独自の視点で本を選んで紹介しています。
「Amazon.co.jpアソシエイト」
aroha.asablo.jp/内をGoogle.comで検索します
「Amazon.co.jpアソシエイト」
○■オオカミはなぜ消えたか―日本人と獣の話■ ― 2016年09月16日 21:02
『間引きと水子』の著者である民俗学者が探る日本人と獣の関係
千葉 徳爾 (著)
単行本: 279ページ
出版社: 新人物往来社 (1995/04)
■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
人と獣たちは、狐のように信仰の対象となったり、熊や猪のように獲物とされながらも永く共存してきた。オオカミが日本から消えたことを通して、現代人の生活を考える。
著者について
千葉 徳爾(ちば とくじ)
千葉県生まれ、東京高等師範学校を卒業し、愛知大学、筑波大学、明治大学の教授や、日本民族学会代表理事を歴任。日本地理学会名誉会員であった。柳田國男門下生であった。
人と動物の交渉史、山村文化などを研究し、「狩猟伝承研究」五巻にまとめた。2001年11月に、冠不全のため85歳で死去した。
■目次
第一章 日本人と野獣たち 7
近代日本の絶滅哺乳類/白色鳥獣出現の意義/人獣交渉史としての肉食の問題/記述の方針
第二章 日本人の野獣観 20
「美女と野獣」譚の一例/人獣交渉の一こま/異類婚姻譚の恐怖/山中異界観の形成/近世本草書にみる羚羊/『和界三才図会』の典拠/倒叙法と生態理論/野獣とは何か/野獣の分類/猫の国に行った人の話/近世日本の人狼交渉/ニホンオオカミノ斜陽化と滅亡/狂犬病と山犬・里犬/鹿の捕獲法とその目的/猪鹿数の減少と理由/狐・狸と日本人の思考/狸の生態と新興との間/多面的な人獣交渉
第三章 東日本のけものたち―その生態的環境― 74
野獣の種類別か人間の時代別か/『原始謾筆風土年表』が語る近世の下北/野獣増減の自然条件/熊と人間の交渉形態/北海道開拓と羆/アザラシとトド/羚羊狩から月の輪熊へ/マタギの巻物は飾物なのか/熊胆ブームのあだ花
第四章 西日本のけものたち―歴史的視点から― 111
西日本の熊と人との交渉/恐れながらも熊を捕る理由/熊への畏敬/西日本の山地は猪熊の世界/和紙生産地の鹿の被害/東西にみる猿の禁忌/野獣を殺して浄土に送る者/生類を憐れむというのはどういうことか/西日本の諏訪の文の普及/千匹塚という鳥獣供養法/供養儀礼を弘めたのは者は誰だろう
第五章 日本人にとってキツネとは何か 146
蝦夷の狐と本土の狐/狡猾は美徳ではなかったか/稲荷社信仰の御利益/大狐侍と家の繁栄/憑物もちの迷信/飯綱狐というものの話
第六章 日本オオカミはどこへ 166
北海道の狼たち―群集生活の悲劇/狼群の捕獲から滅亡へ/近世の日記にみる狼の盛衰/狼の被害者数とその分布/金沢近郊の野獣害記録/狼はどうだったのか/狼狩猟隊の日仏比較/金沢近郊の狼捕獲状況/狼犬混血のもう一つの結果?
第七章 鹿・猪・豚 195
日本列島の猪・鹿分布/祖母・傾山系の起伏と動物環境/もしも日本列島に人が住まなかったら/野獣捕獲頭数からみた神宮宮城林/猪・鹿捕獲と棲息量/伊勢地方の野獣捕獲量の近況/近世日本列島の狩猟圧/近世の大名狩猟とその目的/狩場の設定と農民生活/大名狩の伝統と目的/富士の巻狩が意味したもの/富士の巻狩の成果とは何か/猪から豚へ―南西諸島の人獣交渉史/ぶたは日本語である/ぶたという言葉の語源/南西諸島の野猪と人/猟犬とそのありかた
第八章 人とけものとの交わり 256
人とけものの間柄/人獣交渉史から見えてくるもの/人間と野獣とはなぜ同じ生きものか/狩猟者の用いる内蔵呼称/野獣と人との生命の類似性/臓器に名前をつける理由/終わりにあたって
あとがき
■「あとがき」の終わりの部分
それにしても、ローマ人たちがコロセウムの中で人と野獣、人と人とが殺戮しあう場面を一つのエンターテインメントとして眺めていた心理は、われわれ園芸的農耕に早々と逃避(と彼等はいうにちがいない)して、死と対決闘争する人生を味わおうとしなかった社会に生きる者には、到底理解しがたいという気がする。これは野獣の上に奴隷を、奴隷の上に市民をという階級づけを久しく当然とみなして来た社会制度と不可分なものであろう。だが、それらを論証するには、やはりもう少し時間をかけて資料を集めなくてはなるまい。早まって誤解してはならないと思う。だからやはり、初めの計画のように、この書物に述べるのはこれだけにして、あとは別稿にまつことにしよう。それがなんとなく不満ではあるが結論となった次第である。
したがって、いつか欧亜各地の人獣交渉の姿が、より詳しく知られたならば、もう一冊東西両洋の人と野獣とのかかわりかたを、著者の視点から考察して、気づいたことを書いてみたいものだと念願している。ただし、それまでの余命があるならば、という条件づきの話だが。
最後に多大の配慮をいただいた新人物往来社編集部の酒井直行氏に厚く御礼申上げる。
一九九四年の大晦日を明日に控えて
■書評
『間引きと水子』の著者である民俗学者が探る日本人と獣の関係
千葉 徳爾 (著)
単行本: 279ページ
出版社: 新人物往来社 (1995/04)
■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
人と獣たちは、狐のように信仰の対象となったり、熊や猪のように獲物とされながらも永く共存してきた。オオカミが日本から消えたことを通して、現代人の生活を考える。
著者について
千葉 徳爾(ちば とくじ)
千葉県生まれ、東京高等師範学校を卒業し、愛知大学、筑波大学、明治大学の教授や、日本民族学会代表理事を歴任。日本地理学会名誉会員であった。柳田國男門下生であった。
人と動物の交渉史、山村文化などを研究し、「狩猟伝承研究」五巻にまとめた。2001年11月に、冠不全のため85歳で死去した。
■目次
第一章 日本人と野獣たち 7
近代日本の絶滅哺乳類/白色鳥獣出現の意義/人獣交渉史としての肉食の問題/記述の方針
第二章 日本人の野獣観 20
「美女と野獣」譚の一例/人獣交渉の一こま/異類婚姻譚の恐怖/山中異界観の形成/近世本草書にみる羚羊/『和界三才図会』の典拠/倒叙法と生態理論/野獣とは何か/野獣の分類/猫の国に行った人の話/近世日本の人狼交渉/ニホンオオカミノ斜陽化と滅亡/狂犬病と山犬・里犬/鹿の捕獲法とその目的/猪鹿数の減少と理由/狐・狸と日本人の思考/狸の生態と新興との間/多面的な人獣交渉
第三章 東日本のけものたち―その生態的環境― 74
野獣の種類別か人間の時代別か/『原始謾筆風土年表』が語る近世の下北/野獣増減の自然条件/熊と人間の交渉形態/北海道開拓と羆/アザラシとトド/羚羊狩から月の輪熊へ/マタギの巻物は飾物なのか/熊胆ブームのあだ花
第四章 西日本のけものたち―歴史的視点から― 111
西日本の熊と人との交渉/恐れながらも熊を捕る理由/熊への畏敬/西日本の山地は猪熊の世界/和紙生産地の鹿の被害/東西にみる猿の禁忌/野獣を殺して浄土に送る者/生類を憐れむというのはどういうことか/西日本の諏訪の文の普及/千匹塚という鳥獣供養法/供養儀礼を弘めたのは者は誰だろう
第五章 日本人にとってキツネとは何か 146
蝦夷の狐と本土の狐/狡猾は美徳ではなかったか/稲荷社信仰の御利益/大狐侍と家の繁栄/憑物もちの迷信/飯綱狐というものの話
第六章 日本オオカミはどこへ 166
北海道の狼たち―群集生活の悲劇/狼群の捕獲から滅亡へ/近世の日記にみる狼の盛衰/狼の被害者数とその分布/金沢近郊の野獣害記録/狼はどうだったのか/狼狩猟隊の日仏比較/金沢近郊の狼捕獲状況/狼犬混血のもう一つの結果?
第七章 鹿・猪・豚 195
日本列島の猪・鹿分布/祖母・傾山系の起伏と動物環境/もしも日本列島に人が住まなかったら/野獣捕獲頭数からみた神宮宮城林/猪・鹿捕獲と棲息量/伊勢地方の野獣捕獲量の近況/近世日本列島の狩猟圧/近世の大名狩猟とその目的/狩場の設定と農民生活/大名狩の伝統と目的/富士の巻狩が意味したもの/富士の巻狩の成果とは何か/猪から豚へ―南西諸島の人獣交渉史/ぶたは日本語である/ぶたという言葉の語源/南西諸島の野猪と人/猟犬とそのありかた
第八章 人とけものとの交わり 256
人とけものの間柄/人獣交渉史から見えてくるもの/人間と野獣とはなぜ同じ生きものか/狩猟者の用いる内蔵呼称/野獣と人との生命の類似性/臓器に名前をつける理由/終わりにあたって
あとがき
■「あとがき」の終わりの部分
それにしても、ローマ人たちがコロセウムの中で人と野獣、人と人とが殺戮しあう場面を一つのエンターテインメントとして眺めていた心理は、われわれ園芸的農耕に早々と逃避(と彼等はいうにちがいない)して、死と対決闘争する人生を味わおうとしなかった社会に生きる者には、到底理解しがたいという気がする。これは野獣の上に奴隷を、奴隷の上に市民をという階級づけを久しく当然とみなして来た社会制度と不可分なものであろう。だが、それらを論証するには、やはりもう少し時間をかけて資料を集めなくてはなるまい。早まって誤解してはならないと思う。だからやはり、初めの計画のように、この書物に述べるのはこれだけにして、あとは別稿にまつことにしよう。それがなんとなく不満ではあるが結論となった次第である。
したがって、いつか欧亜各地の人獣交渉の姿が、より詳しく知られたならば、もう一冊東西両洋の人と野獣とのかかわりかたを、著者の視点から考察して、気づいたことを書いてみたいものだと念願している。ただし、それまでの余命があるならば、という条件づきの話だが。
最後に多大の配慮をいただいた新人物往来社編集部の酒井直行氏に厚く御礼申上げる。
一九九四年の大晦日を明日に控えて
■書評
『間引きと水子』の著者である民俗学者が探る日本人と獣の関係
最近のコメント