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●アマゾン、インディオからの伝言●2015年05月04日 09:17


南 研子 (著)
単行本: 235ページ
出版社: ほんの木 (2000/04)

商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
減少を続ける熱帯雨林。その森を守る先住民達。インディオ保護区にいきる貨幣経済も文字も無い人びととの、11年間に渡る交流を初めて綴った記録。これは、現代人の心を癒し、文明そのものを見直す精霊達のドラマである。

■目次
まえがき 2
目次 4
シングー・インディオ国立公園 6
主な登場人物、FUNAI 7bu シングー・インディオ国立公園とカヤポ族保護区 9
第1章 アマゾン、9年目の旅
第2章 ラオーニとスティング 37
第3章 私のこと 49
第4章 世界先住民族会議に出かける 57
第5章 NGO、日本の現実 73
第6章 いよいよ始めてのシングー地域 79
第7章 雨期のシングー川で遭難 111
第8章 アマパ州で見た理想の政治 141
第9章 アマゾンの伝説に出会う 161
第10章 インディオたちの未来 203
あとがき 228
プロフィール&団体紹介 236

■まえがき
一九八九年五月にイギリスの歌手、スティングがブラジル先住民の長老、ラオーニを伴い、『アマゾンを守ろう』というスローガンを掲げ、ワールド・キャンペーン・ツアーを行いました。この一行が来日した時、ボランティアとしてお手伝いしたことがご縁で、私のアマゾン支援活動が始まり、現在に至ります。地球の肺と言われるアマゾンの熱帯林は、北の社会、すなわち先進諸国の生活が豊かになるのと反比例して減少の一途をたどり、ジャングルを住処としているインディオの人達の暮らしをおびやかしています。
私達は貨幣制度の中で生きてきて、知らぬ間にお金に支配された社会を築いてしまったように思えます。かく言う私も、アマゾン支援の資金集めにはこの日本でいつも苦労します。自分のお金を使うのなら誰にも文句は言われまいと思い、持ち出しているうちに、去年アマゾンから戻った時には、私の銀行個人口座の預金残高は二九一円しかありませんでした。幸いなことに、友人、知人が服をプレゼントしてくれたり、お米、お茶などを送り、助けてくれますので、見た目にはそうみすぼらしくなく、余裕があるようにも見えます。それにしても私達の団体だけでなく、日本のNGO(国際協力市民組織)界はいつも資金難にあえいでいます。NPO法(特定非営利活動法人法)の免税の制度化や企業の環境に対しての理解が広がれば、もっと素晴らしい支援活動が展開出来るし、きっとそうなると信じています。
それまでして、何故アマゾン支援を行うのかといいますと、インディオと呼ばれ、また自らもそう呼んでいるブラジル先住民の世界は、私達がすでに遠い昔に失ってしまった素敵な知恵や、どこかに置き忘れてきた大切な人としての心が、いまだに存在しているからです。
ある時私は、シングー川上流域のジュルーナ族の集落で人目を忍んで日本から持参したキャラメルをこっそり食べていましたが、インディオの四歳くらいになる女の子三人に見つかってしまいました。照れ隠しにポケットからたった一つしか残っていなかったキャラメルを、「後で二人の子には別の物をあげればいいかなあ」くらいに考え、私の一番そばに来た子にあげました。その子はキャラメルをポンと口に放り込み、何と三つに割り、後の二人に分け与えました。私は恥ずかしさで一杯になったのと同時に、分かち合う気持ちをこんな小さな子から教えられ、地球上にまだこのような社会が残っている事に正直、驚きと喜びと感動を覚えました。
私達が支援している地域は、先住民保護区ですので、誰でもが簡単に入れるという訳にはいきません。私自身、アマゾンとかかわり、十二年目を迎えて、やっと自分の体験談を書けるようになりました。これから始まる話は、私の目で見、心で感じてきた事実です。

■一言:
外部との接触から半世紀程度であり、接触官がキリスト教を持ち込むことがなかったため、現在までインディオの伝統文化が独自に継承されている重要な地域、シングー・インディオ国立公園。
自然食の効力』でも指摘されていた、自然食を食べていれば、老年になっても性欲が保たれるという話もでており、面白そう。
拾い読みする限りでは、著者がインディオの病気を柏手で直してしまった話や、精神科に通院した著者が森田式療法で回復したことなど、「人」という存在の不思議さも教えてくれそう。
インディオの価値観や裸に対する感覚は『逝きし世の面影』に描かれた江戸期の日本人の価値観・感覚とも近いように感じる。
私たちは、NPOや募金活動を始めたり、利他主義の幻想を追う前に、「文明」や「人間」の本質を知るべきであろう。

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