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○■間引きと水子――子育てのフォークロア――■2016年09月02日 21:27

「間引き」という文化現象を検証しなおす

■書評
るびりん書林 別館


千葉 徳爾 (著), 大津 忠男 (著)
-: 256ページ
出版社: 農山漁村文化協会 (1983/07)

■商品の紹介
内容
「間引き」は一つの文化現象であって単なる嬰児殺害ではなかった。文化というものはその背景となる社会が生み出したものであり、そのにないては人である。
そのような文化を持つ前代日本人の文化行動の基礎となる本質的な構造と思考の方式とが、どの点では変りどの部分では古いものを保っているのか。また、そのような社会・文化の諸要素の組合わせと、それらの変動、つまり文化的構造の推移のしかたと、それが表面的社会現象としてはどのような形となるのか、などを考察してみたいというのが著者らの目的である。

著者に付いて
千葉徳爾(ちば とくじ)
1916年千葉県生れ。1939年東京高等師範学校文科4部卒。東京教育大、信州大、愛知大、筑波大を経て現在、明治大学教授。
『狩猟伝承研究』正統後篇(法大出版局)
『風土論』(朝倉書店)
『地域と伝承』(大明堂)
『切腹の話』(講談社)

大津忠男(おおつ ただお)
1956年福島県生れ。1979年筑波大学人文学類卒。
現在、茨城県立茨城東高校教諭。
(本書の発行時に掲載されていたデータです)

■目次
まえがき
第一部 間引きは常習ではなかった
序章 日本人の生命観
1 死者・墓・霊魂 14
・死者―墓のない人 14
・墓とは何か 16
・遺体処理にみる生命観のちがい 18
・差別される子どもの墓 20
・仏にしてはならぬ魂 24
・民衆の霊魂観 25
2 間引きと子どもの霊魂 27
・間引きという言葉 27
・子殺しは中世にもあった 29
・間引きの地方呼称 31
・生命観の地域的変化 35

第2章 通説「間引き論」批判
1 著者らの問題意識 39
2 間引きに対する通説と疑問 41
・間引き「通説」のいつくか 41
・「通説」への疑問と研究方法の批判 46
3 間引き資料としての絵馬の問題 65
・柳田国男の見たもの 65
・木版絵と地獄図の間引き 71
・間引き絵馬奉納の意味 76
・絵馬分布のかたよりが示すもの 78

第3章 江戸期の人口停滞の原因
1 間引きがなくても人口が停滞する根拠 81
・問題の手がかり――凶荒の影 81
・越前国「宗門改人別帳」の研究 83
・会津山村にみる貧農の結婚難 89
・昭和初期でも五割に近かった乳幼児の死亡率 91
2 寺院過去帳による分析――事実に即しての考察 94
・津軽金木町の過去帳の研究 94
・飛騨地方における過去帳の研究 96
3 結論――間引きは常習ではなかった 107

第二部 間引きをめぐる先人の心意――民俗学の方法
第4章 民俗学における間引きの見方
1 民俗資料による間引き・子おろしの考察 112
・民俗資料を使う意義 112
・資料『日本産育習俗資料集成』 について 114
・間引きをめぐる伝承 118
・子おろしをめぐる伝承 125
・子おろしの原因――密通 129
・間引きと子おろしの地域的差異が示すもの 131
2 間引きの底流にあるもの――津軽の民俗調査から 135

第5章 子どもの葬法からみた先人の心意
1 子どもの葬法に関心がもたれなかった不思議 143
2 著者らが選んだ調査地の概要 150
3 成人の葬法にみる死と霊魂についての考え 151
4 子どもの葬法の特徴 162
5 子どもの霊魂はどこへ 168
・ジゾッコとタモトオトシという言葉 169
・サイノカワラについて 172
6 生れかわる子どもの魂 178
・平田篤胤『勝五郎再生紀聞』 178
・輪廻思想とのかかわり 180

第三部 子育てのフォークロア――現代への架橋
第6章 子育てからみた常民の心意
1 子どもの無事を祈る民俗のかずかず 186
2 通過儀礼と庶民の心意 190
・通過儀礼研究の意義 190
・胎児の段階 192
・幼児の段階 197
・地域の特性はみられるか――調査から 203

第7章 かつて子どもは地域全体で育てられた
1 子どもの成長と地域社会の承認と支持①――脇川の調査から 209
2 子どもの成長と地域社会の承認と支持②――玉取の調査から 215
3 着衣の変化からみた社会的承認 222

終章 現代の子育てをめぐって
1 荒廃する現代の子育て――水子供養のはやる背景 235
2 叱り方にみる親と子の真実の絆 238
・「お前は拾った子だから……」といわれても 238
・孤独な群衆としての子どもの出現 241
3 郷党教育の後退と精神的間引きの増大 243
4 今、親たちに望むもの 248

参考文献 253
あとがき 255

◎■金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った■2016年09月03日 19:44

この本に描かれた世界史は実に理解しやすい。たぶん、つじつまがあっているからだろう。


安部 芳裕 (著)
文庫: 336ページ
出版社: 徳間書店; 第9刷版 (2008/09)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
誰も知らなかった本当のお金の仕組み。“彼ら”の手口を逆手にとれば自立型経済が実現。ロスチャイルドに学ぶ成功哲学。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
安部/芳裕
1999年に地域通貨グループ「レインボーリング」を立ち上げる。講演や体験型ワークショップを全国の自治体・商店街・商工会・大学・NPO・NGOなどで数多く行ない、その実践もサポート。2007年4月からネット上で「反ロスチャイルド同盟」を立ち上げる。豊富な資料をそろえ、マスメディアが伝えない情報を発信している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次(小項目は抜粋改変して掲載)
はじめに――金融システム設計者の意図に気づいた理由 5
第1章 お金の歴史 銀行という詐欺システムが誕生したカラクリ 19
お金とは何か/自給自足から物々交換へ/便利な交換手段/お金の発達史/金細工師/信用創造という詐欺行為/金融カルテル/中央銀行制度/世界恐慌/第二次世界大戦/金本位制の崩壊
第2章 お金の問題点 ―利子という椅子取りゲームが貧富の差を産んだ 43
本来存在しない利子返済/破綻必須のシステム/本当の勝ち組銀行家/お金の転移
第3章 金融の歴史 ―国家の命運は銀行家が握っている 61
ユダヤ教徒への迫害と金融システム/国家・企業・銀行の力関係
第4章 ロスチャイルドの世界革命行動計画 67
秘密会議による25の計画案/ユダヤ人/ユダヤ教の聖典とタルムード/自称救世主と改革派ユダヤ教
第5章 ロスチャイルド関連の世界史① ―近代史の謎が解けた!! 87
ロスチャイルド家の勃興/イルミナティ創設とロスチャイルド/フランス革命とフリーメーソン/スカル&ボーンズ/モルガン商会/ペリー来航・明治維新とロスチャイルド/リンカーン暗殺/ジェイコブ・シフ/第三次世界大戦/円卓会議・チャタムハウス・CFR・IPR/シオニズム運動/情報とお金/私有銀行FRB/ウィルソン大統領/無から有を生み利息を支払わせるFRB/ルシタニア号事件/「中東三枚舌外交」/ロシア革命/日中戦争/国際連盟/世界恐慌とBIS設立/ナチス・ドイツ/真珠湾攻撃/基軸通貨ドル/途上国を支配するIMFと世界銀行
第6章 ロスチャイルド関連の世界史② ―戦後世界の枠組みも彼らが作った! 183
原爆投下と国連/占領政策/GHQによる言論統制/ウォー・ギルド・インフォメーション/米国の手先となった日本の黒幕たち/洗脳政策としてのテレビ放送/ケネディ暗殺/ネオコン/競争的な市場/湾岸戦争と中東パイプライン建設/奪われた郵便貯金と清和会外資族/米国同時多発テロ事件/偽テロから終末宣言へ
第7章 世界の現状 ―このままではロスチャイルドの狙う地球独裁体制になってしまう!? 261
経済危機(悪循環/国債/国家破産の方法/ネバダ・レポート/原油決済の転換/アメリカ経済の実質破綻/北米共通通貨AMERO)/戦争危機(中東危機からハルマゲドンへ/中東大戦争)/環境危機(地球温暖化/食料危機)/支配計画(新世界秩序/新階級社会)
第8章 未来への提案 ―偽りの経済システムをこえて自立型経済の実現へ 295
不当な経済システム/国際金融資本から独立した自立型経済/政治家を活用/日本国憲法/通貨発行権の回復/陽経済と陰経済/外部通貨と内部通貨を並行して使う/食糧自給/エネルギー自給/メタンハイドレート/風力発電/太陽光発電/電気自動車/海流発電/支配者層の手口を知ることが自立型経済実現への一歩

参考文献/参考サイト 330

■扉の次のページに記された文章
ロスチャイルドという名を御存知ですか?

閨閥によって地球を網の目のように覆い
200年以上にわたり世界を動かし続ける陰の支配者。

「そんな……小説じゃあるまいし」と思われますか?
いや「事実は小説よりも奇なり」です。

彼らが目指すのは、大衆を家畜のように管理・コントロールする社会です。
一部のエリートが絶対的な権力で支配しようとしています。

ほとんどの人は
「そんなバカな」とか「くだらない陰謀論だ」と思うことでしょう。

その原因は、多くの人がお金の仕組みを知らないためだと思います。

「お金のことぐらい知っているよ」と思われることでしょう。
しかし、本当にお金の仕組みを理解している人は
実際にほとんどいないのが実情です。

信じるも信じないも貴方しだいですが、まずは事実を知ってください。

教科書もマスコミも絶対に教えてくれない
ロスチャイルドが作った世界支配の構造をお伝えしましょう。

■書評
この本に描かれた世界史は実に理解しやすい。たぶん、つじつまがあっているからだろう。

○■トンガの文化と社会■2016年09月06日 19:55

南太平洋の小さな島国は、トンガ帝国とも呼ばれる海洋国家を作り、強大な権力を持つ王がいた


青柳 まちこ (著)
ハードカバー: 260ページ
出版社: 三一書房 (1991/11)

■商品の紹介
内容
長年にわたるオセアニア研究の初期に書かれた論文を中心にして編まれた書であり、全体としてトンガのイメージが読者に違和感なく伝わるように構成されている。
本書の特徴は以下の五点。
(1)土地制度と海外移住の因果関係
(2)キリスト教の受容にともなう西洋化
(3)家族、親族、そして社会組織と非単系的集団に関する社会人類学的研究
(4)余暇感
(5)子育て論
「余暇」と「子育て」という著者独自の視点が本書を出発点としていることは注目に値する。

著者について
青柳まちこ
東京女子大学文学部卒業、東京都立大学大学院修了(文化人類学専攻)
清泉女子大学助教授をへて、
現在、立教大学文学部教授、文学博士。
主な著書
『遊びの文化人類学』(講談社・現代新書)
『女の楽園トンガ』(三修者)
『モテクゲイ――ミクロネシア・パラオの新宗教』(新泉社)
『子育ての人類学』(河出書房新社)など
(データは本の出版時点です)

■目次(大項目のみ)
第I章 トンガ王朝の歴史 9
第II章 トンガの伝統的社会組織 23
第III章 トンガにおける土地制度 45
第IV章 現代トンガ村落における家族と親族 79
第V章 親族の行動 109
第VI章 トンガにおける共同作業集団 135
第VII章 トンガの衣食住 143
第VIII章 余暇観 187
第IX章 子どもの成長と社会化 203
第X章 故郷をあとにする人々 219
あとがき 250

○■医療人類学■2016年09月10日 11:52

生業や環境、しきたりなどが健康に及ぼす影響を扱う包括的な医療人類学


アン マッケロイ (著), パトリシア タウンゼント (著)
丸井 英二 (監訳)
杉田 聡 (訳), 近藤 正英 (訳), 春日 常 (訳)

■商品の説明 内容(「BOOK」データベースより)
グローバルな視野でしかも生物学的・社会文化的・政治経済的に書かれた、包括的な医療人類学の入門書。さまざまな文化的背景をもつ人々の生活を考えた国際保健医療が注目されている今日、今後の国際保健医療を探っていく…まさに必読の書。

著者について
Ann McElroy
ニューヨーク州立大学バッファロー校の准教授(人類学)

Patricia Townsend
パプアニューギニアの応用社会経済学研究所の上級研究員を経て、現在、ニューヨークのホートンカレッジの補助准教授(人類学)

丸井 英二(まるい えいじ)
1948年生まれ、千葉県出身
東京大学医学部保健学科卒業
保健学博士
現在、東京大学教授
専門分野は疫学、医学史、国際保健。

杉田 聡(すぎた さとる)
1960年生まれ、大分県出身
東京大学医学部保健学科卒業
保健学博士
現在、大分医科大学助教授
専門分野は、保健社会学、医療倫理

春日 常(かすが つね)
1962年生まれ、東京都出身
東京大学医学部保健学科卒業
保健婦、看護婦
現在(株)テス代表取締役社長
専門分野は健康管理、国際保健

近藤 正英(こんどう まさひで)
1966年生まれ、愛知県出身
東京大学医学部保健学科卒業
医師
現在、東京都立駒込病院外科
専門分野は、国際保健、疫学、保健社会学
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次(中項目まで)
本書について/まえがき/訳者まえがき
序文 3

1章 健康と病気の生態学 9
はじめに 9
医療生態学の実例としてのヤノマモ族研究 10
環境、文化、健康:医療人類学の視点から 14
生態系と健康のモデル 21
コラム:北極における適応 24 参考資料 36

2章 健康問題の学際的研究 39
はじめに 40
共同研究 41
生物環境のデータ 43
コラム:食人する会葬者 49
臨床のデータ 54
疫学のデータ 56
コラム:高血圧の疫学 58
社会・文化のデータ 62
コラム:精神遅滞の人々の日常生活 68
医療人類学:成熟しつつある領域 74
まとめ 75
参考資料 77

3章 適応の意味 79
はじめに 80
生物学的進化における適応 84
コラム:マラリアと農業 92
生理的・発達的適応 101
サモア人の適応と「健康」 106
文化的適応 107
適応不良と文化的パターン 112
直接的な医療コントロール 117
コラム:鎌状赤血球症に対する個人と文化の適応 120
情緒的・社会的なメカニズム 126
適応の限界 127
まとめ 129
参考資料 131

4章 出生・疾病・死亡構造の変化 133
はじめに 134
環境としての文化 135
人口均衡 138
コラム:パプアニューギニア社会での幼児の生存 143
狩猟採集民の野営地での生と死 151
農村での生と死 154
前産業都市での生と死 157
コラム:黒死病 158
産業社会における生と死 163
疾病構造の進化の研究法 171
まとめ 175
参考資料 177

5章 栄養の生態学と経済学 179
はじめに 180
人間の食生活と栄養学的な必要性 180
狩猟採集生活 183
コラム:クン・サン族(!Kungsan)の自給生態学 185
農耕生活 191
食習慣の人類学 200
口のなかに入るものすべてが食品ではない 203
コラム:アンデス高地におけるコカ噛みと健康状態 206
飢えた世界 210
アメリカにおける飢餓 213
栄養過多と他の豊かさの問題 215
まとめ 218
参考資料 219

6章 ライフサイクルと栄養 221
はじめに 222
出生前の栄養 222
乳児期の栄養 225
離乳期と小児期初期の栄養 229
小児期後期と思春期の栄養 235
成人期の栄養 237
コラム:サヘルの干ばつと飢饉 250
栄養不良の社会的コスト 255
まとめ 259
参考資料 260

7章 ストレスと病気 261
はじめに 262
ストレスの概念 263
ストレスのモデル 264
ストレス耐性の個体および文化による多様性 267
ストレスの生理学的理解 268
コラム:魔法による死 273
一般適応症候群 277
ストレスと癒し 282
社会文化的環境でのストレッサー 287
コラム:ストレス・ソーシャルサポート・妊娠 292
ストレスとメンタルヘルス 298
文化結合症候群 300
コラム:北極ヒステリー 305
まとめ 309
参考資料 311

8章 異文化接触による健康への影響 313
はじめに 314
イシの生涯 315
異文化接触というストレッサー 317
異文化接触のかたち 318
文化の変化とアルコール摂取 322
コラム:文化の変化とイヌイットの健康 326
異文化接触に関する研究のモデル 336
疫学的変化:カリフォルニアにおけるマラリア 338
人口学的変化:ニューギニアにおけるアスマット族 342
栄養と保健医療の変化 346
移住におけるストレス 351
コラム:東南アジアからの難民とアメリカの保健医療 356
参考資料 365

9章 近代化における保健医療コスト 367
はじめに 368
新しい道と古い病気 369
近代化の意味するもの 371
近代化と医療多元論 372
経済の開発と低開発 374
農業開発による健康影響の評価 377
コラム:灌漑と住血吸虫症 380
ヘルスケア発展のための戦略 387
開発途上地域での人類学者 395
先進国における少数民族の健康 400
コラム:アメリカ工業都市におけるアラブ人と黒人 406
まとめ 413
参考資料 415

付録:医療人類学プロジェクト 417
引用文献 419
さくいん 467

■「本書について」
  多大なる絶賛を受けた本書は、この10年ほどの間の医療人類学の研究の発展と、現代の健康問題に対する生物文化的なアプローチを反映するために改訂されたものである。生態学的な枠組みを維持しながらも、民族医学、文化精神医学、健康に対して批判的な人類学にも注意をはらっている。本書には、ソーシャルサポートや妊娠、マレーシアの母子栄養、難民の健康問題に関するコラムが加えられている。そのほか、ケーススタディは、クールー、鎌状赤血球症、住血吸虫症、高血圧症、北極ヒステリーに関する新しい研究に変更されている。参考文献の拡充、出典リストの改訂、最新の記録フィルムの概要紹介などによって、本書は教科書としてだけではなく、事典としても十分活用できるだろう。

■書評
生業や環境、しきたりなどが健康に及ぼす影響を扱う包括的な医療人類学

○■オオカミはなぜ消えたか―日本人と獣の話■2016年09月16日 21:02

『間引きと水子』の著者である民俗学者が探る日本人と獣の関係


千葉 徳爾 (著)
単行本: 279ページ
出版社: 新人物往来社 (1995/04)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
人と獣たちは、狐のように信仰の対象となったり、熊や猪のように獲物とされながらも永く共存してきた。オオカミが日本から消えたことを通して、現代人の生活を考える。

著者について
千葉 徳爾(ちば とくじ)
千葉県生まれ、東京高等師範学校を卒業し、愛知大学、筑波大学、明治大学の教授や、日本民族学会代表理事を歴任。日本地理学会名誉会員であった。柳田國男門下生であった。
人と動物の交渉史、山村文化などを研究し、「狩猟伝承研究」五巻にまとめた。2001年11月に、冠不全のため85歳で死去した。

■目次
第一章 日本人と野獣たち 7
近代日本の絶滅哺乳類/白色鳥獣出現の意義/人獣交渉史としての肉食の問題/記述の方針

第二章 日本人の野獣観 20
「美女と野獣」譚の一例/人獣交渉の一こま/異類婚姻譚の恐怖/山中異界観の形成/近世本草書にみる羚羊/『和界三才図会』の典拠/倒叙法と生態理論/野獣とは何か/野獣の分類/猫の国に行った人の話/近世日本の人狼交渉/ニホンオオカミノ斜陽化と滅亡/狂犬病と山犬・里犬/鹿の捕獲法とその目的/猪鹿数の減少と理由/狐・狸と日本人の思考/狸の生態と新興との間/多面的な人獣交渉

第三章 東日本のけものたち―その生態的環境― 74
野獣の種類別か人間の時代別か/『原始謾筆風土年表』が語る近世の下北/野獣増減の自然条件/熊と人間の交渉形態/北海道開拓と羆/アザラシとトド/羚羊狩から月の輪熊へ/マタギの巻物は飾物なのか/熊胆ブームのあだ花

第四章 西日本のけものたち―歴史的視点から― 111
西日本の熊と人との交渉/恐れながらも熊を捕る理由/熊への畏敬/西日本の山地は猪熊の世界/和紙生産地の鹿の被害/東西にみる猿の禁忌/野獣を殺して浄土に送る者/生類を憐れむというのはどういうことか/西日本の諏訪の文の普及/千匹塚という鳥獣供養法/供養儀礼を弘めたのは者は誰だろう

第五章 日本人にとってキツネとは何か 146
蝦夷の狐と本土の狐/狡猾は美徳ではなかったか/稲荷社信仰の御利益/大狐侍と家の繁栄/憑物もちの迷信/飯綱狐というものの話

第六章 日本オオカミはどこへ 166
北海道の狼たち―群集生活の悲劇/狼群の捕獲から滅亡へ/近世の日記にみる狼の盛衰/狼の被害者数とその分布/金沢近郊の野獣害記録/狼はどうだったのか/狼狩猟隊の日仏比較/金沢近郊の狼捕獲状況/狼犬混血のもう一つの結果?

第七章 鹿・猪・豚 195
日本列島の猪・鹿分布/祖母・傾山系の起伏と動物環境/もしも日本列島に人が住まなかったら/野獣捕獲頭数からみた神宮宮城林/猪・鹿捕獲と棲息量/伊勢地方の野獣捕獲量の近況/近世日本列島の狩猟圧/近世の大名狩猟とその目的/狩場の設定と農民生活/大名狩の伝統と目的/富士の巻狩が意味したもの/富士の巻狩の成果とは何か/猪から豚へ―南西諸島の人獣交渉史/ぶたは日本語である/ぶたという言葉の語源/南西諸島の野猪と人/猟犬とそのありかた

第八章 人とけものとの交わり 256
人とけものの間柄/人獣交渉史から見えてくるもの/人間と野獣とはなぜ同じ生きものか/狩猟者の用いる内蔵呼称/野獣と人との生命の類似性/臓器に名前をつける理由/終わりにあたって

あとがき

■「あとがき」の終わりの部分
  それにしても、ローマ人たちがコロセウムの中で人と野獣、人と人とが殺戮しあう場面を一つのエンターテインメントとして眺めていた心理は、われわれ園芸的農耕に早々と逃避(と彼等はいうにちがいない)して、死と対決闘争する人生を味わおうとしなかった社会に生きる者には、到底理解しがたいという気がする。これは野獣の上に奴隷を、奴隷の上に市民をという階級づけを久しく当然とみなして来た社会制度と不可分なものであろう。だが、それらを論証するには、やはりもう少し時間をかけて資料を集めなくてはなるまい。早まって誤解してはならないと思う。だからやはり、初めの計画のように、この書物に述べるのはこれだけにして、あとは別稿にまつことにしよう。それがなんとなく不満ではあるが結論となった次第である。
  したがって、いつか欧亜各地の人獣交渉の姿が、より詳しく知られたならば、もう一冊東西両洋の人と野獣とのかかわりかたを、著者の視点から考察して、気づいたことを書いてみたいものだと念願している。ただし、それまでの余命があるならば、という条件づきの話だが。
  最後に多大の配慮をいただいた新人物往来社編集部の酒井直行氏に厚く御礼申上げる。
一九九四年の大晦日を明日に控えて

■書評
『間引きと水子』の著者である民俗学者が探る日本人と獣の関係

○■世界支配者VSライトワーカー■2016年09月19日 13:30

文明を支配する権力。権力が途切れることなく続いていることが歴史の真実である。


サアラ (著), 玉蔵 (著)
単行本(ソフトカバー): 276ページ
出版社: ヒカルランド (2013/9/9)

■商品の説明
内容紹介
世界を牛耳る「新しい権力」が、ものすごいスピードで台頭しています。 彼らの中枢は、すでに世界中の銀行を握りました!

新旧ダークエネルギーの戦いとその歴史、
世界支配者スコティッシュライト・フリーメーソンの思惑とは、
背後で闇の勢力を操る宇宙意識と、その力はどこへ向かおうとしているのか――。
私たちの命運を握るソロモンのDNAを持っている日本人は、世界を救えるのか!?
異色の二人が、闇の権力最新情報について語り尽くします!

・ ロスチャイルドの本体は「ヴェニスの商人」
・ イエズス会は「やつら」スコティッシュライト・フリーメーソンの組織
・ 異次元からコントロールされている「やつら」の親玉はスイスにいる! ・ エリザベス女王は、売春宿を手広くやっていたドイツのザクセン=ゴ―タ一族出身
・ フリーメーソンはエジプト秘儀を受け継いだ人たち
・ 祭祀=神官集団としてレビ族が権力を握っていた
・ 悪の根源とされているソロモンは、実はマスターだった
・ ケムトレイルより恐ろしい「デジタルウイルス」で、人間をマインドコントロールする方法
・ イルミナティ13血流の李一族
・ 香港の大富豪・李嘉誠(りかせい)が世界の流通をおさえている
・ ユダヤやイルミナティ、フリーメーソンが一番恐れているのは華僑と韓国!
・ アメリカはアルゼンチンをデフォルトさせたい
・ 電子マネーが既存の経済を崩壊させる!仕掛けているのは「やつら」のニューフェイス!!
・ チェイニ―と李嘉誠がウイグルに巨大都市を建設中
・ ドバイに集う元ヴェニスの商人たち
・ イスラエル13支族の中で霊的なものを司るレビ族が日本に来ている ・ ソロモンのDNAを持っている世界のキーパーソンが、日本人に転生している!
・ そのキーパーソンを「やつら」は人工地震であぶり出したい

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
サアラ
魂の計画に従いSuper Life Galleryにて、宇宙理念に基づく科学的アプローチによるスピリチャル探究を促すためのZERO POINT SCHOOLや、ワークショップ、個人セッションなどの活動を行ってきた。現在は地球からのメッセージを受け取りシャーマニックな魂を復活させるためのフィールドワークや、地球から学ぶクリスタルワークセミナーなどを開催中

玉蔵
大人気ブログ「黄金の金玉を知らないか?」のカリスマ・ブロガー。都内外資系勤務の社員だったが3年前、全てを捨てて信州の田舎に引っ越す。現在は、半自給自足生活を行い、読者を募って300名程の信州疎開村コミュニティを主催。パワースポット巡りなどの旅行イベントやフリーエネルギーや放射能除去技術などの実験、また元レベッカのバンドメンバーと共にコンサートを開催するなど幅広い活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■本文の内容をピックアップした冒頭ページから
「やつら」のつくった旧体制はもう限界です。
今まで「やつら」のエージェントとして
忠実に働いてきた組織や国家、
しくみに悪役を担わせて失脚させて、
「新しい権力」をつくりました。
それが今、ものすごい勢いで
世界中をのみ込んでいます。
(サアラ)

イエズス会の基本や「やつら」の組織です。
「やつら」はキリスト教を
ぶっつぶしたかったわけです。
そのために、まず内部にイエズス会を
つくって、外部にプロテスタントをつくった。
両方から挟み撃ちでキリスト教を
ぶっ壊していことしてきた。
私の分析では、いまだに
イエズス会が権力を握っていると思います。
(玉蔵)

■書評
文明を支配する権力。権力が途切れることなく続いていることが歴史の真実である。

人は150人ほどの集団を作って、サルの延長線上のような生活を続けていくことが最も自然であると考えると、この自然な状況から歪めているのが宗教も含んだ権力や貨幣経済であるといえます。上のお二人の言葉は、その意味で真実ではないと私は考えます。

○■老いはこうしてつくられる こころとからだの加齢変化■2016年09月24日 14:58

「こうれいしゃ」と書くよりも「高齢者」と書く方がさっと理解でき、「ずきずき」や「がんがん」と表現することが難しいという不思議


正高 信男 (著)
新書: 191ページ
出版社: 中央公論新社 (2000/02)

商品の説明 内容(「BOOK」データベースより) またげると思ったバーが越えられない。痛みを表現する適当なことばが見つからない。このようなとき、人は老いを自覚する。しかし同じ年齢でも気力の充実した人もいれば、見るからに老いを感じさせる人もいる。このような個人差はなぜ出てくるのだろうか。本書は、からだの老化がいかにしてこころの老いを導くのかを独創的発想による実験で具体的に考察しながら、人々がからだの老化を受容し、こころの老いを防ぐ方法を展望する。

著者について
正高 信男(まさたか・のぶお)
1954年(昭和29年)、大阪に生まれる。
1978年、大阪大学人間科学部卒業。83年、
同大学院人間科学科博士課程修了。学術博士。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員、
ドイツ・マックスプランク精神医学研究所研究員、
京都大学霊長類研究所助手、
東京大学理学部人類学教室助手を経て、
現在、京都大学霊長類研究所助教授。
専攻、比較行動学。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
はじめに 寝たきり老人の調査から 1
秘められた知能/こころの加齢変化の見直し/「老い」の意識はどうつくられるのか/こころの加齢変化の再認識をめざして

第一章 脚の衰えとアフォーダンスの知覚 8
からだの衰えは脚からはじまる/「バーをくぐるかまたぐか」の実験/マジックナンバー「一・〇七」/高齢者の特徴/脚の衰えに伴う二通りの変化/身体(ボディ)イメージと環境の知覚/環境の「生態学的値」/アフォーダンスの知覚と加齢変化/からだの衰えの知覚へのとり込み/主観的幸福感の質問紙調査から/「わたし」というからだの二面性/世界と自分の間の薄膜

第三章 痛みをどう表現するか 40
「年甲斐もない」振舞いの結末/痛みの表現語彙調査/高齢者の痛みの表現の特色/言語表現としての身体性/擬音語・擬態語表現と自発的ジェスチャーとしての発声運動/痛みの表現を支える身体運動の本質/加齢による痛み表現の変化/アフォーダンスの知覚としての痛みの言語表現/言語音に対するアフォーダンスの知覚/ひらがなはむずかしい/漢字黙読の効用

第三章 高齢者は感情に乏しいか? 71
情と知の区分/ビデオ視聴実験/筋電図による笑いの定量化/高齢者の表情は誤解されている/顔のゆがみと感情表出の加齢変化/表情に対するアフォーダンスの知覚/表情表出のアフォーダンスの知覚の生得性/アフォーダンスの知覚と、加齢による自らの表出のズレ/感情の信頼できる指標としての「体動」/表情に「とらわれない」ことのむずかしさ/翁童文化という解決策/自己モニターによる行動変化の可能性

第四章 年寄り扱いのはじまり 104
伝統社会における高齢者の地位/産業構造の変化と高齢者の地位の低下/虚構としての血縁/育児語の効用/育児語の高齢者への転用/育児語使用への反応/「老い」へのあきらめ/意識化されない「やりとり」/「保護するようなコミュニケーション」の流布/「老い」の自己受容の契機/環境によって決定される自己像/年寄り扱いすることで「年寄り」は生まれる

第五章 将来への悲観がはじまるとき 135
他者からのレッテルによって「老い」の意識が生まれる/将来への不安の増大/金銭の時間割引率の調査/時間割引率は加齢とともに変化する/将来への不確実性の程度は、今まで生きてきた年月に逆比例する/三者三様の言い分/時間知覚の加齢変化/主観的一秒の個人差の決定因子/タッピング実験/行為の速度が時間感覚を規定する/年齢への意識の位相変化/三つのライフコース/周囲からの年寄り扱いの影響/目標を持って生きることの重要性

第六章 高齢者心理は誤解されている 167
高齢者の潜在知覚/「検出」と「認知」過程の相互独立/意識への過度の思い入れ/老化すなわち幼児返りという誤解/いかにして自己実現を成就させるか/他者との関係で自己は規定される/高齢者に何を期待するのか

あとがき 185
参考文献 191

■「はじめに」の「こころの加齢変化の再認識をめざして」の冒頭部分
  この本は、こういう従来の「こころの衰えた老人」観を、とらえなおす目的で書かれています。むしろ周囲が、加齢変化に過度に否定的な意味づけをしてしまうことで、高齢者を必要以上に老けこませてしまう状況に追いこんでいくのだという過程を、時間を追って記載してあります。
  私たちはややもすると、からだの衰えとともにこころも衰えるのは不可避と、とらえがちですが、年を重ねるから老いるのではんかう、年寄りとして扱われることで、老けこんでしまうのだという側面を見すごすと、たいへんな誤りを犯すことになってしまいます。

■書評
「こうれいしゃ」と書くよりも「高齢者」と書く方がさっと理解でき、「ずきずき」や「がんがん」と表現することが難しいという不思議

○■顔の本―顔はさまざまなことを語ろうとしている■2016年09月30日 19:14

間取りの工夫が顔を作る


香原 志勢 (著)
単行本: 221ページ
出版社: 講談社 (1985/03)

■内容(「BOOK」データベースより)
動物の顔をひきつぐものとしての人間の顔、その機能と表情のもつ意味、人種間の相違、そしていい顔であることの条件などをわかりやすく解く。人類学の碩学による類書のない格好の読物。

著者について
香原志勢(こうはら・ゆきなり)
一九二八年、東京に生まれる。一九五一年、東京大学理学部卒業。信州大学助教授を経て現在、立教大学教授。専門は人類学で多岐にわたっており、表情、海女、混血児など人類の適応の問題を扱う一方、人体と文化の関係について研究を進めている。著書に『人類生物学入門』『人間という名の動物』『人体に秘められた動物』『手のうごきと脳のはたらき』『老いを考える』他多数。

■目次
一 なぜ顔が気になるのか 8
王様とお面/寓話にみる顔の問題点/顔か心か、心か顔か/美男美女はむしろ不幸

二 顔のたどった道 21
ミノムシの顔/顔とはなにか/脊椎動物ことはじめ/水から陸へ/両生類と爬虫類/鳥類―人間のあこがれ/哺乳類―人間と心の通うもの/霊長類―人間に似すぎたもの/動物ばなれした顔

三 顔の部品―目・鼻・口など 50
顔と頭のちがい/目―見る器官/黒目と白目/まつ毛と涙/さまざまな鼻/人間の鼻はなぜ高い/鼻にまつわるもの/下あご/赤い唇・ひげのある唇/刃物としての歯/咬合と歯ならび/耳/額/顔毛と頭髪と皮膚

四 表情のしくみを探る 95
仏像と心と姿/口を開ける筋肉・閉じる筋肉/動物の表情筋/目と口のまわりの表情筋/表情筋と心の動き/顔面神経と三叉神経/左右非対称な表情/表情と顔のしわ/顔の表情と全身の身ぶり/外向性、内向性/かわらざるものとしての表情

五 見られるものとしての顔 123
コンフィギュレーションとしての顔/福笑い/頭骨における間どりの問題/顔の中の主役/もう一人の主役/顔舞台にあらわれるその他の役者たち/顔における性差と年齢差/顔を生かすくびの動き/見られる顔への反省

六 顔と心 150
顔に投射される心の動き/心の動きと顔の筋肉と自律神経/顔かたちと心/テレビによる顔の観察/人相学批判と性格学/表情と人間の行動

七 日本人の顔と表情 167
仏像の顔/体表―肌・目・髪の毛/モンゴロイドの寒冷適応/歯槽性突顎/そのほかの顔のかたち/表情の人種差/日本人と周辺の人びとの顔の特徴

八 顔を装う 189
眼鏡・義歯などの実用品/いれずみ・文身瘢痕などの奇習/歯の美容/頭髪・ひげの美容/化粧/仮面―他者の顔へ変わること/形成外科と顔/顔の否定と展開

九 顔に託すもの―美・人柄 208
いい顔をした人/顔の美醜/人柄をあらわす顔/人間の顔のアイデンティティ

あとがき 221

■「あとがき」の中間部分から
  顔を考えるにあたって、人びとは対照的に内なるものを考える。それは、ふつう心を意味する。本書では、人間の顔は動物の顔をひきつぐものとして、まずは目・鼻・口などの外面的な臓器や骨・筋肉・皮膚などに目をむけ、よい顔である条件として、これらのものの堅実なあり方に力点をおき、その後に、ようやく顔のあらわす心に触れることにした。それだけに、いくらいい顔をつくろうとして笑顔をつくろっても、また、化粧に専念しても、それは半ば空しい努力にすぎない。顔面内蔵やその他身体諸器官の調和のとれた発達が加わらなくてはならない。(221ページ)

■書評
間取りの工夫が顔を作る