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◎■超心理学――封印された超常現象の科学■2016年06月02日 09:11

正統的な科学的手法による研究の歴史を通じて超心理学(テレパシー、透視…)をめぐる可能性と限界を探る


石川幹人 (著)
単行本: 388ページ
出版社: 紀伊國屋書店 (2012/8/29)

■商品の説明
内容紹介
テレパシーや透視などの超常現象を科学的に探究する超心理学という学問は、正統的な科学の手法で研究されているものの、科学者たちからオカルト扱いされ、まともにとりあわれず「封印」されてしまう。日本における超心理学の第一人者が、その研究内容や成果などを詳細に解説するとともに、正しくても理解されない実態を明らかにし、科学のあるべき姿を問う。

内容(「BOOK」データベースより)
超心理学の研究内容や成果を解説するとともに、それらが学問として受けいれられない背景を明らかにし、科学のあるべき姿を問う。テレパシー、透視、念力などの解明を目指す学問の第一人者による、渾身の書き下ろし。

著者について
石川幹人(いしかわ・まさと):1959年東京生まれ。東京工業大学理学部卒。同大学院物理情報工学専攻、一般企業での人工知能研究などを経て、現在明治大学情報コミュニケーション学部長。博士(工学)。専門は認知情報学および科学基礎論だが、超心理学研究をライフワークとし、日本の第一人者。2002年ライン研究センター客員研究員。ASIOS(超常現象の懐疑的調査の会)発起人メンバー。著書に『人間とはどのような生物か』ほか。

■目次
序章 予知かそれとも偶然か◆超心理学協会
      デューク大学とJ・B・ラインの研究◆ライン研究センター
      本書の構成
第I部 超心理学の実態
第1章 テレパシーの証拠をつかんだ 28
・ガンツフェルト模擬実験◆厳密なガンツフェルト実験の成果
・不遇な「現代のガリレオ」
第2章 米軍の超能力スパイ作戦 56
・マクモーニグルの遠隔視実験◆スターゲイト・プロジェクト
・遠隔視実験を改良した透視実験◆ガンツフェルト実験とのちがい
・スターゲイト・プロジェクトの幕引き
第3章 超能力の実在をめぐる懐疑論争 80
・トンデモ超能力対談◆かたくなな否定論者
・超心理学の不祥事◆厳密化する超心理学

第II部 封印する社会とメディア
第4章 奇術師たちのアリーナ 112
・ホットリーディング◆奇術師VS奇術師◆私の来歴
・超心理現象に興味をもつ人
第5章 超能力と称する人々 134
・ナターシャの人体透視◆御船千鶴子の千里眼事件
・能力者研究の背景◆「自分には超能力があります!」
・職業欄はエスパー
第6章 マスメディアの光と影 158
・ドラマの科学監修◆能力者へのインタビュー
・大衆の受容と排除◆心理学より工学だ
・マスメディアは両刃の剣◆演出家やらせか

第III部 封印は破られるか
第7章 心の法則をもとめて 186
・東洋的な問い◆ヒツジ・ヤギ効果◆ESPの発揮を高める要因
・超心理学の実験者効果◆超心理現象は無意識のうちに起きる
・内観報告による心理分析
第8章 予知――物理学への挑戦 216
・未来は予感できる◆予知も透視のひとつか
・透視の焦点化◆簡単に実施できる予感実験
第9章 意識に共鳴する機械 254
・感情エージェントが笑う◆乱数発生器によるミクロPK実験
・地球意識プロジェクト◆下降効果のとらえにくさ
・超心理現象の情報システム理論
第10章 霊魂仮説について考える 284
・霊魂という万能仮説◆懐疑論者が一目おく超心理現象
・霊魂は肉体の死後も存続するのか
・霊魂仮説から超心理発揮仮説へ◆詰めこみ理論から拡がり理論へ

終章 物理学者とのオカルト対談◆オカルト論議は信念論争
      封印構造の認知的側面◆封印は解かれるか

あとがき 336
付録 ◆用語集◆統計分析の基礎◆読書ガイド 381
索引

■書評
別館

◎■看取り士――幸せな旅立ちを約束します■2016年06月04日 10:50

暮らしの中の死の文化を取り戻す


柴田 久美子 (著)
単行本(ソフトカバー): 208ページ
出版社: コスモトゥーワン (2013/5/8)

商品の説明
内容紹介
「看取り士」とは、文字通り旅立つ人を看取る人のことです。
住み慣れた自宅や本人の希望する場所で自然な最期を迎えたい人に、24時間より添い、旅立ちを支援します。
幸せに死ぬためにはどうしたらいいのか・・・
生きる意味、死の意味に気づいていただければ幸いです。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
柴田/久美子
島根県出雲市生まれ。日本マクドナルド(株)勤務を経てスパゲティー店を自営。平成5年より福岡の特別養護老人ホームの寮母を振り出しに、平成14年に病院のない600人の離島にて、看取りの家「なごみの里」を設立。本人の望む自然死で抱きしめて看取る実践を重ねる。平成22年に活動の拠点を本土に移し、現在は鳥取県米子市で在宅支援活動中。新たな終末期介護のモデルを作ろうとしている。また、全国各地に「死の文化」を伝えるために死を語る講演活動を行っている。現時は一般社団法人なごみの里代表理事、介護支援専門員、吉備国際大学短期大学部非常勤講師、神戸看護専門学校非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
まえがき 3
第1章 看取りの瞬間
●看取りの瞬間に親子になれた、千代さん 17
●心と心が重なる旅立ちの時……マサさんとの12年の歳月 24
●ただ共感することの尊さを教えてくれた武雄さん 36
●私の腕の中で逝った和子さん 47
●私の中に生き続ける父 52

第2章 お金では買えない最期の贅沢……看取り士
●しあわせな死とは 59
●看取りの場面は奇跡の連続 61
●抱きしめて送るつもりが抱きしめられていた 63
●愛や喜び、すべてを受け渡す看取りの現場 66
●看取り士の立ち位置 67
●看取る人がしあわせになるための四つのポイント 69
①家族で肌の触れ合いを 69
②傾聴、反復、沈黙 70
③大丈夫と声をかける 72
④旅立つ人と呼吸を共有する 73
◆コラム:痛いと言われたらさする……ガン末期の方 75
●旅立つ人がしあわせになるための三つのポイント 77
①死を受容する 77
②お迎えは必ず来る 80
③旅立つ人は最期の状態を自分でプロデュースする 81
●看取り士の具体的な仕事 83
・余命宣言を受けてから始まる看取り士の仕事 83
・どこで死にたいのか 84
・重要な医師との連携 85
・身体を拭き、好きな服を着せてあげる 86

第3章 病院で死ぬしかない日本の制度
●病院で死ぬしかない現実 89
●家族が壁になる 92
・延命治療と家族のエゴという問題 92
・死んだらどうしようという不安 94
●延命治療をするとどうなるか 95
・胃ろうをしない選択、する選択 97
●私たちは子供たちに地獄を見せているのではないか!? 101
●病院で死ぬしかない制度に医療関係者も矛盾を感じている 103
●特別養護老人ホーム(特養)で実現すべき尊厳ある死 107
・「看取り加算」という制度ゆえに、自宅で死ぬことが難しくなっている 107
・施設に入り、最期は病院へ 108
・介護を受けている人の悲しみを受け止めたい 110
◆コラム:介護の現場 113

第4章 平穏に死ぬための準備をしよう
●60歳になったら必ず死の準備をする 121
・人は一人では死ねない 121
・家族で話し合う 123
●看取りとは、ひと昔前に行われていたことを取り戻すこと 126
●死は第二の誕生 128
◆コラム:魂と魂を重ねる時間 130
●死の恐怖を取り除く内観とは 132
●光を感じた瞬間 134
●母の死 136
◆コラム:死後も大切なこと……初七日・四十九日 140
●「1億総ヘルパー」時代に突入 142
●しあわせに旅立つための「エンゼルチーム」 145
●帰りましょう、帰りましょう……エンゼルチームの活動から 148

資料編 柴田さん頑張れ!!
……医師との対談と医師からの応援コメント
●医師が一番知らない平穏死
――長尾和宏医師に聞く 154
●融合医療を目指して
――日本心身医学会専門医 内科医師 岩田千佳 192

あとがき 202
※巻末資料:看取り士とエンゼルの仕組みをご利用いただくために

「まえがき」より
  抱きしめて送り、私のこの腕の中で最期の呼吸を終えたその人々が私にその身体を使って教えてくれたこと、その尊い体験を私は一人のものとはせず、一人でも多くの方に伝えたい。
  この本には『看取り士』というタイトルがついていますが、言い換えれば、旅立つ人の本当の気持ちを伝える本であるとも言えるでしょう。
  しあわせに死ぬためにはどうすればいいのか、本書を通して一人でも多くの人が「看取り士」という存在を知り、生きる意味や死の意味に気づいていただければ幸いです。

■書評
るびりん書林 別館

◎■織田信長 最後の茶会■2016年06月10日 22:10

貨幣、資源、交易、暦、宗教――国際政治の黒幕が信長の命を奪ったのかもしれない


小島 毅 (著)
211 ページ
出版社: 光文社 (2009/7/20)

■商品の説明
内容紹介
暗殺前日、信長は何を言ったのか? 「本能寺の変」後、寺から消えたものは? そして、この同じ年に起きた、世界史上の大事件とは? 東アジアの視点で描く、新たな信長像!
内容(「BOOK」データベースより)
本書は、本能寺の変について「東アジア」という視点から考察を加えていく。私の本業は東アジアの思想文化についての研究である。したがって、室町時代の政治史に関しては門外漢であり、単なる「愛好家」にすぎない。だが、信長の「変」前日の行動をめぐる従来の研究・叙述のほとんどが、視野を日本国内に限定していることに対して長いこと違和感を懐き続けてきた。十六世紀後半の世界情勢のなかに「天正十年六月一日」を置いて眺めてみると、同時に存在していたさまざまな動きが見えてくる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
小島/毅
1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学人文社会系研究科准教授。専攻は、儒教史、東アジアの王権理論。文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成」(2005~2009年度)の領域代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

目次
プロローグ――本能寺の変とその前日 3

第一章 信長はどう描かれてきたか――天皇との関わり 19
(1)司馬遼太郎 20/「司馬」以前は「勤王家」イメージ
(2)頼山陽『日本外史』 25/天皇に尽くした「勤王家」
(3)田中義成『織田時代史』 30/政治的手段としての勤王ぶり/頼山陽と田中義成の史観のねじれ (4)徳富蘇峰『近世日本国民史』 35/安土桃山時代の画期的な意義/経世的勤王家/勤王を実践するための幕府再興/一種の信長待望論/平泉澄の『物語日本史』
(5)ふたたび司馬遼太郎 44/欠けている「天皇」

第二章 本能人の変の黒幕候補たち 49
(1)正親町天皇 50/三職推任問題/譲位問題の解釈/「即位」もままならない/信長と正親町天皇の関係/百二十年も続いた「慣例」/百三十年ぶりの生前譲位復活
(2)近衛前久 62/将軍足利義晴の名の一字を拝領/足利家・織田家・豊臣家・徳川家を渡り歩く/前久が守ろうとしたもの
(3)徳川家康 70/家康の特殊性/家康の不安/変の前日、茶会を三つ掛け持ち/話がうますぎる「神君伊賀越え」
(4)沢彦宗恩 78/大徳寺と妙心寺/「心頭滅却すれば火もまた涼し」/信長のブレーン/二度目の陰謀?/「本能寺の変」を国際関係のなかで考える

第三章 永楽銭、石見銀山、倭寇――東アジアの経済交流 91
(1)永楽銭 92/信長の旗印/東国限定の通貨/江戸時代に生まれた思い込み/信長ひとりが「変人」/信長の財政基盤は、尾張と伊勢を結ぶ海路商圏/環伊勢海政権/明の皇帝の旗のもとに戦った信長
(2)東アジアの国際情勢 106/日本国王――良懐(懐良親王)から足利義満へ/「勘合貿易」に対する違和感/つかの間の安定体制にあった明
(3)南蛮文化 115/大航海時代と信長/種子島への鉄砲伝来/信長の果たした役割
(4)倭寇の時代 120/石見銀山/「日本出身の海賊」はむしろ少数派/義満と同じ役割を演じた秀吉
(5)大内氏と毛利氏 127/京に並ぶとも劣らぬ文化都市・山口/毛利氏を頼って足利義昭/京都中心の偏った歴史認識/最後の勘合貿易船/寧波の乱/博多との対立/天正十年六月一日をめぐる状況

第四章 安土城、名物茶道具――信長と唐物 145
(1)唐様安土城 146/信長の中国趣味/天皇行幸を重視していた信長/安土城に見える信長の中国志向/天主のなかに描かれた障壁画/「謙」の徳
(2)名物茶道具 159/撰銭問題/金や銀が通貨とみなされるようになった時期/本能寺に運び込まれた三十八種の「唐物」/薬や油を入れる容器にすぎなかった「九十九茄子」/「東山御物」を下賜し、権威を保つ/『君台観左右帳記』――由緒正しい最高級唐物のリスト/「贋作」と言えるか?/「牧渓のくわい」/茶の湯御政道/上野一国と信濃の一部に相当する「殊光小茄子」

第五章 東アジアの暦と太陽暦、太陰暦 180
(1)東アジアの暦について 180/旧暦=東アジアの暦/無視できない「月の力」/イスラーム圏で使われ続ける「太陰暦」/「一日」はなぜ「ついたち」か/東アジアの暦における、月の番号の決め方/二十四節気の名称/十二個の「中」が「月」を決める/閏月は十九年に七回の割合で設定される
(2)京歴と三島歴 193/新年を迎える月が一月異なる/公家たちにとってゆゆしき事態
(3)ローマでの改暦事業 196/ユリウス暦/グレゴリウス暦への改暦/世紀の変わり目なのに三百六十五日しか無い年/ローマ教会の暦の導入はありえたか?

第六章 明暦と日本 207
(1)「壬二月廿九日」 208/対馬宗氏と島井宗室/閏二月の書状/「閏三月」ではありえない理由/「閏二月」は存在した/そもそも誤記ではない可能性も
(2)明暦の拡がり 221/正朔を奉ず/宣明暦と様々な地方暦/確実に伝わっていた明暦の情報/日本だけが特殊

第七章 宗教と信長王権 229
比叡山の焼き討ち/東大寺焼き討ちとの相似/一向宗との戦争/安土宗論/五山文学/和学の壁/「国風文化(和学)」と「五山文化」/信長は「無信仰」だったか/自らの誕生日を祝わせた信長/誕生祝いは中国伝来か/「日本国王」である証/正月元日を誕生日として祝わせた秀吉

エピローグ――そして太陽暦が採択された 253
あとがき 256
参考文献 258

■「プロローグ」から
本書は、この疑問(引用注:本能寺の前日になぜ敢えて京都で盛大な茶会を開いたのか)について「東アジア」という視点から考察を加えていく。私の本業は東アジアの思想文化についての研究である。したがって、室町時代の政治史に関しては門外漢であり、単なる「愛好家」にすぎない。だが、信長のこの日の行動をめぐる従来の研究・叙述のほとんどが、視野を日本国内に限定していることに対して長いこと違和感を懐き続けてきた。十六世紀後半の世界情勢のなかに「天正十年六月一日」を置いて眺めてみると、同時に存在していたさまざまな動きが見えてくる。
とりわけ、天下人となった織田信長が、自身をどのように位置づけようとしていたかという関心から光を照らしたとき、京都で茶会を開催しようとしたことわきわめて重大な意味をもってくる。私自身が研究対象としている「東アジアにおける王権のありかた」という点からこの日のできごとを再考してみるというのが、本書の趣旨なのである。

■書評
るびりん書林 別館

○■奈良時代の貴族と農民―農村を中心として―■2016年06月18日 16:48

正倉院所蔵荘園絵画を史料として奈良時代の農村生活を探る


著者:彌永貞三(いやなが ていぞう)
出版社: 至文堂
昭和31年3月15日発行
204ページ

■商品の紹介
内容
正倉院所蔵の荘園絵画の調査に従事することを契機として、絵図を史料として村落生活を研究し、近江の国覇流村・水沼村の考察を中心として奈良時代の中央政治に大きく影響を受ける地方農民の暮らしを推測。

著者について
弥永貞三(いやなが ていぞう)
彌永 貞三(いやなが ていぞう、1915年(大正4年)7月12日 - 1983年(昭和58年)12月30日)は、日本の歴史学者。東京大学史料編纂所所長。従四位勲三等瑞宝章。東京出身。
東京大学史料編纂所在職中は大日本古文書の東大寺東南院文書の編纂に従事した。ほか、東京大学百年史編集委員、文化財保護審議会専門委員、平城宮跡発掘調査指導委員などを歴任した。

■目次
序説 1
一 班田制 4
二 条里制 17
三 聚落と耕地(其の一)―近江国水沼村・覇流村― 36
四 聚落と耕地(其の二)―越前国足羽郡道守村― 125
五 農村の生活 175
むすび 201

図版目次
水沼村絵図(史料編纂所蔵複製本) 巻頭一
覇流村絵図(史料編纂所蔵複製本) 巻頭二
越前国坂井郡東大寺荘園並ニ口分田関係位置図 16
滋賀県愛智郡の条里制遺構 18
条里遺構の分布図 19
平流村略図 39
石寺附近より荒神山(覇流岡)を望む 40・41
稲里村公会堂所蔵平流村絵図 42
荒神山より曾根沼を望む 48
水沼村略図 50
大門池の水門 103
弘福寺領平流荘の推定位置図 123
道守村の荘域推定図 126
折込地図 124~125
表A図 近江国平流村復原図
  B図 近江国水沼村復原図
裏C図 越前国道守村耕地分布図
  D図 越前国道守村耕地分所有関係図

■「むすび」より
農民たちの生活は、中央貴族たちの生活と決して無関係ではなかった。中央政界に於ける変動が彼等の生活に敏感に伝わって来たことは、道守村の例で見て来たところである。のみならず、奈良の都で営まれた華やかな天平文化を築き上げた経済的基礎は、農民等の調庸物であり、それよりも大きなのは、農民等が提供した賦役労働であった。
  貴族等も亦農村に対して大きな関心を持った。班田制から三世一身法、墾田私有法に移行する土地制度の変化、更には雑徭の半減と公出挙制の成立など、対農民政策に於ける重要な転機が、常に中央政界の変動と随伴していることは何よりもこれを物語っている。
  奈良時代を通じて、墾田は大いに開発され、国家経済は大いに発展した。しかし乍ら農民等の生活はこれがために向上したとは考えられない。農民などの一部は地方豪族乃至有力な農民として成長して行ったが、多くのものはその隷属下に入ることによってかろうじて生活をつづけて行ったと考えられる。かような有力農民の数は、奈良時代の経過するにしたがって増加して行ったようである。そしてこれらの 治田主が次の荘園時代を造り上げる主柱となったのである。

■書評
るびりん書林別館

○■自己暗示■2016年06月23日 20:27

「想像力」による「誘導自己暗示」という治療法


C.H.ブルックス、E.クーエ (著), 河野 徹 (翻訳)
単行本: 178ページ
出版社: 法政大学出版局; 新装版 (2010/1/14)

■商品の説明
内容紹介
フランスの薬剤師エミール・クーエが開発し、ブルックスが祖述した誘導自己暗示法のバイブル。クーエの没後80年余を経て、今なお圧倒的な支持を得ている「潜在意識へインプットする」ためのプログラム。クーエやその助手による驚くべき治療成果を紹介するとともに、自分一人での実践方法をも示した本書は、言語と身体の関係を明らかにして、細胞病理学説から出発した近代医学(分析的医学)の欠落を補う。
※ 数かずの類書がある中で、今なお圧倒的な支持を得ている自己暗示法のバイブルです。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
河野/徹
1931年生。東京大学教養学科イギリス科卒業。同大学院英文科修了。法政大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
解説 千葉康則
自己暗示 C・H・ブルックス
第一部 エミール・クーエの自己暗示療法 2
第一章 エミール・クーエの診療所 2
第二章 クーエの療法数例 24
第三章 児童診療所 24
第二部 自己暗示の特質 34
第一章 思考は力である 34
第二章 思考と意志 45
第三部 自己暗示の実践 58
第一章 一般的な法則 58
第二章 一般暗示 66
第三章 特殊暗示 76
第四章 苦痛をどう処理するか 87
第五章 自己暗示と子供 93
第六章 結論 100

意識的自己暗示による自己支配 エミール・クーエ
意識している自己と意識していない自己 110
意識と想像力 113
暗示と自己暗示 117
自己暗示の用法 118
患者に自己暗示をおこなわせる方法 123
治療暗示の進め方 128
この方法の優越性 133
暗示はどのように作用するか 136
先天的もしくは後天的な精神的疾患と
道徳的堕落の矯正に暗示を用いる方法 138
典型的な治療例 141
結論 147

教育はいかにあるべきか 149 エミール・クーエ
訳者あとがき 157

■「解説」の中ほどの部分から
ここはたいせつなことだからくり返すが、私たちの脳はもともと、私たちの知らぬまに全身を調節しているのだから、自分のもっている言語でその調整が狂わされていることも気づかないのである。しかも、それは「胃病になる」というような言語よりも胃病になったときの状態を想像する言語の方が強力であることは科学的にも証明できる。たとえば、「手を上げろ」という命令が脳からでているように思っている人がいるが、じつは手を上げたときの状態を知っていて、そこまで手を動かすことなのである。本書で「想像力」という用語をつかっているのは、かならずしも不適当とは思わない。「考え」というと範囲が広くなりすぎる。

■「自己暗示の実践」より
歯痛や頭痛など、激しい苦痛に悩んでいるときは、坐って目を閉じ、その苦痛をこれからとりのぞいてやる、と自らに保証する。そっと手で患部をさすりながら、できるだけ口早に音をたえまなく流すような調子で「消える、消える、……消えた!」(It's going, going......, gone!)とくり返す(日本語の場合は「なおる、なおる、なおる……なおった!」でもよかろう)。およそ一分くらし深呼吸が必要になるまでぶっ続けに唱え、「消えた!」('gone!')という言葉は一番最後のところで用いる。以上のようにすれば、苦痛は完全に止まるか、少なくともかなりひくであろう。(89ページ)

■参考:
クーエの最も易しい潜在意識の活用法
http://kay.air-nifty.com/art/2009/09/post-98c6.html

■書評
るびりん書林 別館

○■催眠法の実際■2016年06月28日 13:46

精神的健康の回復やセルフコントロールに有効な催眠法の実際


斎藤稔正 (著)
単行本: 281ページ
出版社: 創元社; 新版 (2009/9/8)

■商品の説明
内容紹介
本書は、決してテレビ番組や通俗書に時折見られるような安易な「催眠術」の本ではない。そのような誤解や偏見を解きつつ、催眠を広い視野から研究したり、臨床的に応用したりするために書かれた学生や専門家向けの充実した入門書である。とくに標準的な手続きによる誘導法の実際を平易に具体的に述べたものとして大きな意義がある。「催眠」を科学的に学びたいすべての人に。

内容(「BOOK」データベースより)
「催眠」を科学的に扱った入門書の決定版。催眠法の歴史的経緯から実際の臨床までを網羅。科学的理論と具体例に裏打ちされた催眠法の基礎を学ぶためのロングセラー。読みやすく全面を組み替え、現代の催眠事情にも言及した待望の新版。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
斎藤/稔正
1940年生まれ。京都大学教育学部卒業。その後、スタンフォード大学大学院へ留学、京都大学大学院博士課程を修了。追手門学院大学講師、ミュンヘン大学客員教授、立命館大学教授、日本催眠医学心理学会理事長、イタリア自律療法学会名誉会員などを歴任。立命館大学名誉教授。教育学博士。専攻 人格心理学、異常心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
まえがき vi
第1章 催眠法を学ぶにあたって 001
1. 催眠への態度 002
2. 催眠の豊穣性と歴史的背景 005

第2章 催眠とは何か 17
1. 催眠状態の特徴 018
2. 類催眠現象と催眠との関係 046

第3章 催眠の深度と催眠感受性の分布 051
1. 催眠の深度 052
2. 催眠深度の測定法 056
3. 催眠感受性の分布 061

第4章 暗示と被暗示性、催眠感受性 067
1. 暗示の意義 068
2. 暗示の種類 071
3. 暗示とその反応 076
4. 催眠尺度で利用される暗示項目 079
5. 被暗示性 087
6. 個人差の規定要因 090

第5章 催眠誘導法 099
1. 他者催眠法と自己催眠法 100
2. 催眠誘導の準備 101
3. 催眠への準備段階 106
4. 催眠の誘導過程 113

第6章 催眠誘導法の要点 131
1. 催眠遊動に際しての心得 132
2. 催眠遊動過程での失敗 159

第7章 催眠の応用 171
1. 精神的健康 172
2. セルフコントロール 175
3. 性に関する諸問題 178
4. 教育における催眠の利用 182
5. スポーツ 200
6. 創造性の開発 205
7. 医学的利用 210
8. 歯科への利用 217

第8章 催眠誘導上の注意と倫理 221

第9章 催眠誘導尺度 239
1. 準備 240
2. ラポールの形成 241
3. 暗示テスト 246

第10章 補遺 271
参考文献

■書評
るびりん書林 別館

○■フリーター労組の生存ハンドブック―つながる、変える、世界をつくる■2016年06月30日 09:24

一人でも加入できる労組で命を守る


清水 直子 (著), 園 良太 (著)
単行本: 212ページ
出版社: 大月書店 (2009/07)

商品の説明
内容紹介
「自由と生存のメーデー」「麻生邸拝見ツアー」など、斬新な発想とスタイルで話題を呼んできた「フリーター全般労組」に集う多彩な面々が、大恐慌下を生きのびるための知恵を結集!身近な労働/生活問題を乗り切る知恵から、助け合うための仲間づくり、そして社会を変えるための行動まで、コンパクトかつ実用的な全34項目。

著者からのコメント
労働で困ったとき、一人では生きていけなくなったとき、つながりたい・何かやりたいと思うとき、さらに先の行動や考えをめざすとき。人が生きるなかでぶち当たるさまざまなシーンに力を与えられるものをめざした。(中略)どうか本書をバッグの中に入れて、いつでも使いこなしてほしい。(「あとがき」より)

内容(「BOOK」データベースより)
労働がキツイ、生活がヤバイ、孤立がツライ、世の中オカシイ。クビ切り・生活保護からサウンドデモまで。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
清水/直子
1973年東京都生まれ。フリーライター。フリーター全般労働組合執行委員長(2008年度~)

園/良太
1981年東京都生まれ。フリーター全般労働組合組合員。大学で社会学を学びながらイラク反戦デモなどに参加。卒業後フリーターを経て編集プロダクション「ワーカーズコープアスラン」に就職→解散。現在、求職中。「反戦と抵抗のフェスタ」「麻生を倒せ!ないかくだとう」「憲法カフェ」でも活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■帯より
諦める前に、支援者と出会うために クビ切り・生活保護からサウンドデモまで
死ぬな、読め!
労働がキツイ……⇒01~10
生活がヤバイ……⇒11~18
孤立がツライ……⇒19~28
世の中オカシイ…⇒29~34

目次
はじめに 3
1章 働く
01 いきなりクビ!と言われたら 10
02 「売り上げが落ちたから解雇」ってアリ? 15
03 そんな条件、聞いていません! 18
04 働いているのに、給料が出ない…… 22
05 ピンハネに泣き寝入りしない 26
06 過労死・過労自殺から逃げろ! 30
07 セクハラ・パワハラに負けない 34
08 使わなきゃ損!働く人の権利を守る制度 38
09 まともな仕事につきたい! 42
10 「働く」ための相談窓口 46

2章 生きのびる
11 生活を立てなおす その1 50
12 生活を立てなおす その2 56
13 生きのびるために使ってみよう 64
14 ギリギリの命を支えあう場がある 70
15 屋根の下に住まわせろ! 74
16 衣も食も、お金がなくてもクリエイティブに! 79
17 もし、「生きていたい」とすら思えなくなったら 86
18 「生きのびる」ための相談窓口 94

3章 仲間とつながる
19 労働組合という武器の使い方 98
20 立ちあがれば勝てる! 107
21 街へ出てアピールしよう 115
22 ゼロからはじめるデモづくり 121
23 デモで表現しよう 127
24 デモを広める・続けるために 134
25 私たちによる、私たちのための情報発信 143
26 女性どうしでつながる 148
27 地方はつらいよ 154
28 地域・運動を越えてつながる 160

4章 ステップアップ
29 万国の労働者、休め! 170
30 共同妄想で分断を越える 176
31 社長はいらない! 182
32 プレカリアートは増殖する 188
33 民主主義を想像/創造する 194
34 戦争と貧困のスパイラルから降りる 201

あとがき 209

「はじめに」の中ほどの部分から
この本では、フリーター全般労組の具体的な活動や労組界隈の仲間が経験したことを通して、この時代に生きる多くの人、とりわけ若者にとっての共通課題である労働・生活と精神的な不安定さに立ち向かうための実用的な知識をまとめた。
まずは、この社会で働きサバイバルをしていく上で最低限知っておきたいこととして、1章、2章では、解雇、残業代の割り増し、社会保険、生活保護などについての知識を盛り込んだ。でも、知識だけでは足りない、おかしいと頭ではわかっていても、自分一人では「自分のせいだ」「仕方ない」とあきらめてしまいがちだ。理不尽なことに立ち向っていくためには、誰かが支えてくれているという実感、そして、自分たちを取り巻く現実を変えられるという実感が欠かせない。だから、3章で仲間とつながって変えていくというステップを踏んで。4章では、新しい世界をつくっていくいくつかの方法を提案した。
それぞれ項目ごとに独立した内容になっているので、ニーズに合わせて興味や関心のあるところからページをめくってほしい。

書評
本が好き!