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○●となりのツキノワグマ●2015年06月02日 10:23

長期間のフィールドワークから見えてくるツクノワグマの姿を伝える写真集


宮崎 学 (著)
単行本: 159ページ
出版社: 新樹社 (2010/07)

■内容(「BOOK」データベースより)
斬新奇抜な発想と卓越した撮影技術で、知られざるツキノワグマの実態を痛快に照らしだした衝撃の写真集。一歩山へ入ればクマはいる、あなたの隣に。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宮崎/学
1949年、長野県に生まれる。精密機械会社勤務を経て、1972年、独学でプロ写真家として独立。中央アルプスを拠点に動物写真を撮り続け、「けもの道」を中心にした哺乳類および猛禽類の撮影では、独自の分野を開拓。現在、「自然と人間」をテーマに、社会的視点に立った「自然界の報道写真家」として精力的に活動している。自身のウェブサイト「森の365日」では、切り株や樹洞に来る動物たちを24時間ライブカメラで中継するなど、ユニークな試みを展開中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次:
はじめに 3
1章 20年後のけもの道 8
2章 クマのグルメガイド 42
3章 森の改変者 72
4章 忍び寄るクマたち 92
5章 檻 110
6章 クマは何頭いるのか 126

■3章 森の改変者より
  クマは森の木をさまざまない利用するが、それは森の形成に大きな影響をあたえている。
  まず、クマは広葉樹の実をとるとき、多くの場合枝を折り、木をいためつける。 しかし木にとっては、いためつけられることで危機感をもち、繁殖できるようにと、より実をつけるようになる。 それは結果的に、森の実りを安定的にしている。
  そのいっぽうで、針葉樹を殺すこともある。 クマはスギやヒノキの皮をはぎ、樹液を吸うのだが、こうした木は、やがて枯れてしまう。 近年、スギやヒノキの植林地が増えたことで、被害もめだつようになったが、本来はスギ、ヒノキの植林に適さない 環境に植えられたものが、結果としてクマに殺されているのだ。
  また、クマにとって、冬眠穴の確保は重要な課題だが、クマが入れるほど大きな樹洞(木の穴)は、そう多くない。 しかも、そうした穴ができるまでには、100年以上かかる。 そこで、クマは木の一部を傷つけ、遠い未来の子孫にむけての穴作りを、本能的にはじめている。 穴は大きくなる過程で、森の他の生きものにも、すみかを提供することになる。
  こうした記述は、いささか突飛に感じられるかもしれない。 しかし、クマの行動は単に個体レベルだけでなく、種のレベルでとらえなければ、見えてこないこともある。 森の形成とリンクさせながら、数百年、千年という単位で見ていかなければ、本当の理解はできないだろう。 この章では、いったんわれわれの時間感覚をリセットし、クマの時間に入っていくことにしよう。

■一言:
長時間のフィールドワークに基づき、真実の姿を伝えてくれる良書。

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