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○■パンドラの種──農耕文明が開け放った災いの種■ ― 2016年05月01日 08:24
育てるという決断がもたらした影響の大きさ
著者:スペンサー・ウェルズ
翻訳:斉藤隆央
出版社: 化学同人
2012年1月31日発行
283ページ
■商品の説明
内容紹介
1万年前,それまで狩猟採集民だった人類は,農耕を始めた.この生活スタイルの変化は,繁栄する現代社会を形づくったと同時に,さまざまな負の側面をもたらした.肥満やうつ病などの肉体的・精神的な病,人口の過密や環境破壊,貧富の格差や民族間の争い.著者は,遺伝学と人類学の知識と経験を元に,われわれの来た道をたどり,パンドラの箱に残された希望を示す.人類史に興味のある人にはもちろん,現代生活の歪みを感じている人にも勧めたい.
出版社からのコメント
現代の狩猟採集民,タンザニア・ハザァベ族の「多くを望まない」という価値観は,震災を経験した日本人にとって,現代生活を省み,これからの生き方を考える参考になるはずです.
著者について
スペンサー・ウェルズ
ナショナル・ジオグラフィック協会の協会付き研究者で、コーネル大学においてフランク・H・T・ローズ'56クラス記念教授に選出されている。彼の率いるジェノグラフィック・プロジェクトは、世界中の人々から数十万に及ぶDNAサンプルを集めて分析し、われわれの祖先がどのように地球に住み着いていったのかを明らかにしようとしている。ウェルズはハーヴァード大学で博士号を取得し、スタンフォード大学とオックスフォード大学でポスドクの研究をおこなった。これまでに出した著書は、本書のほかに、『アダムの旅』(和泉裕子訳、英治出版)の2冊。ワシントンDCに、ドキュメンタリー映像製作者の妻と暮らしている。v
斉藤 隆央(さいとう たかお)
翻訳者。1967年生まれ。東京大学工学部工業化学科卒業。化学メーカー勤務を経て、現在は翻訳業に専念。訳書に、ニック・レーン『生命の跳躍』、『ミトコンドリアが進化を決めた』(以上みすず書房)、ミチオ・カク『サイエンス・インポッシブル』、『パラレルワールド』(以上 NHK出版)、ピーター・アトキンス『ガリレオの指』、オリヴァー・サックス『タングステンおじさん』(以上早川書房)、アンドルー・ノール『生命 最初の30億年』、マット・リドレー『やわらかな遺伝子』、『ゲノムが語る23の物語』(共訳、以上紀伊国屋書店)、ジョン・グリビン『ビジュアル版 科学の世界』(東洋書林)ほか多数。
■目次
まえがき vii
第1章 地図にひそむ謎 1
イリノイ州シカゴ/遺伝子のビーズ/変曲点/
副産物をふるいにかける/なぜそうしたのか?
第2章 新しい文化が育つ 31
ノルウェー、スタヴェンゲル/空っぽの罠/
決壊したダム/山と谷/重複の重要性/社会のガン
第3章 体の病 79
ドリウッド/倹約遺伝子型と贅沢な暮らし/三つの波/
ゲノムと環境/炭水化物と虫歯/テネシーの話へ戻ろう
第4章 心の病 119
オーストラリア、マリア・グギング/言語障害/
火山とマクロ突然変異/現代の暮らしの通奏低音/未来へ向けて
第5章 遺伝子テクノロジー 161
ダービシャー/加速する傾向/干し草にひそむ針/
望むのも慎重に/ウィルスと、アリと、嫌悪
第6章 熱い議論 199
ツバル/京都議定書問題の最前線/キャップを手にして/
熱い議論/夏のない年/必要は発明の母/海へ戻る
第7章 新しいミトスへ向かって 241
タンザニア、エヤシ湖/囚人、メタ倫理学、強欲/原理主義/
フェイスブックと狩猟採集/多くを望まない
謝辞 279
訳者あとがき 281
参考文献 13
索引 1
■「まえがき」の最後の部分
過去五万年の人類史で最大の革命と言えるのは、インターネットの登場ではなく、啓蒙運動の種から芽生えた産業革命の進行でもなく、現代の長距離移動手段の発達でもない。世界の何か所かに住む少数の人が、自然の設定した制約を甘受してその場の食料を手に入れるのをやめ、自分たちの食料を育てはじめたときが、そうなのだ。この育てるという決断が、われわれ人類になにより広範な影響を及ぼし、これから本書で検討する現象を生み出した。こうした変化の結果として伸ばした能力がある一方、われわれはある程度謙虚さも身に付けなければならない。少数のテロリストが諸国民の精神に恒久的なダメージを与えたり、単純そうに見える決断が遠い未来の世代の遺伝体質に影響したり、われわれの行為の結果、過去六〇〇〇万年のどの時点よりも多くの種が絶滅の危機に瀕していたりする今日の世界では、じっくり考えて、大きな欲求が大きな結果を生むことを理解する必要があるのだ。
■書評
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