密林で生きつづけ、
数十年前に発見されて「最後の類人猿」と称されました。
現在ではボノボと呼ばれることが多くなってきています。
両親はザイールから連れてこられましたが、カンジはアメリカのアトランタ生まれ。
生後6カ月の彼が女性研究者の
サベージ-ランボー博士と出会うところから、この手記は始まります。

■一言
外界を同じように知覚し、同じように処理する人と動物

■書評:
るびりん書林 別館

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