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○●日本よ、森の環境国家たれ (中公叢書)●2015年09月24日 09:55

「森の民」の「植物文明」と「家畜の民」の「動物文明」という視点から、一神教と環境破壊の必然的なつながりを明かし、多神教文明の重要性を説いた刺戟的な本


安田 喜憲 (著)
単行本: 281ページ
出版社: 中央公論新社 (2002/03)

■著者について
安田喜憲(ヤスダヨシノリ)
1946年、三重県生まれ。東北大学大学院理学研究科博士課程退学。理学博士。国際日本文化研究センター名誉教授。東北大学大学院環境科学研究科教授
2007(平成19)年紫綬褒章受章。気候変動と人類の生活・歴史の関係を科学的に解明する「環境考古学」の確立者。著作に、『山は市場原理と闘っている』(東洋経済新報社、2009年)、『稲作漁撈文明』(雄山閣、2009年)『生命文明の世紀へ』(第三文明社、2008年)、『環境考古学事始』(洋泉社、2007年)、『一神教の闇』(筑摩書房、2006年)『気候変動の文明史』(NTT出版、2004年)など多数
(『一万年前』より)

■目次
第一章 人類文明史の二類型区分 3
一 森の民日本人の危機 4
二 長江文明もアンデス文明も森の文明 12
三 環太平洋植物文明圏 31
四 森の文明と家畜の文明 49
五 家畜の文明の原罪と森の文明の悲劇 69

第二章 森の環境国家日本の構築 87

第三章 森のこころの文明 113
一 「森のこころ」の新しい文明 114
二 森を守る女性のこころ 137

第四章 森を守る食生活 153
一 アメリカはパンで日本人の魂を変えた 154
二 森を守る食生活 162
三 日本人はなぜ肉食を止めたのか 170

第五章 日本桃源郷構想 181
一 畑作牧畜民のユートピア・稲作漁撈民の桃源郷 182
二 ユートピアから桃源郷へ 214

第六章 森の環境国家が地球と人類を救う 223
一 ドラゴン・プロジェクト 224
二 木造百年住宅の輝き 241
三 二十一世紀の地球温暖化を前にして 248

第七章 世界を変える森の環境国家 261
一 文明観を根底から見直そう 262
二 中高年よ森へ行こうではないか 270

あとがき 277
初出一覧 281

■「著者から読者へ」(本書のカバー裏表紙より)
人類文明史には「森の民」の「植物文明」と「家畜の民」の「動物文明」の二類型があるというのが、本書の最大の発見である。「森の民」の「稲作漁撈民」は桃源郷を、「家畜の民」の「畑作牧畜民」はユートピアを創造した。桃源郷こそ「森の民」の究極の生命維持装置だった。だが、人類文明史は、一面において後者の「動物文明」が前者の「植物文明」を駆逐する歴史であった。そうした中で「森の民」日本人は「家畜の民」に蹂躙されへこたれたことが一度もなかった。日本人が森にこだわり「森の環境国家の構築」に邁進するかぎり、日本の未来は安泰であるというのが。本書の提言である。

■「あとがき」より(中間の段落)
日本文化が「森の文化」であることをはじめて指摘した一九八〇年に比べて、今日(二〇〇二年)の日本は、経済不況と高い失業率にあえいでいる。 「家畜の民」の圧倒的なパワーの前に「森の民」が自信を失いかけている。しかし、二十一世紀は「森の文明」の時代であり、「森の民」の時代である。 地球温暖化に歯止めをかけることもなく、自然を搾取しつづけ、豊かさを追い求め、力づくで他の文明を圧倒しようとする「家畜の民」の文明が、あと二十年もつはずがない。 アメリカと中国の「家畜の民」の「自然=人間搾取系の文明システム」は、二十年以内にかならず行き詰まる。 その時に向けて、日本人は「森の環境国家の構築」に邁進しなければならないのである。 「今日の苦境は新たな発展の時代の到来の前兆なのである」。

■一言
「森の民」が「家畜の民」によって滅ぼされてきたという視点が刺戟的。この「家畜の民」を支配する者たちこそが世界統一政府の樹立を目論み、金融の仕組みを作り、石油、医療、食糧など、大きな利益を確実にあげることのできる産業を支配している人びとであろう。
彼らによって地球が破壊される前に、人類すべてがこのような視点を持って、自然および他者と共生する以外に生き残りの道がないことを自覚するとき、道は開けるのであろう。

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