独自の視点で本を選んで紹介しています。

aroha.asablo.jp/内をGoogle.comで検索します


「Amazon.co.jpアソシエイト」

△■アメリカの国家犯罪全書■2015年09月13日 09:50

アメリカによる多数の「国家犯罪」を元外務省職員がまとめた衝撃の一冊


ウィリアム・ブルム (著)
益岡 賢 (訳)
発行所: 作品社
2003年4月20日発行
417ページ

■内容の紹介(カバーのそでより)
アメリカ合衆国は、イラク・北朝鮮などを「ならず者国家」「悪の枢軸」と呼び、「正義」と「民主主義」の名のもとに断罪している。しかし、チョムスキーも指摘するように、本当の「ならず者国家」、世界最悪の「テロ国家」はアメリカ自身である。
本書は、アメリカ政府・米軍・CIAが世界の隅々で行っている、テロ支援、拷問や洗脳、暗殺、盗聴、選挙操作、麻薬製造、毒ガス・生物兵器使用、虐殺…等など、イラク・北朝鮮どころではない「国家犯罪」のすべてをまとめた衝撃の一冊である。

著者について(本書より)
ウィリアム・ブレム(William Blum)
一貫して米国の国家的犯罪・外交政策の暗部を分析・告発しつづけているジャーナリスト。1943年、ニューヨーク生まれ。米国国務省の外交担当部門に従事していたが、67年、ベトナム戦争に反対して辞任。辞任後、ワシントン初の「地下」新聞『ワシントン・フリープレス』を創刊するが、FBIの妨害で廃刊。69年、秘密のベールに包まれていたCIAの内部を暴く告発書を刊行。200名以上のCIA職員の名を公開して破門を呼ぶ。米国やヨーロッパ、南米などでフリー・ジャーナリストとして活躍。とくに72~73年にはチリに滞在し、アジェンデ政権の成立とCIAが計画した軍事クーデターによる崩壊を、現地からリポートしつづけ世界に真実を訴えた。70年代半ばには、元CIA職員フィリップ・アジェとともに、ロンドンでCIAの内実を暴く作業に従事。80年代後半には、映画監督オリバー・ストーンとともに、米国外交の真実についてのドキュメンタリー映画の制作に乗り出す。現在は再びワシントンに居住し、本書をはじめとした書籍や記事の執筆を行っている。なお98年に発表した、米国がイラクの生物兵器・化学兵器のための原料を提供していたという記事は、米国で「最も検閲を受けた上位10の事実」の一つに数えられ、「模範的ジャーナリスト賞」を授与されている。

訳者について(本書より)
益岡賢(ますおか けん)
1964年生まれ。メディア論・コミュニケーション論に関心を持つ。90年から東チモールへの連帯活動をはじめ、91年より東京東チモール協会所属。ニュースレター編集を担当。著書に『東チモール――奪われた独立・自由への闘い』(明石書店、1999年共著)、『東チモール2――住民投票後の状況と正義の行方』(明石書店、2000年、共著)、訳書に『アメリカが本当に望んでいること』(ノーム・チョムスキー著、現代企画室、2002年、共訳)などがある。また、チモール・ロロサエ情報ページ(http://www.asahi-net.or.jp/~gc9n-tkhs/)の手伝いをしている。個人ページは、http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/

■「訳者あとがき」より
本書の内容は、「悪の枢軸」を断罪し「正義」を振りかざすアメ リカ合州国の、不法な軍事介入や不当な外交政策、人道に対する罪 などの「国家犯罪」を、戦後から現在にいたるまで、驚くべき情報 収集力をもって網羅的にまとめたものである。アメリカの国家的な 犯罪行為を告発したものは多数あるが、本書ほど徹底的なものは例 がない。したがって、マスメディアが伝えないアメリカ国家の真実 の姿を考えようとする多くの人々にとって、本書は極めて重要な基 本書として定着している。

■「はじめに」の冒頭より
  本書を、『チェーンソーによる連続幼児殺人犯たちと、彼らを愛した女性たち』という書名にしようかとも考えた。
  この女性たちは、切断された手足や頭のない胴体を見せられても、愛する人がそんなことをするとは信じない。もし信じたとしても、愛する男が真に善意からしたのだと心底から考える。それは、おそ らくはとても不幸な事故であり、善意が起こしてしまった過失だと考える。また、それが人道的行為だと考えることすらありうる。

■目次(小項目は除く)
――新版へのまえがき
9・11事件とアフガニスタン爆撃、そしてイラク攻撃をめぐって 17
米国のイラク攻撃をめぐって――日本版への増補 38
はじめに 43

第I部 アメリカとテロリストとの愛憎関係 81
第1章 テロリストたちがアメリカをいじめる理由 82
第2章 アメリカから世界へのプレゼント
――アフガンのテロリスト養成所の卒業生たち 88
第3章 暗殺 95
第4章 米軍・CIAの訓練マニュアルより 103
第5章 拷問 111
第6章 芳しくない輩(アンサヴォリー・パーソン) 125
第7章 「芳しくない輩」の新規訓練 129
第8章 戦争犯罪者――「敵」側の、そしてわれわれ米国の 138
第9章 テロリストの安息地 151
第10章 ポル・ポト支援 161

第II部 米国による大量破壊兵器の使用 167
第11章 爆撃――無差別破壊 168
第12章 劣化ウラン兵器 174
第13章 クラスター爆弾 180
第14章 化学兵器・生物兵器の利用――米国国外 184
第15章 化学兵器・生物兵器の利用――米国国内 197
第16章 化学兵器・生物兵器利用の奨励 207

第III部 「ならず者国家アメリカ」vs世界 213
第17章 米国による介入の歴史―― 一九四五年~現在 214
第18章 選挙操作 274
第19章 「米国民主主義基金」(NED)
――CIAの下請けNGO 290
第20章 世界と対立するアメリカ――国連を舞台に 296
第21章 盗聴――地球上のあらゆる場所で 315
第22章 拉致と略奪 328
第23章 CIAがマンデラを二八年間も牢獄に閉じ込めた経緯 334
第24章 CIAと麻薬との関係――「何が悪い?」 337
第25章 地上唯一の超大国であるということは、
  決して謝罪する必要がないということである 350
第26章 自由企業のために、合衆国は、侵略し爆撃し殺害する。
  しかし、アメリカ人は本当にそれを信じているのだろうか 362
第27章 「自由の国」のある一日
  「新しき良き日々」のはじまりか 370

訳者あとがき 405
事項・人名索引 417

■一言
本当に危険な情報を伝えようとする人たちは、不慮の死を遂げている。最近独立した国家は、資源を持つ国ばかりであり、決して、住民自治を背景となどしていない。本書はページ数の多さも含め、評価を下げたい要素が多すぎます。

■書評
るびりん書林 別館