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●砂漠で見つけた夢●2015年05月13日 19:58

キャビン・アテンダントから日本初のアボリジニ・アート・プロヂューサに転身


内田 真弓 (著)
単行本(ソフトカバー): 208ページ
出版社: ベストセラーズ (2008/5/16)

内容(「BOOK」データベースより)
キャビン・アテンダントから日本初のアボート・プロデートプロデューサーに。安定を捨てて引き寄せた夢。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
内田/真弓
1966年、茨城県生まれ。都内の短期大学卒業後、航空会社に客室乗務員として入社。二六歳で退社後、アメリカ語学研修を経て、オーストラリアで日本語教師として勤める。1994年よりオーストラリア南部の都市メルボルンにある国内最大のアボリジニ・アートを紹介する画廊で、アートコンサルタントとして六年間働く。現在は独立し、フリーのアボリジニ・アート・プロデューサーとして活躍中。日本で開催された多くのアボリジニ・アート展に関わる。メルボルン在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
はじめに 1

I 日本での生活 11
1 「夢見る夢子」だった子ども時代 12
・将来への思い
・みんなと違っていたい

2 キャビン・アテンダントになったものの 14
・ハードな日々
・赤面のヌードル事件
・次第に膨らむ違和感
・次への道を探りはじめて
・海外へ行こう
・忘れられない「ラスト・フライト」
・旅立ち

II アボリジニ・アートとの出会い 25
1 成田→シアトルー>オーストラリア大陸へ 26
・憧れの外国暮らしだが……
・一時帰国で再起をはかる!
・オーストラリアへ
・運命の出会い
・アボリジニの描くアートって?
・予期せぬ申し出

2 アボリジニ・アートと関わって 35
・画廊勤めを始めたものの…
・現状を変えるには?
・現代社会におけるアボリジニ
・アボリジニ村へ入るまでの道のり
・「思えば叶う」
・画廊での仕事は順調だったが
・画廊を去る
・気軽に立ち寄れる場所を目指して

3 夢の日本進出 48
・届いたあるファックス
・実現するまでの長~い道のり
・シドニー・オリンピックの開催が転機に
・「なんでも屋」です!
・いよいよ本番に向けて
・そして、オープニング・セレモニー
・次なる夢を追って

III アボリジニ村滞在記 59
1 アボリジニ村訪問記 その1―二〇〇〇年十二月 60
・マウント・リービックへ
・快調なスタート
・「よく戻ってきたなあ」
・アボリジニの家とは
・急転する天候
・引き続き、降り続く雨
・雨の砂漠の恐怖
・地獄に仏! アボリジニ登場
・ドラマの終わりに

2 アボリジニ村訪問記 その2―二〇〇〇二年九月 76
・珍メンバーの終結
・いよいよ出発
・再びマウント・リービックへ
・アボリジニ村での宿泊
・アボリジニの食事情
・蜜アリ狩り体験
・アボリジニと大地が教えてくれたこと

3 女性の伝統儀式への参加 その1―二〇〇四年七月 89
・「オマエは男だ」
・砂漠への招待状
・水がない暮らし
・強烈体験の連続
・果敢に料理に励む!

4 女性の伝統儀式への参加 その2―二〇〇六年五月 101
・「砂漠忍耐ド根性物語」のはじまり
・五月二六日(金)―ほぼ徹夜で出発の日を迎える
・五月二七日(土)―砂漠の女王様たちをピックアップ
・五月二八日(日)―アボリジニの女性たちとの道中より
・五月二九日(月)―儀式の初日
・五月三〇日(火)―「強烈な」アボリジニ女性との出会い
・五月三一日(水)―終わりに

IV 愛しの砂漠の友人たち 117
1 チビッコ・ギャング 118
・キラキラした瞳に魅せられて
・スーパースターの妹
・アボリジニの伝統文化を学ぶ
・アボリジニにとっての「明日」とは?
・まだまだ続く、「アボリジニ熱」

2 ユニークなゲストたち 129
・砂漠からのお客様
・好奇心旺盛な女王様たち
・忘れられない夜に
・人生で「かけがえのないもの」とは

3 わが友、バーバラ・ウィラーのこと 135
・ユニークな女性アーティスト
・日本のお茶の間に登場
・バーバラ、日本へ
・白亜のリゾートホテルで勃発した喧嘩
・バーバラの生い立ち
・尊敬すべき名ハンター

4 偉大なアボリジニ画家 エミリー・ウングワレー 146
・大地が生んだ天性のアーティスト
・驚異的な「創作力」
・エミリーとの出会い
・国際的な高い評価
・エミリー展の日本での開催

V ニッポン珍道中 155
1 アボリジニのおばちゃんたち、東京へ 156
・砂漠へ届いたニッポンからの招待状
・入念な下準備
・到着からすでにハプニング

2 初めてづくしの東京滞在 164
・雨に大ハシャギ
・「初めての体験」をしたのは……
・デパ地下めぐり
・ファミレス大好き!

3 夢の温泉旅行 171
・グリーン車で大名旅行!
・温泉宿にて
・いよいよ入浴
・旅館の豪勢な食事は?

4 ジャッキー・チェーンとの感激の対面(?) 176
・アボリジニの憧れのヒーロー
・ジャッキー登場
・おわりに

VI アボリジニ・アートの魅力 183
1 歴史 184
・長い歴史をもつ民族
・苦難の時代から和解の時代へ
・歴史的な記念すべき出来事

2 アボリジニ・アートについて 190
・ちょっと真面目な話
・アボリジニ・アートの特異な点とは
・絵にこめられた意味
・アボリジニ・アートの種類
・アクリル絵の具との出会い
・一躍、注目を浴びる
・絵を描くということ―「ドリーミング」
・上がるアートの市場価値

おわりに 203

■帯から
キャビン・アテンダントから日本初のアボリジニ・アート
プロヂューサーに。
安定を捨てて引き寄せた夢。
幸せは自分の
ハートが決めるもの!

■「はじめに」
  私は「アボリジニ・アート・プロデューサー」という仕事をしている。 あまり聞きなれないかもしれないが、つまりは「自由業」で、何でも屋でもあるのだ。
  砂漠へ飛んでいって才能あるアボリジニ画家を発掘し作品を買い付けたり、それを販売するための企画展を練り画家を来日させたり、どこかの大学で学生たちにアボリジニの講義を行ったり。 さらに言えば、アボリジニ村で年間合計一〇〇ほど過ごし、ともに狩りに行って誰よりも大きなイモムシを捕まえたり、アボリジニと一緒に焚き火を囲んでこんがり焼けたカンガルーのしっぽにガブリとかぶりついたり、来日した画家のために連日コンビニに走り、彼らのために鶏の唐揚げを調達したり。 また車で砂漠をゆうに五〇〇キロの距離をすっ飛ばしたり……。
  毎月決まった給料をもらっていたころからは想像もつかない生活だ。
  一五年前、私は日本の企業で働いていた。 そのころは、それなりに不自由のない生活が保障されていた。そもそも、会社に「守られている」という安心感が私にとって大きな心のセキュリティであったのだ。
  今、ほんの偶然の出会いから、こうしてアボリジニ・アートに関わる仕事をしているが、もちろんすんなり来たわけではないし、不安もたくさんある。 だが、かつて日本で仕事をしていたとき、自分に問いかけた言葉がある。
  自分の心が一〇〇%満足しきっていないのに、世間の目に映る自分のイメージを気にするのか。
  幸せというのは、自分のハートが決めるのではないだろうか。
  会社の名前でなく、私個人の名前で何かやろうと思わないのか。
  自分の人生のシナリオを、自分で書いてみてはどうだろう。
  安定した生活を捨て、日本を出てからしばらく月日が経ったころ、ある日アボリジニ・アートが私の人生に登場した。 そのとき「これだ!」と直感的に心が叫んだ「あの感覚」は、説明しろと言われても困ってしまうが、それこそ「やってみたい」と素直に思えたものに出会えたことに感謝したい。 そしてその気持ちが一五年経った今でも、ちっとも変っていないという奇跡にも。
  あっちこっちと遠回りをしながらも、今の不安定な自由業を自分の責任でやってみるのだって、なかなかダイナミックで楽しいものだということが、ここへきてだんだんとわかってきた感じがする。
  本書が、あなたの生き方の指針になってほしいなどとおこがましいことは全然考えていない。 そもそもそんなことを偉そうに言えるのであれば、この人生、これまで周り道もしなければへこんだり不安な長い夜を過ごすこともないだろうに。 これからだって、どこへ向かっていくかなど、誰にわかるだろう。
  ただ、自分の心の声に耳を傾け、それに従って一歩踏み出してみると、きっと人生のデザインはより魅力的で、美しいものになる、という思いを伝えられたらと思う。 私がこのような気持ちを抱くようになったのには、アボリジニとの出会いは不可欠だった。 「あるがままの私」でいられる、彼らとのつきあいは、私にとってこの上もなく貴重でかけがえのない時間である。
  本書を通して、一人でも多くの方が日本でまだそれほど馴染みのない、アボリジニの姿やアートに触れ、関心をもっていただけたら、このうえなく嬉しい。

■一言:
当店で力を入れている「生き方」本の一冊
伝統的または昨今のアボリジニの暮らしも知ることができそう