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○●クジラは昔 陸を歩いていた―史上最大の動物の神秘●2016年05月25日 20:37

哺乳類界にそびえる二つの大きな山「ヒト山」と「クジラ山」


大隅清治 (著)
単行本: 252ページ
出版社: PHP研究所 (1988/05)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
狩りの対象として、人間の友達として、またあるときは海に棲む神の使いとして、人間と太古の昔から深い関わりをもってきた動物、クジラ。ときには漁師に魚の居場所を教えてくれたり、遭難しかかった人間の命を救うこともあるという。本書は「クジラの歌の秘密」や「気泡を使った驚くべき餌集め」「水中出産と母乳の与え方」など、かわいくて不思議なクジラの生態を美しいイラストとともに紹介。

著者について
大隅清治(おおすみせいじ)
1930年(昭和5年)群馬県伊勢崎市に生まれる。東京大学農学部水産学科卒業。東京大学大学院博士課程修了。農学博士。(財)鯨類研究所、水産庁・東海区水産研究所を経て、現在水産庁・遠洋水産研究所企画連絡室長。国際捕鯨委員会科学小委員会委員。
著書に「くじら―海の哺乳類」(らくだ出版)等、訳書に「鯨とイルカの生態」(東京大学出版会)等がある。また、「動物大百科2―海洋哺乳類」(平凡社)の監修を行っている。

■目次
はじめに
第一章 七つの海を支配する王・クジラ
クジラの潮ふきは何本に分かれるか? 13
クジラとイルカはどう違う? 18
史上最大の動物・シロナガスクジラ 21
顔中がいぼだらけのセミクジラ 26
白鯨は実在するか? 30
槍をもつクジラと川にすむクジラ 36
鯨ひげはひげではない 40
クジラは奥歯で食物をかめるか? 46
クジラのあしはどこにある? 51
クジラは昔、陸を歩いていたか? 55

第二章 クジラの巨体の秘密を探る
クジラはほんとうにヨナをのみ込めたか? 63
好き嫌いの激しいクジラは体格が良い? 67
一日に八億匹のオキアミを食べる大食漢 72
気泡の網でオキアミを集めるザトウクジラ 76
海底を掘りかえして食物を食べるコククジラ 80
クジラには四つの胃があるというのはほんとうか 86
クジラは海水を飲むことができるか? 91
クジラは海水が眼にしみないのか? 95
クジラの耳はどこにある? 101
クジラの体には毛があるか? 105
潜水艦と間違えられたクジラの声 108
ザトウクジラの声は合衆国を覆い尽くす 113
クジラは音で水中を見る 116
クジラの集団自殺の謎 120
クジラの脳のしわは人間より多い 124
クジラは愛情から傷ついた仲間を助けるのか? 129
人間はクジラと会話することができるか? 132

第三章 知るほどに不思議なクジラの私生活
ハクジラは亭主関白、ヒゲクジラはかかあ天下? 139
数万キロメートルの旅をするクジラ 144
マッコウクジラはハーレムをつくる 149
体の中にしまわれるペニス 152
逆子で生まれるクジラの赤ちゃん 156
クジラの赤ちゃんは海水まじりの乳を飲む? 161
保母になるおばさんクジラ 165
母親の血でつながったシャチの家族 168
少なく産んでじょうぶに育てる 172
クジラの長寿記録は何と一一四歳 176
クジラの年齢はどうやって数えるのか? 181
クジラは極海の冷たい水が身にしみないのか? 186
皮膚を波打たせて高速で泳ぐクジラ 191
クジラの息はいつもあらい? 194
マッコウクジラは三〇〇〇メートルも潜る 199
クジラは水の中で眠ることができるのか? 204
四五〇キログラムのフジツボを背負うクジラ 207

第四章 人間とクジラの新しい関係
人間がクジラを初めて見たのはいつか? 215
魚の居場所を教えるクジラ 219
最初にクジラに闘いを挑んだのは誰か? 224
南氷洋で行われた捕鯨オリンピック 229
ほんとうにクジラは捕るべきでないのか? 233
クジラの数はどうやって数えるのか? 237
クジラの人別帳を作る試み 241
クジラを家畜にすることができるか? 246
クジラと人間の新しい関係

■カバーそでにある著者の言葉
クジラは今、世界的に大きな関心をもたれている動物の一つである。その利用と保護をめぐる対立は、深刻な社会問題にさえなっている。このような状況において、クジラとの共存のきずなをきずなをいっそう固く結ぶことがますます大切になってくる。そのためには、私たちはまず、クジラについての正しい生物学的知識を深めなければならないだろう。広い海の中だけで暮らすクジラは、私たちにとって神秘に満ちた動物である。この本で私は、クジラについての様々な疑問に答え、その興味ある生活をいくつか紹介したい。それが読者の方々の、クジラについての御理解の一助となれば幸いである。

■「はじめに」の中間部分より
  日本の鯨学の近代化に大きく貢献された故小山鼎三先生は、医学部の教授なのになぜクジラを研究するかについて、「ヒト山」と「クジラ山」のたとえ話をしておられた。哺乳類の世界にきわだって高い二つの山がお互いに遠く離れたところにそびえている。それがヒト山とクジラ山である。   人間をよく理解するには、ときどきクジラ山に登って、その(いただき)から遠くのヒト山を眺めるのがよい。それによって、ヒト山に登っているだけでは見られない別の側面から、人間を知ることができるのである。だから、クジラを理解することはひいては人間の理解に役立つのである、というお話であった。