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○■動物たちの自然健康法―野生の知恵に学ぶ■2015年06月03日 09:15

薬草を使い、死を恐れる動物たち。
多くのウイルスに感染しながら発症しない動物たち。


シンディ エンジェル (著), Cindy Engel (原著), 羽田 節子 (翻訳)
単行本: 366ページ
出版社: 紀伊國屋書店 (2003/10)

■内容紹介
内容(「BOOK」データベースより)
昔から、動物は病気になったら自分でなおすという話は知られており、ヘビやクマなどから教わった植物を薬にしたという伝説が世界各地にある。病気のチンパンジーがある植物を食べて病気がなおったというニュースが世界に流れたのは、1989年のこと。そのころから、科学者による本格的な探求が始まり、「動物薬学」あるいは「動物の自己治療」とよばれる分野が誕生した。本書は、この分野についての世界で初めての書籍。胃腸障害、怪我、虫下しからストレス、感染症、老化・死まで、動物が自然の恵みをじつにうまく使いながら健康管理する方法を描き、文明食生活にどっぷりとひたる人間にも警鐘をならす。
内容(「MARC」データベースより)
野生動物は自然の偉大な治癒力を知っていた。チンパンジーが食べていた葉に薬効を発見、ゾウが岩をかじるわけ、アザラシの「ひなたぼっこ」の意外な効果、酔っぱらうヒヒ…。動物の「自己治療」をめぐる本。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
エンジェル,シンディ
イースト・アングリア大学で動物行動の研究によってPh.D.取得。イギリスで野生ウサギの習性を、南メキシコのジャングルに住むジャガーの行動を調査研究する。現在、オープン大学環境科学部門で助講師をつとめる一方で、いくつもの有機農場のために動物行動のコンサルタントをしている。また、ラジオやテレビなどの科学番組の制作にフリーランスで協力し、「ナショナル・ジオグラフィック・チャンネル」の野生動物シリーズやBBCラジオの「医学の博物誌」シリーズに携わる。「ホリスティック・メディシン」の医師。指圧師。二人のこどもともに、サフォーク州の田舎で農業を営む

羽田/節子
東京農工大学卒業。昆虫生理学専攻。生物学関係の翻訳執筆にたずさわる。著書に『キャプテン・クックの動物たち』(科学読物賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次(大項目の抜粋)
はじめに 1

1部 野生の知恵
第1章 野生動物の健康 16
・野生動物は健康なのか 16
・ほんとうの自然はどこに? 21
・健康調査がはじまった 23
・動物たちの「自己治療」に注目! 27

第2章 自然界は薬の宝庫 29
・植物が身をまもるために 29
・まだまだある植物の知恵 32
・植物の「毒」を利用する 36
・生薬は植物以外にも 38

第3章 食物、薬、自己治療 40
・食物は薬? 40
・ベジタリアン・ゴリラとハンター・チンパンジー 42
・メニューを変える 44
・ミネラルを調達する動物たち 46
・ひなの頭骨や脚をもぎとった犯人は? 48
・塩をもとめて 51
・必要な栄養素を見つけるメカニズム 55
・毒物を摂りこむ昆虫 56
・栄養か自己治療か 59

第4章 生き残りのための情報 62
・動物たちの予知能力 62
・ウマの言葉を解する男、盲目のヘビ 65
・兵士の命を救ったウマの知恵 68
・チンパンジーの「自己治療」を観察する 70

2部 健康の脅威 75
第5章 毒物 76
・草食動物は植物毒を見分ける?! 76
・哺乳類のこどもは母親から毒を学ぶ 80
・毒性を下げるには 86
・土を食べて毒を消す 89
・危険をおかして洞穴を訪れるゾウ 92
・粘土に見つかった驚くべき薬効 93
・蟻塚の土は胃腸薬?! 97
・食べる土を選ぶ 103
・炭の毒消し効果 104
・人工的毒物を感知できる魚 107

第6章 目にみえない敵 110
・病気の原因は病原菌だけではない 110
・チンパンジーはきれい好き 113
・共食いを避けるわけ 115
・「ひなたぼっこ」のわけ 117
・腸内細菌と病原菌 119
・免疫を強化する植物化合物 123
・感染症を予防し治療する動物たち 125
・O一五七は抗生物質のつかいすぎが原因? 129

第7章 怪我と骨折 132
・驚異の回復力 132
・事故にそなえて 134
・動物も痛みを感じる 137
・治療のために身を隠す 141
・唾液に治療物質を確認 143
・傷のなおりをよくする薬草 146
・砂糖水、泥浴び、ギブス 149
・病気の仲間の世話をする 152
・ヘビ毒とヘビ恐怖症 154

第8章 刺す虫! 157
・「蠅叩き」と「水遁の術」 157
・相互グルーミングと掃除魚 161
・かゆみをおさえる塗り薬 164
・蟻浴、砂浴び、日光浴 170
・塩による手当てと尿洗い 174
・巣をまもる―燻蒸消毒と強力な匂い 175
・毒をたくわえて虫を撃退 182

第9章 渋る主と招かざる客 185
・野生動物には寄生虫が少ない 185
・虫下し植物 189
・タテガミオオカミの寄生虫対策 192
・薬を丸飲みにするチンパンジー 195
・冬眠や渡り前の虫下し作戦 201
・チンパンジーの「苦い薬」 204
・昆虫もまた…… 210
・土食いは寄生虫対策にも 212

第10章 ハイになる 215
・酔っぱらい動物 215
・動物がアルコールを好むわけ 219
・幻覚植物と興奮剤 223
・トリップか治療か 227
・動物も中毒になるか 233

第11章 精神病 236
・狂った行動にはわけがある 237
・あるチンパンジーの「狂気」 240
・ストレス状況下での対処法 242
・トラウマをはねのける 245
・飼育動物の神経症 248

第12章 家族計画 252
・ヒツジを不妊にするクローバー 252
・繁殖は食用植物に依存する 255
・「バイアグラ・キノコ」と妊娠中絶 257
・食物であかんぼうの性が変わる 259
・妊娠・出産・授乳期の食餌管理 262

第13章 死との遭遇 268
・老齢を生きる 268
・老化を遅らせるには 270
・年寄りへの敬意 273
・ゾウの墓場・ペンギンの墓場 275
・自殺 278
・死にゆく仲間へのゾウの反応 280
・死骸を埋める 282
・死への恐れと悲しみ 286

第14章 これまでにわかったこと 289
・作用範囲の広い戦術を組み合わせる 289
・予防は治療にまさる 293
・巨大な薬倉から適切な薬を選ぶ 294

3部 学ぶべき教訓 297
第15章 飼育下の動物 298
・動物園の動物たちの健康管理は十分か 298
・自然に帰す試みが成功しない理由 304
・ネコが鉢植えの植物を食べるわけ 305
・ブロイラーの当世健康事情 308
・ウシとヒツジの健康管理 312
・うつ状態の畜産動物 314

第16章 健康になろう 316
・現代人は「深刻な栄養失調」 316
・植物は「まるごと」食べることが肝心 321
・ヒヒの「カウチポテト」 323
・からだの要求に耳を傾ける 325

訳者あとがき 329
原注 358
動物名索引 363
植物名索引 366

■はじめに(冒頭部分)
発熱しているイヌは静かな隅っこで休むが、胃の具合の悪いときは
草を食べる。彼らはどの草を食べればいいか、だれにも教わらない
が、吐くのに役立つ草や気分がよくなる草を本能的に探しあてる。
     ―ヘンリー・シゲリスト アメリカ人医師 一九五一年

病気の動物は奥まった場所にひっこんで、回復するまで断食する。
断食中はわずかな水と薬草を摂るが、祖先から受け継いだ知恵で本
能的に薬草の探しかたがわかる。私は……たびたび自己治療を観察してきた。
  ―ジュリエット・ドゥ・ベラクリ・レヴィ ヨーロッパ人の伝統的薬草医 一九八四年

ゾウが病気になると、象使いはゾウを森につれていく。そこでゾウ
は必要な薬草や植物をつまむ。なぜか彼らは自分自身の薬を処方で
きるのだ。
  デネッシュ・チョードリー インド人の象猟師 二〇〇〇年

■訳者あとがき(第2、3段落のみ)
  二〇〇二年にイギリスで出版された本書(Wild Health - how animals keep themselves well and what we can learn from them, Weidenfeld & NIcolson)で、 著者のシンディ・エンジェルは、私たちはもっと野生動物の健康維持行動に学ぶべきだと主張する。私たちは二〇〇万年におよぶヒトの進化史からすればごくごく短いあいだに 生活をすっかり変えてしまったが、この肉体はほとんど狩猟採集時代にできあがったものなので、近代の食生活や医療に適応する時間がなかった。 一方、野生動物は何百万年にもわたる自然淘汰のすえ獲得した戦略を駆使して健康維持をはかっており、かなり健康な生活をおくっているらしい。 それなら動物たちの健康法を学ばない手はないではないか。
  本書は、原注からもうかがえるように膨大な文献を駆使して、動物の自己治療というつかみどころのないテーマをみごとにさばいて方向づけをしてくれた。 その方法に一貫しているのは著者のホリティックな観点である。

■一言:
多様な動植物に囲まれて野生に生きる動物たち。
動物たちにできることは私たちにもできるはず。

■書評:
るびりん書林 別館

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