独自の視点で本を選んで紹介しています。

aroha.asablo.jp/内をGoogle.comで検索します


「Amazon.co.jpアソシエイト」

○■本当は怖い動物の子育て■2015年07月14日 09:47

現代文明の価値観に疑問を投げかける、現実世界


竹内 久美子 (著)
新書: 208ページ
出版社: 新潮社 (2013/3/15)

■商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
まさか!?なんてこと!!パンダの母親は「できの良い子」をえこひいきして「ダメな子」を見殺しに。タスマニアデビルは生まれたての赤ちゃんにサバイバルレースを課し、リスはご近所の子を取って食う…子殺し、DV、虐待は日常茶飯事。極悪非道に映るメスたちの狙いとは?オスはその時どう動く?「ヒト」は彼らと別物か?テレビ番組や動物園が伝える美談からは決して見えてこない、動物たちの恐ろしく、たくましい真実の姿。
著者について
たけうち・くみこ 一九五六(昭和三十一)年愛知県生まれ。動物行動学研究家。京都大学理学部、同大学院博士課程卒業。著書に『ワニはいかにして愛を語り合うか』(日高敏隆氏との共著)、『男と女の進化論』、『そんなバカな! 』(講談社出版文化賞科学出版賞受賞)、『女は男の指を見る』等。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
竹内/久美子
1956(昭和31)年愛知県生まれ。動物行動学研究家。京都大学理学部、同大学院博士課程を経て著述業に。著書に『そんなバカな!』(講談社出版文化賞科学出版賞受賞)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次(大項目)
はじめに 9
第1章 パンダの育児放棄 19
  アメリカ探検隊の狙い/アドベンチャーワールドはなぜか高打率/双子おn「良い方」にだけ/「すりかえ」育児の劇的効果/お乳の量が物語る「戦略」
第2章 クマの産児調整 32
  ときを待つ受精卵/子どもを産むのにまずい時期/まだある着床遅延の意味/一頭しか生まれてない!
第3章 ハヌマンラングールの子殺し 42
  ハレムに生きる宿命/新リーダーが真っ先にすること/メスの秘策は「ブルース効果」/ゲラダヒヒの出産ラッシュ/私の飼育ケージの中で起きたこと/隣のオバちゃんにご用心
第4章 ラッコの暴力行為 61
  鼻にキズ持つメスは/交尾排卵とはなにか/交尾排卵は人間にも?
第5章 タツノオトシゴの自己改造 70
  こまめすぎる交尾/「凶悪」メス、あらわる/卵は背中に産んでくれ!/メスから「子宮」を奪ってまで/とにかく大きなメスがいい/出産前夜の怖い真相
第6章 タスマニアデビルのキョウダイ殺し 87
  生き残るのは"先着四名"/巣のなかの一騎打ち/ブタの赤ちゃんと乳首"格差"/口裂け魚の好物は/マグロ完全養殖への難関/共食い屋が生まれる環境
第7章 オオジュリンの浮気対抗術 104
  一夫一妻制はタテマエ/「怪しい」データを収集/「ヘルパーさん」の下心/「母親スイッチ」は人間の願望
第8章 先住民たちの虐待 117
  南米アヨレオ族の掟/子殺しが起きる三つの論点/人間が回避したリスク
第9章 赤ちゃんか"精霊"か 132
  むき出しの好戦的民族/少女の下した決断/スティングと日本人支援家/母系制社会で女が離婚すると……/母系制社会vs父系制社会
第10章 母親たちは進化したか 151
  児童虐待はいつ「罪」になったか/危険度合いが跳ね上がるとき/赤ん坊は「足手まとい」?/アメリカ人も、日本人も……/オーソドックスな虐待要因/現代ならではの三つのリスク
第11章 壮絶事件の根と芽 180
  「双子」に重なったリスク/「子どもがいなくなればいい」/障害としつけのはざまで/「なぜ末っ子だけを?」に答える/里子はなぜむずかしいのか
おわりに―虐待がありえないモソ人に学ぶ 199

■「おわりに―虐待がありえないモソ人に学ぶ」の最後の部分
  人間も動物の一種である以上、子どもを持ったからといって、即座に「スイッチ」が入り、「母親」や「父親」に切り換わるわけではありません。 男も女も遺伝子の論理の下、手探りの苦労を重ねながら、どう振る舞うべきかと懸命になっている。それだけのことなのです。
  そんな毎日の中、子につらく当たり、手をあげてしまいたくなるような状況に直面することは誰にでもあります。
  そのような場合に、まずひと呼吸おいてみましょう。 それは本能の喪失などではありません。 動物としてごく自然なこと、恥ずかしいことではないと確認するのです。 人間は他の動物とは違う、もっと高等だ、などと思い込み、自分を追い詰めるようなことだけはしてはいけないのです。

■書評:
るびりん書林 別館