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○■人とサルの違いがわかる本 ―知力から体力,感情力,社会力まで全部比較しました■2015年06月19日 10:10

ヒトはスタスタと歩くサル

杉山幸丸 (著)
単行本(ソフトカバー): 240ページ
出版社: オーム社 (2010/2/19)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
サルを知ることは、人を知ることだ。なぜならサルたちは、私たち人類の直近の隣人だからだ。生物進化のなかでサルが人の親類だということは、一八五九年にチャールズ・ダーウィンが『種の起源』を公にして明らかにした。繰り返し検討し直されてきたことだが、混沌とした現代だからこそ、人類の未来を誤らないために再度見直してみよう。進化のなかで何がサルと人の道を分けたのか、人は本当にサルより優れていたのか、最新の研究成果を含めて見直すことにより、私たちは人類の未来を切り開くためのヒントを得たい。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
杉山/幸丸
1963年、京都大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士。1963‐1970年、京都大学理学部助手。1970‐1999年、京都大学霊長類研究所助教授、教授(96‐99、所長)。2000‐2006年、東海学園大学人文学部教授(00‐04、学部長)。現在、京都大学名誉教授、東海学園大学名誉教授。専門分野は人類学、生態学、行動学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次(大項目)
はじめに iii
第1章 人とサルの進化
1 ダーウィンが考えた人の由来 2
2 霊長類の誕生 5
3 人と類人猿の誕生 8
4 類人猿と初期の人類 11
5 人とサルの遺伝子 14

第2章 人とサルの身体の構造
6 体の骨組み 18
7 雌雄での体格差 21
8 手の構造と握力 23
9 指紋による個体の特定 26
10 足の構造 28
11 顔のつくり 30
12 消化管 32
13 喉の構造と声 35
14 体毛の生え方 37
15 血液型 39
16 五感の特徴 41
17 成長の速度 43

第3章 人とサルの食と住
18 好きな食べ物 46
19 必要なカロリーと必要栄養素 49
20 食物欠乏季のエネルギー摂取 52
21 メタボはあるか 54
22 雨や寒さのしのぎ方 56
23 大型類人猿の寝床 58
24 衛生意識 61

第4章 人とサルの病気と老化
25 一番多い死因 64
26 寿命の差 66
27 老化の症状 68
28 寄生虫 70
29 病気と薬の使用 72
30 エコ意識 75
31 エイズにかかる 75
32 障害を持つサルの存在 79
33 花粉症にかかる 81

第5章 人とサルの体力と運動能力
34 力の差 84
35 走行能力 86
36 走る速度と持久力 89
37 バランス感覚 91
38 距離感と空間知覚能力 93
39 小麦をつまめるか 96
40 ドライバーを回せるか 99

第6章 人とサルの親子関係
41 お産の仕方 102
42 父親の子育て参加 105
43 お婆さんの役割 107
44 他人の子どもの世話 109
45 血縁意識 111
46 生涯に持つ子の数 113
47 子どもの自立のため親がすること 116

第7章 人とサルの社会生活
48 ボスの選ばれ方 120
49 集団のサイズと構成 123
50 群れへの加入と離脱 126
51 集団を移籍する静 128
52 子どもは社会に組み込まれてゆく
    (1)サルの場合 131
53 子どもは社会に組み込まれてゆく
    (2)人の場合 134
54 挨拶―互いの緊張をほぐす方法 136
55 分配・贈与とお返し 139
56 共同作業 142
57 同盟・連合と政治 144< 58 男女の分業 146
59 群れと家族のかたち 148
60 子殺しの怪 150
61 殺し合いと戦争 152
62 人口密度の社会への影響 155
63 混群と混血の問題 157

第8章 人とサルの感情表現
64 性の季節 160
65 顔での感情表現 162
66 身ぶりや声での感情表現 165
67 恐怖の表現 167
68 火や水への恐怖 169

第9章 新しい行動と文化
69 新しい行動の始まり 172
70 動物の道具使用と政策 175
71 霊長類の道具使用と制作 178
72 反復利用と複合道具 181
73 利き手 184
74 文化―教育と新行動の伝播 186
75 言葉と数と画像 189

第10章 心と知能 192
76 脳の大きさとIQ 192
77 知能や心が発達した理由 194
78 記憶力の差 196
79 音楽や絵画を楽しむ 198
80 夢を見る 200
81 言葉を使う 202
82 数の概念 205
83 「騙し」と「嘘」 207
84 相手への気遣い 210
85 同情と共感 212

第11章 人とサルのこれまでとこれから 216
86 資源の違い 216
87 サルの実験使用 218
88 人だけが増えた理由 221
89 「猿の惑星」 223
90 生き残るのは人かサルか 225

あとがき 227
主な参考図書 228
索引 229

■あとがき
  人も生物進化の産物だという観点から本書を書き上げた。 文明に取り囲まれ、生物からかけ離れたかのような存在になっている現代人も、生物の基本原則という大黒柱を驚くほどしっかり背骨に持っていることをおわかりいただけたことと思う。 そして、現代人と現代社会の抱える問題の根元が見え、それらに対処する道筋も楽しみながら理解してもらえたはずだ。 今の世の中、社会全体で変えていかなければならない問題が多いが、個人でだって始められることもたくさんあるはずだ。
  本書は免許や資格が取りやすくなるハウ・ツウ本ではない。また、明日の生活を便利にするわけでもなく、物価を下げるような役割も果たさない。 しかし、あなたの心と生き方にほんの少しずつ軌道修正を迫るものだと確信している。 堅苦しい言い方をすれば、それこぞが哲学というものだろう。 ご自分の生き方の哲学を打ち立てる参考にして欲しいと願ってやまない。
  原稿執筆の過程で松原幹、中村克樹、大橋岳の各氏から資料の収集や原稿の補筆などでご支援いただいたことを記してお礼申し上げる。
        二〇一〇年梅の花咲く二月 犬山にて 編者 杉山 幸丸

■書評:
るびりん書林 別館